3月の山行 
三 本 槍 岳 


18日清水平晴れているが強風
 


19日ホワイトアウトの中、北温泉分岐へたどり着く 

 
1.実施日:2017年3月18日(土)〜19日(日) 

2.参加者:K(SL) N(L) H    3名

3.行程:

18日 我孫子発5:31−上野6:04/08-宇都宮7:58/8:03-黒磯8:56黒磯(タシー)9:05 
    ロープ—ウェイ山麓10:00/10:15- 峰ノ茶屋12:00/30 (アイゼン装着)剣ヶ峰
    12:50(最高点)朝日岳14:20/35?1900mP−清水平天場15:55
19日 起床/清水平天場発5:30/8:55 -北温泉分岐10:30−マウントジーンズスキー場(食事)
12:50/13:40−北温泉/タクシー 14:30/14:55- 黒磯15:45/52 - 上野19:25

4.費用:JR往復3070×2 タクシー黒磯〜ロープ—ウェイ下 7010 北温泉〜黒磯
   8920 その他(ボンベ、食費など)3580  13080円/一人(JR:青春18使用可)

5.グレードC  18日 標高差 +517m  5時間30分
         19日 標高差 -767m  5時間35分 
         標高差と行動時間ではBですが、アイゼン・ピッケル使用でC。

6.個人装備 防寒具、アイゼン(12本)、ピッケル、シュラフ、個人マット、
   ヘッドランプ、帽子、手袋、サングラス、

  共同装備 テント(モンベル4人)、マット、バーナー(ガス)、ランタン、カートリッジ
   (2)     食料…18日の夕食のみ共同

7.緊急連絡先 KAさん

8.記録
アプローチ: 3月18日からロープ—ウェイが動くということだった。この時期、8:56着の電車ではバスがなく、大丸温泉(おおまる・・・が正しい読み方)までのつもりが、ゲートがあいていて、ロープ—ウェイ下までタクシーに乗った。この日、強風のためロープ—ウェイは動いていなかった。
とりつき: タクシー下車、準備後数m先の道路からすぐに左側の雪の2mほどの斜面を登る。すぐになだらかな雪面になり、歩きやすくなる。鳥居の頭が出ているところで記念撮影。このあたりで積雪3mくらいか。

天気:数日前の天気予報で三日とも晴天のようだが19日が快晴が見込まれるため、18〜19 日とした。15年11月の高山Lの山行時もかなりの強風だったことがまだ記憶に生々しい。今回、06年3月11〜12OLの記録によれば、「稜線では風もなく」また「常時強風で名の知れた峰ノ茶屋の鞍部もそよ風状態であった」とのことで、今回は以前にもましてルンルンの山を思い描いていた。
 ★結果は大外れ★で、18日は峰ノ茶屋の多少の強風は、想定内。稜線での寒さを予想して、フリースなどを着込んだ。峰ノ茶屋を通過すれば少しは風が弱まるだろうと安易に考えていたがとんでもない、清水平でテントを張るまで強風が続いた。砂粒がビシビシ当たってくるような感じもあって、KさんもHさんも砂粒?が目に入って難儀していた。Nは、普通の眼鏡に着脱式のサングラスをつけたのだが、風で動きすぎて、何度も外れそうになり、外した。最終的には眼鏡も真っ白になって外した。。稜線を歩いていても、西風のあまりの強さに、耐風姿勢でしばしば停止した。一体この風はいつやむのだろうか?先頭のKさんは、稜線沿いではなくてやや西よりの斜面を選んで進んでいた。万が一バランスを崩して東側に飛ばされたらまずいと考えたからだそうだ。以前Tさんの年末の北岳山行で、片平さんが強風で数m飛ばされたらしいが、私の経験の中で最大の風と思った。
 
剣ヶ峰のトラバース:Oさんから、自分たちはトラバースをしたが、稜線沿いの方が安全だよというアドバイスがあった。前後するが、峰ノ茶屋を目指して登っている時、前方に剣ヶ峰の雪の斜面をトラバースしている二人が見えた。だましだまし歩けば何とかなったかもしれないが、迷わず、Kさんを先頭に稜線の中心を登った。岩肌が見えていたり雪に覆われたりでアイゼンをつけたのは正解だった。剣が峰の頂上に地蔵があってここで記念撮影。三本槍岳から西に伸びる稜線、流石山〜大倉山〜三倉山の真っ白な山肌が美しかった。特に大倉山付近の雪のつき方には言葉を失う。去年の三月に計画が中止になったが、歩いていたらどうなっていただろう?剣ヶ峰と朝日岳との鞍部への下りが少し心配もあったが、Kさんがルートを見つけてくれて、何とか鞍部へ下る。少し前に剣が峰をトラバースしていた二人が朝日の方から下ってきた。彼らはピストンなので空身だった。この先私たち以外三本槍方面へ歩く人はいなかった。日帰りの人たちはほとんど茶臼の方へ登っていた。

モンベルの4人用テント:清水平での幕営地は、夏道から東側へ20mほど下がったところに決定。風で吹き飛ばされそうになるテントを必死におさえながら、設営。強風時は本体を雪面においてまず四隅を固定するというKさんの指示で固定をしようにもペグが利かない。雪が柔らかいのだ。やむなくピッケルを風上の三隅に固定する。テントに入って、ランタンと鍋用のバーナーをもし続けても、寒くてかなわない。2時間くらいたっても、吐く息が白くなってしまう。モンベルのテントは強風時は風が入ってくる。厳冬期はやはりダンロップの方がいいかも。外張りと本体の間に空間を作れなかったのが、寒さをダイレクトに感じてしまった原因かもしれない。

寒さ対策:三人とも持ち合わせの衣類をすべて着込んだ。私は上が5枚(冬用長袖下着・毛のシャツ・薄手のフリース・ダウン・アウター)下半身は3枚。(タイツ・ズボン・オーバーズボン) Kさん、Hさんはダウンのズボンもはいていた。そして寝るときにはシュラフの中で新聞紙で、すねから足首をまきつけて少しでも防寒対策とした。ホッカイロを持っていけばよかった。Hさんは幕営時のドタバタで上に着るダウンが見つからずに目の前で震えている。ちょっと心配になるが、口に出せない。シュラフに入って、ラジオを聞いたが、天気概況で明日は全国的におだやかですなどと言っていた。強風は夜通しだった。Nは何とか眠れたが、Hさんが何度もトイレに立ったことなども気がつかなかった。
トイレ:私だけが「大」をしたようだが、それこそ決死の思いだった。テントから離れることもできずに2mくらい離れたところに穴を掘って、風上に尻を向ける。目の前にはスコップさして風で倒れないようにスコップをつかむ。こういうときに限って出たいのに出ない。紙は指にぐるぐるに巻き付ける。巻紙を普通に持ったら拭けないのだ。風で吹き飛んでしまうのだ。腹の調子がいいんだか、悪いんだか風吹の中で、夜と朝と2回 尻を出した。これは以前富士山で経験したノウハウである。(大昔、Tさんと富士山頂上に幕営したときの「排泄物自己処理」の経験が役に立った。もちろん全量下山時に持ち帰り富士山を汚すことはなかった)
経験豊富な人から見たら、尻を出せるくらいなので、たいしたことはないと言われそうだ。

ホワイトアウト:朝テントをめくって愕然とした。風だけならまだしも、まったく視界がない。見えるのは5mくらいだろうか?テント撤収も一苦労だった。帰宅してから高校生の冬の合宿で予備日を二日も使って、停滞した記録を読んだ。まさにこの清水平だ。三本槍などはとて無理な話。下山をすることが第一目標。とりあえず、北湯分岐にコンパスを合わせる。GPSも新しい電池に替えた。天場から夏道の方へ少し登り返す。夏道らしきところに着いた。北側に歩き始める。下りきると木道があってこれが昨日1900mPから見えていた夏道で少し安心。風が強く木道を歩くのは危ないので下に降りる。木道が切れて、再び雪原となるが、そこからのルートが分からなかった。コンパスで進む方向を確認して歩き始めるが、どうも夏道を外したようで雪の下が笹で、踏みぬくと膝とか下手すると太ももまで沈んでしまう。方角はあっているはずだが、念のためGPSを見ると、夏道の西側にいる、コンパスを合わせなおして、進む。遅々として進まない。風はまだまだ強い。コンパスを常に確認できるようにしておかないと、一度雪に沈んで倒れこむと、起き上がった瞬間に今まで向かっていた方向とは進行方向が30度くらいずれてしまうこともあった。時間はどんどん過ぎていくが、なかなか進まない。GPSで現在地を確認して、コンパスで方向を定めて歩き始める。夏道に出てほんのわずかで、北湯分岐の杭の先端15cmくらいを発見したときは正直ほっとした。結果論だが、目的地(北温泉分岐)に向かうのではなく、左右に移動して夏道を探したほうが良かったかもしれない。
歩行スピード:18日の峰ノ茶屋から清水平の天場まで、朝日岳ピストンも含めて約2kmを3時間20分、19日の天場から北湯分岐まで、750mを90分かけている。単位を統一すると 18日 1時間10分/km 19日(分岐まで) 2時間/km (平地なら 15〜20分/km くらいだ。19日の歩行速度は非常に遅い。   
中の大倉尾根:ホワイトアウトが少しづつなくなり見覚えのある松の木があったので写真写す。2015年の11月にも写した木だ。雪がやらかいので、スノーシューかワカンがあったほうがいいが時々もぐりこみながらもどんどんくだる。スノーシューの若い単独の男性が登ってきて、少し話をする。北温泉からあがってきたとのこと。少し登り始めたので、おかしいなと思うが、北温泉の分岐を見落として1462のピークになる。スキー場のリフトが回っているそばを通過して南に向きを変えて、再びゴンドラの終点につく。(マウントジーンズスキー場)スキー場のレストランで食事と大休止。ゴンドラで下りたい気持。三角点(雪で見えないが)から南の尾根を下る。この尾根は標高差200mの癒しの尾根だった。結果的にこの尾根を下れてよかった。北温泉から10分くらいの駐車場からタクシーで黒磯駅へ。
【一週間後の那須 雪崩事故】雪山の安全講習で起きた高校生の雪崩事故には、同じ山域を歩いたばかりだったので、驚いた。8人の冥福を祈るとともに、今後の山行に天候急変に対する備え、中止したり引き返す判断など、大切で重要と思った。気象庁の注意報も山行直前まで確認し、安全第一の登山を心掛けたい。  記:N


 
登山開始積雪はたっぷりだ  朝日岳の形がいい 
 
 峰ノ茶屋へ向かう 剣ヶ峰の斜面、トラバースはせずに 稜線通しを行くことにした 
 
剣ヶ峰ピークに地蔵があった  三倉山方面 雪がびっしりついている
   

剣ヶ峰から朝日岳との鞍部へ下る  朝日岳頂上標識 
 

朝日岳頂上 KさんとHさん

 

茶臼岳方面、1週間後にこの写真左手の標高1400m付近 で 訓練中の高校性ら8人の犠牲が出た雪崩遭難が発生 
   


朝日岳から三本槍、その先の三角錐が旭岳

 
 清水平、強風を避けて幕営地を探す

 
  北温泉分岐の標識にたどり着いてほっとする 中の大倉尾根、まだ視界悪い 

 

時々、ずぼっと膝から太ももまで雪にはまってしまう

 
マウントジーンズのスキー場上(三角点1412m)から 快適な尾根を下る 
 


 やっと北温泉に着いたが、今回も立ち寄れずにタクシーを呼ぶ 強風で曲がったモンベルテントのポール  
 
3月16日〜17日の天気図。この天気図から18日の那須の稜線の強風が予測できるのだろうか? 
 
3月18日〜19日の天気図。18日は清水平の天場まで。19日は朝からホワイトアウトの中下山 
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