4.軽アイゼンの必要性(T氏)

軽アイゼンは念のために持っていったほうが、傾斜地の下りではいいかもしれません。使わない確率のほうが高いでしょうが、急な場所では安心できます。歩き慣れている人はいらないでしょうが、水分が地表付近に残っていて、氷点下まで夜間に気温が下がったとき、簡単に斜面は凍ります。
ましてや、北側斜面なので解けないでしょうから、そのような状況だった場合は、長々と足もとに神経をとがらせながら下らなければなりません。それには、アイゼンが役立つわけです。ただし、アイゼンを履いたときの欠点は、それによって雪上歩行、とくに下山の訓練効果が落ちることと、アイゼンが剛性であって、硬い雪や凍った地面で使った場合、爪が立ったときにすぐさま「停止」がおきてしまい、クッション機能がほとんど失われているので、膝と股関節にガクッとショックが来ることです。これを長時間、急な傾斜地で繰り返して下った後、膝の痛みを訴えることもあります。アイゼンを履いたときは、雪面の状態にもよりますが(軟雪であれば、スピードを上げてリズミカルに下ってもショックが雪で吸収されるので問題がないことなど)、どちらかというと履かないときよりもゆっくりと下るように心がける必要があります。また、とくに12本爪を履いたときは、下山時の爪を引っかけての転倒があるので、注意が必要です。