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残雪期の

塩見岳

 ◇実施年月日:1990年5月2~5日
 ◇参加者:I井、O江、K間、T井、T山、T辺、T西(故人)、N堂、M越(9名)


 上:帰りに三伏峠の先の尾根上で撮った1枚。下:塩見小屋のところから撮った1枚。

 少々いきなりなところがあったかもしれないと今思う山行である。塩見岳も鳥倉林道から入れるようになったごろだった。雪の塩見岳は全員初めてだった。三伏峠に着くと突然、入道頭のような形をした巨大な岩峰が視界に飛び込んでくる。空に突き立った、その豪快さが特別な印象をかもした。度肝を抜かれるとは、こういうのをいうのだろう。背筋が凍えるというのか、鳥肌が立つというのか、空恐ろしい気がした。
 少しでも距離を稼いでおこうと、本谷山の手前の樹林の中にテント場を拝借した。
 翌朝、塩見岳山頂を目ざした。塩見岳小屋を過ぎ、岩稜帯に入った。右(西)側にずっと傾斜を引く行路だったが、1か所、雪に閉ざされて、トラバースと登攀をしなければならない地点に達した。下には、傾斜の急な雪面が控えていた。尻込みする人もいたが、全員登頂を、と呼びかけて、ザイルを出し、そして最終的には全員で山頂に立った。強引すぎた面もあったと反省した。
 その2年前の同じ時季に山頂に立っていた悪沢岳の方面の大きな山塊が目を引いた。延々と連なる南アルプス南部の有雪期の縦走をやってみたい、という気がしてならなかったが、いまだに実現していない。
 帰路は注意して、ゆっくりと下った。三伏峠でゆっくりと休み、十分に景観を堪能して下りにかかった。思い起こせば、本会の残雪期の大山行はその前年の尾瀬~鬼怒沼の山行から発している。

 
 塩見岳山頂で。全員が登頂した。   三伏峠から見た塩見岳。はじめて見たとき、鳥肌が立つような感覚が
 襲った。この姿のことは、いまだに忘れられない。

 本谷山からの眺望。  権右衛門山を過ぎた地点からの眺望。

 
                 ねじれた塩見岳の岩峰の姿がなかなか粋だ。

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