7月の山行
大水上山(1831m)~中ノ岳



*マウスを写真にのせると入れ替わります 

 山行報告

丹後山―大水上山(1831m)―兎岳

―利根川源流を訪ね、初夏の花々を愛でるー

 

実施日:2009年7月11~12(丹後山避難小屋泊まり)

参加者:男性2名 女性3名 計5

移動手段:車両移動

コースタイム:7/11 5:00我孫子発~関越自動車道六日町インター

~8:50/9:15十字峡~9:50/10:00登山口~10:30鉄砲平(一合目)~12:00松の巨木(三合目)~14:40/15:05しし岩~15:30丹後山避難小屋  20:30就寝

/12 4:30起床/6:05発~6:40利根川水源碑~7:00

大水上山~8:00兎岳~9:25/9:50丹後山避難小屋~14:00登山口~14;50十字峡駐車場~五十沢温泉~そば、うどん~

17:00六日町インター~20:30我孫子着

装備:マット3枚、コッヘル一式、コンロ(ガソリン、ガス各一式)、

 ランタン(LED1台)、ツエルト2枚、各自夏山一般装備

食料:各自行動食およびレトルト食品(カレー、ラーメンなど)

 飲料3リッター以上

経費:車両費(ガソリン代、高速代などすべて含む)、温泉500円、

 下山後の食事代1000円強をすべて含み、締めて6200円。

集中連絡:Iさん

 

山のこと

 今、この山行報告を書きながらしみじみ想っている。いい山だった。きつい登りの後にパッと開けた、たおやかかな笹尾根、それまでの苦しさを忘れさせるかのようにそこかしこ咲く高嶺の花々、見晴るかす山並み、険峻な山もいいけれど、この山のふっくらといた陵線はなぜかほっとする。

7月11日(土)曇りときどき小雨

 我孫子5時TNさんの車で出発、関越自動車道六日町インターを経て、十字峡へ、観光道路といった趣でよく整備されている。しゃくなげ湖を左に見ながら短いトンネルをくぐるとそこが十字峡(海抜450m)。六日町インターから30分程の距離、アクセスはすごくいい。少し迷ったが、トンネルを出てすぐの橋のたもとに7台ぐらいの駐車スペースがあり、空きスペースに車を停め登山準備。横では11名のグループがすでに準備を始めており、話を聞くと、550名の会員数をほこる新潟の山の会だとか・・・

十字峡:橋のたもとに7台ほどの駐車スペース

 身支度をすませ、入山カードを記入し、9時15分出発。三国川の右岸沿いに登山口を目指す。右を見ると、今が盛りとばかりに山アジサイの群落が続き、ところどころ山側の沢から清水が滴り落ちてくる。左は三国川の急流、岩を配し、切り立った崖を背景に、流れ落ちる満々の水との対比がすばらしい。崖のところどころに咲くキスゲの朱、アジサイの藍が山肌にアクセントをつけている。

 

 山アジサイが、真っ盛り

 栃の木橋を左岸に渡り右に少し行くと丹後山登山口だ。先行した11人組がまさにこれから登り始めるところ、我々も一呼吸おき雨具をつけるなどしていざ出発。腕時計を見ると10時、登山口は標高530m丹後山避難小屋までは、標高差約1250m、15時到着予定である。

 登り口はすごく狭い、草木が生い茂り人一人しか通れないほど、それを抜けるといよいよ急騰の始まり。歩き出してすぐは人工的な足がかりもあったが、すぐにそれもなくなり、厳しい急騰が始まった。

 二合目までは、リーダーということもあり私が先頭だったが、実はその時、私はそうとうへばっていた。TNさんから皆に配給されたグレープフルーツ、汗ビッショリの体に染みいるように旨かった。しかし、それだけでは私の体力は回復せず、さりげなく「MKさん、先頭やりますか・・・」

と誘い、最後方に回ることに成功した。

 11時30分二合目出発、実はこの辺から三合目まではすばらしいブナ林が続いており、下りの時、MKさんに教えられてその美しさに見とれたところなのだが、登りの時には、付いていくのに精一杯でその余裕もない。

 12時、三合目付近の大きな五葉松の巨木の根方で一休み。

いつものことながら自然はすごい。せまい尾根道にしっかり根を張り、周囲を包み込むように枝を広げている。まるで尾根道のオアシス、上りも

下りもここで一休み、私は一服、至福の時。

五葉松の巨木の下で      MKさんお気に入りのブナ樹林帯

 へばりながらも四合目、五合目、六合目、七合目と登り、植生が変わってきた。ジャコノ峰、ジャコ平か・・・

だらだらと厳しい登りが続く。でももう小屋は近いはず、力を振り絞り登る。そして終に、眼前にシシ岩が見えた。短いクサリ場を登ると、そこは岩のテラス、すばらしい眺望、小屋まではもう30分足らず、それまでの疲れを癒し、山容に見とれ、写真を撮り、時間を過ごす。

 熊笹の道を歩き、15時30分避難小屋着、小屋が見えた時のTKさんのうれしそうな声が、きょうの登りの厳しさを現している。小屋は熊笹の道を少し降りた窪地にあり、トイレや、天水受けのタンクもあり、詰めると40人ぐらい収容できるとのこと。

  

 

丹後山避難小屋

 小屋のドアを開けると、賑やかな声に出迎えられた、件の11人組だ。14時頃到着したらしく、すでに一杯やっている。遅い到着を揶揄されたような気もしたが、早い遅いなんて意味のないこと、我々は梯子を上り2階に快適空間を作った。2階には単独行の男性が一人、我々はすばらしくゆったりした空間を確保することができた。一段落したところで、まだまだ日は明るいが、酒宴兼夕食の準備。といっても、お湯を沸かすだけなのでいたって簡単、各々が担ぎ上げた食料や酒が供せられ、すぐにささやかな酒宴が始まる。苦しかったことも忘れて、「いい山だ、いい山だ」の声、途中から隣の単独行氏も加わり、ぺちゃくちゃ、ぺちゃくちゃ、なんじゃら、なんじゃら・・・20時30分就寝

7月12日 曇りときどきポツリのち小晴れ

 私にしては前夜あまりにも早く寝たため、2時30分に目が覚めてしまった。シュラフの中でしばらくごそごそしていたが眠れず、タバコでも吸おうと小屋外に出た。それほど寒くない。気温10度ぐらいか、ションベンをし、タバコに火をつける、実に旨い、またも至福のひと時。ところが空にはもっといいものがあった。山頂では珍しくないことかもしれないが、

少なくとも私にとっては初めてのこと、半月より少し大きなお月さんの周りに、というよりも、月から大きく離れた外周に、ほの白い巨大な輪っかができているのだ。タバコをくゆらせながら考える、きょうの空には肉眼では見えない薄いカーテンがあって、そこを月明かりが透過する時に・・・こんなことが・・・

月は煌々と輝いている、その外周にまるで仏陀の光背のように大きな輪っかがあるのだ。その理屈はわからないが、しばし見とれるほど印象的な月明かり、輪っかだった。

 4時30分起床、一階は中ノ岳縦走の出発準備で慌ただしい。

彼らの慌ただしさを横目にゆっくりと朝食の準備、といっても昨夜同様いたって簡単、お湯を沸かすだけ。ラーメンやらカレーやら、各々好きなものを食べる。小屋の掃除を済ませ、、TNさんのサブザックに全員分の飲料、若干の行動食をまとめ、メインザックを小屋に置き、サブザック担当以外は全員空身で目的の大水上山へ向かう。6時5分出発、見渡す限りの笹尾根が続く、キスゲ、フーロ、カライトソウ、サラサドウダン、コバイケイソウ、などなどいろんな高嶺の花々が咲き乱れるたおやかな稜線、すばらしい。左右に広がる越後、会津、上州の山々、ところどころ残る雪渓、初夏の深緑、幾重にも広がる山並み・・・この開放感はなんだ・・・

丹後山山頂~利根川源流碑、皆で記念撮影、ここでTNさんがポケットをもぞもぞ、出てきたのはハーモニカ、「早春賦、ふるさと」を控えめに皆で歌う。ちょっと盛り上がりに欠けたかも・・・今回の目的地、大水上山着7時、計画ではこのまま下山の予定だったが、TNさんの提案もあり足を伸ばして兎岳まで行くことにする。50分ほどで兎岳山頂、眼前に中ノ岳、その右後方に越後駒ケ岳、次は、必ずやるぞ~、いい山だ~

大水上山へのたおやかな尾根道

利根川源流水源碑:後方中央に中ノ岳、その右後方に越後駒ケ岳

 帰り道、利根川源流を味わうべく雪渓に下りる、まさに源流の一滴となる頂上直下の雪渓、TKさんがナイフで掘り出した、中はきれいなみぞれ状の氷、一塊を口中で味わう。源流の一滴と思うせいかもしれないが、後を引く旨さ、幾度も口に頬張った。ここに今回の山行の目的は完全に達成されたのである。

源流の一滴を求めて雪渓を掘る

 9時50分避難小屋出発、シシ岩の絶景ともお別れし快調に下る。ところが、五合目ぐらいから太ももに違和感を感じるようになった。ペースダウン。下りにしては多くの休憩を入れながら、ゆっくりゆっくり下る。ところが、すばらしいブナの樹林帯を過ぎ、五葉松の巨木を過ぎ、二合目を過ぎ、まもなく一合目というところで、判断ミスしてしまった。後方からTNさんの「休憩」の声がかかったにもかかわらず、もう一息で一合目、そこで最後の休憩をとの勝手な思いが強く、「一合目で休みましょう」と応えてしまったのである。ところがその直後にTNさんの更なる声、TKさんが転んだのだ。幸いにもかすり傷程度で事なきを得たが、おそらくTNさんは後方で疲労度を察していたのだろう。しかし、いつものことながら下りは怖い、NKさんまで木の根っこに足を滑らしてブナの木とゴッツンしてしまった。これも事なきを得たが、本当に下りは怖い。

 ということがありながら、14時登山口着、ヤレヤレ・・・。栃の木橋を渡り、山から流れ落ちる清水で喉を潤し(すごく旨かった)、顔を荒い、14時50分十字峡着。五十沢温泉で2日分の汗を流し、六日町インター手前の店で食事をし、我孫子着20時30分、お疲れ様でした。

頼りないリーダーでしたが、メンバーに恵まれ、山に恵まれ、きつかったけれど、最高の山でした。

リーダーの心得:まずは、体力かな・・・

                        MH

  

       スックと立つ一本のコバイケイソウ

カライトソウと乙女?一人



 

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