11月の山行

<南アルプス縦走 36km 4日間>
 北岳3193m~間ノ岳3189m~塩見岳3052m



北岳山頂/鳥倉林道の紅葉と雲海
※マウスを写真にのせると入れ替わります


    
《山行報告=会山行》   

1.日程 2011年11月3(木) ~6日(日)
2.参加者 6名(女性2名、男性4名)
3.コース 一日目 11/3、曇り時々晴れ、行動時間(休息含む)4h
我孫子5:53発⇒新宿6:47/7:00(スーパーあずさ1号)⇒甲府8:28/9:00バス⇒広河原10:56/11:30⇒御池小屋15:30(テント泊)
二日目 11/4 、晴れ時々曇り、行動時間(休息含む)13h
起床3:00/4:40発⇒肩の小屋8:25/8:40⇒北岳9:40/10:00⇒間ノ岳14:20/14:30⇒三峰岳15:40/15:50⇒熊の平小屋17:30(避難小屋泊)
三日目 11/5、晴れのち曇りのち雨、行動時間(休息含む)14h
 起床 3:00 /3:40出⇒北荒川岳7:40⇒北俣岳分岐10:00⇒塩見岳東峰11:05/11:20⇒塩見小屋11:55⇒三伏峠小屋17:30(避難小屋泊)
四日目 11/6、雨のち曇り、行動時間(休息含む)3h
起床5:30/6:50⇒鳥倉登山口9:10⇒鳥倉林道ゲート10:00タクシー⇒伊那大島11:10/12:00⇒岡谷13:55/14:04(あずさ20号)⇒新宿16:30
4.共同装備 テント一式、マット、らんたん、ガソリン・ガスコンロ、他
5.個人装備 シュラフ、個人マット、軽アイゼン、ピッケル、防寒着、他
6.費用 JR 約8500円、バス 約2000円、タクシー約 3000円、共同食 約 3000円
 合計 約16500円


7.山行概要
一日目(11/3) 【紅葉の夜叉神峠】
甲府から朝9時のバスで広河原に向かう。乗客30数名がバス2台に分乗(バスの運行は今週末終了予定)。8年ほど前に夜行で来て朝4時のバスに乗り、フラフラで大河原に降り立ったことを思い出す。それに比べ今日の体調は万全(のハズ)である。夜叉神峠辺りから、車窓を通してみえる野呂川沿いの見事な紅葉をしっかり楽しむことができた。広河原へ到着後山荘へ移動し、身支度を整え出発する。しかし今日は御池小屋までの3時間行程であり、気を楽にして向かうと、ほどなく今日の幕営地に到着する(小屋の営業は昨日終了)。テント場には2組程度しかいなく、周囲に気を使うこともなくゆっくりと過ごせた。夕食は皆で持ち寄った酒のつまみと「からしめんたいパスタ」であったが、美味しく頂戴し、翌日早いため8時頃には就寝した。

二日目(11/4) 【白根御池小屋~熊の平まで13時間】
3時起床4時40分にテント場を発つ。今日は北岳、間ノ岳を越えて、熊の平までの10時間超の行程であり、体力的にもかなりきつくなりそうである。草すべりルートにて、朝一番から3時間以上の急坂登りで、小太郎尾根に着くころには、とにかく疲れてしまった。昨晩はシュラフ内が暑くて数時間しか眠れていない影響も出てきているのかもしれない。しかし、やっと尾根に到着し安堵した気持ちになる。ここまでくれば北岳の肩の小屋は近くだ。まもなく到着した小屋は昨日に閉鎖されており非常に静かだった。しばしの休憩の後北岳に向かう。山頂は素晴らしい好天で360度の眺望だ。最高の天気の時に再びここに立てたことに感謝する。山頂には数名の登山者しかおらず大変静かである。山頂から間ノ岳方面に下山し北岳山荘に辿りつくと、丁度小屋の閉鎖作業中で、ヘリによる搬出作業が行われている真っ最中であった。ここから間ノ岳を経由して塩見岳までのルートは、私自身にとって初体験となる。なだらかな尾根を歩きながら山容の大きさを感じる。広い間ノ岳の山頂に到着した時は、もうすっかりお疲れモードになってきた。しかし、ここから眺める農鳥岳は格好が良く、将来歩いてみたいルートである。間ノ岳を過ぎてからの三峰岳への道は、岩がゴロゴロしており危険で歩き難い。焦る気持ちをあざ笑うかのように岩に邪魔をされ、30分以上時間ロスをする。やっとの思いで岩場を抜け三峰岳山頂に着くと、驚いたことに自転車持参の30歳の筑波の若者がいた。自転車担いで登山とは、凄いことを考える人が居る。若者を残し先を急ぐ。午後4時近いのに、まだ1時間以上の行程が残っている。日没を覚悟して疲れた体に鞭打ちながら黙々と歩く。日も暮れかかった5時頃に、遠くの方の樹林帯の中に熊の平小屋が見えた。真っ暗闇の中5時半に到着。出発して既に13時間。疲れと暗闇で、テントを張る気力もなく、冬季避難小屋を利用させてもらうことにする。中は2階建ての綺麗な状態で30名は入れる広さがあり、先客は3名のみだったので余裕で入ることができた。水場も近く水量にも問題が無かった。但し、先客への配慮から、寂しそうな同行者の視線を感じながら、8時には酒宴を終えて横になる。

三日目(11/5) 【14時間の行軍の末、雨水で渇きをしのぐ】
この日のコースは三伏峠小屋まで。今日の歩行時間を考慮して3時に起床し、食事を摂らず3時40分に発つ。星空が綺麗で、この日も良い天気の予感がする。熊の平小屋を出てしばらくは樹林帯を進む。竜尾見晴から眺める塩見岳はまだ遠く、延々と続くその登りにプレッシャーを感じる。樹林の中の急坂を登りきると北荒川岳の山頂である。この辺りから眺める塩見岳は美しい。苦しくて大変だが好天には感謝しなければならない。北俣岳分岐直下の登りはすさまじい急登で、下山するのは更に大変だろう。この分岐を経緯し塩見岳東峰山頂に到着した。素晴らし眺望である。ここまでのきつさが報われた思いである。塩見岳からの下山も大変な難ルートだ。重い荷を背負っての急坂に怖さを感じる。3日間の縦走の疲労も蓄積しているので、ザックに振られないように慎重に歩く。直下の塩見小屋で休息している時に、この小屋の人から今夜宿泊予定の三伏峠小屋テント場での「冬季避難小屋と水場が使えるのでは」との情報をいただく。これが後ほど、ぬか喜びになるとは・・・。塩見小屋から4時間くらいで三伏峠小屋に到着予定であったが、昨日から高山病の症状と思われる眠気や吐き気を訴えていた伊藤さんの体調不良に加え、4時頃から降ってきた雨も重なり、行動時間が大きく延びていた。日暮れの5時頃には、水の確保に向けて私と畑さんが先行して避難小屋に向かった。その後、間もなく追いついた後続と合流して水場を探すが難航した。小屋から15分位の所にあるテント場用の水場が、冬季も使用できるとの情報だったが、現場へ行くと栓が閉じられていた。またこの水場は、昔の三伏峠小屋跡の水場だったということも分かった(教訓:曖昧な水場情報を信じずに、正確に事前把握しておく)。各自の持っているわずかな水で明朝まで凌ぐしかないと覚悟した時に、田辺さんが小屋の樋からの雨水を溜めていたドラム缶を発見した。その雨水を布で濾して大きなゴミを取り除き、沸騰させて飲み水として使用することにした。薄く色が付いているが、見かけを我慢すれば「命の水」になる。この夜は遅くなったため、炊飯など夕食を作るのは諦めて、持参のアルコールとつまみで夕食の代替とした。私は、喉が渇いて空腹のところに、大久保さん持参の1.8L入りワインで一気に潤したために、1時間後の8時頃には酔いと疲れで凄い眠気に襲われ、我を無くして寝袋に潜り込んでしまった。

四日目(11/6) 【無事下山し終えることができたことへの喜びと感謝】
この日の朝は昨日からの雨が依然と降り続いていた。出発の準備を整え、丸茂タクシーに鳥倉林道ゲートへの出迎えについての確認電話を入れ、朝食を取らずに出発した。時間には余裕があるので急ぐ必要は無いが、3日間の疲労だろうか足の運びが辛い。下山開始から1時間くらいのところで水場に出会う。昨晩から十分な水分補給をしていなかったこともあり、大変美味しく感動する。出発から2時間半で登山口に降り立ち、本当に長かった山行を無事に終えることができたことへの「喜びと感謝」の気持ちをお互いに、心の底から表すことができた。そしてまた、もう一つのお土産も待っていた。それは林道沿いの、雲の中に浮かんでいる素晴らしい紅葉の景観であったが、それは正しく「絵にも描けない美しさ」であった。

4日間を通して、天候にもまずまず恵まれ(特に気温は平年の同時期と比べ5度~7度高く積雪の心配はなく、雨も3日目の夕方から最終日の朝方までで、概ね晴れの天気)、素晴らしい3,000mの眺望を満喫し、雄大な南アルプスの山容を存分に感じることが出来ました。それは計画段階で、質量ともに私の本年の総決算山行になると考えましたが、その期待に十二分に応えてくれた、体力面でもかなりきつい山行でした。しかしながら、参加メンバーの方々には、あらゆる場面でご協力いただき本当に有難うございました。次なる挑戦に向けて、今後もお互いに切磋琢磨して、体力・技術・心を鍛えていきましょう。


 広河原登山口

 広河原の登山口

 広河原の黄葉

 御池のテント場

 テント場からの北岳バットレス方面

 2日目の日の出

 明け方の北岳山頂方面

 北岳の夜明け

 北岳への急登

 北岳 肩の小屋

 北岳山頂

 北岳からの富士

 北岳山頂からの下山路で
 眼前の大きな山塊は間ノ岳、その右側の丸い頂稜を抱いた山が塩見岳。その奥には、荒川三山が横たわる

 北岳から望む間ノ岳方面
 北岳方面から望む北岳山荘

 冬支度を終えた北岳山荘

 北岳山荘:ヘリでの搬出作業

 北岳山荘を後にして中白峰に至る

 間ノ岳山頂

 三峰岳山頂

 自転車担いで三峰岳まで!

 三国平(三峰岳の先)の手前から見た農鳥岳
「百名山」から外されているが、堂々とした山容だ

 農鳥岳

 熊の平への道中での日没

 北荒川岳から見た、至近の塩見岳
 不気味な色合いをとどめ、崩壊地がむき出しとなっている

 塩見岳への上り
 左は北俣岳、中央が塩見岳、右が天狗岩





 北俣岳分岐への急な上り
 不安定なガレ場、ザレ場が続いた



 塩見岳山頂からみた北荒川岳、熊ノ平、三峰岳、間ノ岳、北岳

 北俣岳分岐からの富士

 塩見岳西峰山頂にて

 塩見岳からの富士

 塩見岳の急峻な岩場

 塩見岳からの下り
 ようやく危険地帯を抜けた!

 鳥倉林道の紅葉と雲海

鳥倉林道にて紅葉をバックに

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