山伏(2,013m)
富士山 / 山伏山頂にてパーティ
(マウスを乗せると写真がかわります。)
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山行報告 山伏(2,013m)大谷嶺(1,997m)八紘嶺(1,918m)
1.実施日: 11月23日(土)~24日(日)
2.参加メンバー:SNa F(SL) MT I(CL) の男女2名づつ
3.装備: 小屋泊準標準装備(+防寒具+軽アイゼン)+2ツエルト
4.費用: 15,940円/人 新幹線割引10,550+タクシーバス4,560円他
5.コースタイム:
23日(歩行時間4:00)
我孫子05:31⇒06:18東京06:33⇒07:54静岡08:00⇒(タクシー)⇒09:10
駐車場09:40-登山口入口10:10-12:00よもぎ峠12:20-14:35稜線出会14:40
-14:55山伏小屋
24日(歩行時間6:10)
山伏小屋06:30-06:55山伏07:25-09:00新窪乗越09:20-10:00大谷嶺
10:20-13:00八紘嶺14:00-15:10稜線15:35-16:40梅ヶ島温泉
梅ヶ島温泉18:01⇒19:45静岡 20:20⇒東京⇒22:50我孫子
6.地図 国土地理院 静岡梅ヶ島または昭文社 中央・南アルプス総図
7. 山行報告
東京駅で皆さんと待ち合わせ。Fさん、Naさんとはこれが初めての山行。Naさんは入会後初の本格的山行。晩秋で葉も落ち、凍った残雪がありそうな。そして定置トイレもないシュラフでの避難小屋生活を楽しんでくれるだろうか?小屋が満員でツエルト利用になったらさらに快適さが落ちるが山を嫌いにならないかと危惧する。Nさんがご不幸で不参加。残念だが、その分も合わせわが山の会では未踏の南アルプス深南部エリアに向かう。
駐車場はすでに満杯
静岡駅に着いて、手配していたタクシーに乗り込み、登山口駐車場まで入ることに。これにより少し費用が嵩むが、バス待ち時間などを勘案するとは2時間近く短縮される。小屋の寝床確保も容易になる。未舗装の林道を熊出没の看板を横目に到着した登山口駐車場は既10台ほどで満車。時間も早くおそらく小屋泊りの方はいないだろうと推測するも、混雑の場合に備えツエルト2幕を用意している。ここで登山計画書を提出。
登山入口は駐車場から未舗装の林道を歩いて5分ほどのゲートの手前。よく左右を見ていないと通り過ごしてしまいそう。ここから標高差1,200m、距離9㎞をFさん先頭に登り始める。よもぎ峠まで西日影沢沿いで左右岸を往来したり、木々の葉落とし、残った紅葉の中を歩く快適な道。途中大きなわさび田があり、そこまでは収穫したわさびを運搬するためのレールも残っている。途中SNaさん、あそこ人間の骨?いや動物?顔が前に長いのでイノシシかシカ?と会話。大岩に到着。ここから沢を離れ、水場を通り、伐採しているところをロープをつたって通り過ぎる。さらに進むと台風等で崩落した登山道を、市の予算で修復工事をしている。ようやくこの先で下山してくる登山者に初めて出会う。そして一投足でよもぎ峠に到着。ここで数組下山者に出合い、山小屋の状況を聞く。すると、昨日は大勢の高校生たちが泊まって、自分は頂上で天幕を張ったという方がいた。よもぎ峠からは山伏の稜線が見える。 ここからは、葉を落とした自然林と笹原の中をつづら折の道。途中から以前降ったとみられる雪がところどころ散見されるようになる。
私事だが困ったことに歩き出して3時間ほど、小生はタカマタギ以来の足のすねがつる事態に。しかも両足のすねがつることに。やはり慣れていない重荷がこたえているのだろう。Fさんに声をかけ2度も歩を止めてもらう。ここからはすねをだましだまし歩を進めることに。
登りきり少し歩いたところが稜線出会い。ここから山頂に向かわず、小屋に足を向ける。急に下ること15分ほどで右手下に赤い屋根の大きな小屋が目に入ってくる。ここまで出会った登山者は10組20名ほど。
快適な山小屋
しかし、山小屋まであと数秒というところで、またもや足がつることに。今度は両すねから、太ももまでもがつることに。ここで数分立ち往生。入口は調べてあったが、主入口は開けづらく、反対側の入り口から入ることに。小生は何事もなかったように小屋に入る。ガラス窓とそれを覆う木窓があり、後で木窓を開けて明かりを取り込む。我々の他には誰もいない。そして水場も歩いて1分ほどのところにホースの蛇口から出ていた。まったく小屋は堅牢で広く20名以上の宿泊は可能、近い水場などから快適である。難点は20分ほど下った百畳峠(舗装された林道の登山口)のトイレを使えと案内紙が貼ってあるぐらい。
ほどなく3人パーティが到着、結局小屋は7名で宿泊となった。明日はその方々と同じルートで歩くので、何度か抜き差しすることになる。山頂は明日行けばいいので、早々と沈殿。LEDライトとろうそくで明かりをとり、あちらのパーティも同じ仕様。
16:00ぐらいからアルコールと前菜、MTさんが用意してくれた主食の豪勢なキノコ鍋を食べ、デザートのリンゴもあり都合5時間ほど語り合う。相手パーティと相談し21:00に就寝。小屋の半分を我々が使用し、寝床もゆったりととる。夜に入りガスが出てきて、冷え込まないなと思っていたら、徐々にガスは切れ、就寝ごろ外に出ると満天の星、Naさんから教えてもらったオリオン座もよく見えた。小屋内温度は-2度、外は-5度。吐く息が白い。
好天から富士山 南アルプスがくっきりと見える
翌朝は04:10過ぎに起床、昨日の夕飯の残りに上海餃子、ご飯をいれ雑炊風に。
出発は06:20。今日の累積標高差は1,000m、距離10㎞。稜線出会いまでのぼり返し、そこから少しでシカ害から柵で囲ってあるヤナギランの群生地に入る。このすぐ先に山頂があった。展望はとても良く、威風堂々とした富士山、静岡県とその先の駿河湾が太陽に反射して見事だ。Fさんとで地図と私のスマホの山カメラで山座同定を行う。北東側から笊ヶ岳、布引山、そして雪をかぶった荒川三山、赤石岳、聖岳、大河内岳の南アルプス連峰が澄んだ青空にすっきりと見える。西暦と標高が同じとMTさん。なるほど2013.7メートル。でも取捨五入すればまた来年も干支山になる。
一同またとない景色を堪能していると、先の山小屋同宿のパーティが追いつき、山座同定していたので小生のスマホ山カメラで南アルプスの山名をお教えする。そして彼らはものの数分で先へ急ぐ。十分堪能した我々も八紘嶺に向かう。八紘嶺までは林間に南アルプスが見えており、南アルプス好きにはたまらない山道である。ここから先は10数センチの雪が登山道に残っていて、降った雪がいったん解けて凍ったところもあり滑りやすい。地図通り牛の背のような広い尾根をゆったりとのぼり下りを繰り返し、最後に下ったコルが新窪乗越。大谷崩を登ってくる登山者が見える。
大谷嶺では三角形の北岳と大無間山を近望
大谷崩は圧巻。日本三大崩れと言われ、露伴の娘である幸田文が「崩れ」を書いたモデル地でもある。ここから大谷嶺までは何度もコブを越えアップダウンがあり、これでもかと結構きつい。崩壊地のすぐそばを歩いたかと思うと、その道はなくなり、左側の林の中に道が続いている。山道は崩壊から始終変更されているのであろう。途中真っ黒で大きなイノシシにも遭遇。大谷嶺(山梨では行田山と呼ぶ)に到着。ここからの展望も出色。北岳が鋭角の三角形をしている。南東方面は先ほどまでいた山伏、そしてその右奥に憧れの大無間山その他が見えている。ここでも景色を堪能。その後八紘嶺手前までは、緩やかに登り返しを繰り返す。五色の頭で休息後、ロープがついた幅30センチほどの狭い山道やヤセ尾根を越えて、八紘嶺到着。ここも木々が葉を落とし、明るい雰囲気、南アルプスが見渡せる。昼食とする。重荷をものともしないFさんも疲れた様子。大谷嶺からの道中、登山者には安倍峠からの5人パーティのほかトレイルランの2名1組みと3人パーティに会っただけであった。ゆっくりとNaさんが入れた幾杯かの珈琲やお茶をすする。
八紘嶺からは途中新富士見台をこえて、北方面は崖崩れで、南斜面側にザレた急な道が、一部ロープがあるところもあり、つづれ折れとなって高度を下げていく。小生は好みの山道ではないがNaさんは面白いと。富士見台に到着、富士山がきれいに見えるが、足場がよくなく、登山道も迂回されている。ほどなくザレた道から解放され、安倍峠との分岐まで下っていく。ここから下は地図では等高線間隔が狭いが、実際には、広い山道を何度もジグザグに下りる。いったん林道が見え、そのまま林道右手の山道に入り、砂利を敷き詰めた杉林の山道をこれでもかと下っていくとようやく梅ヶ島温泉登山口に下りる。ここから事前に調べておいた、入浴ができ、軽い食事もできる湯元屋に向かう。Sさんに下山連絡をいれたが、やや下山時間にずれがあったので八紘嶺で電話をいれておけばよかったかと。一浴し、ビールにおでんを食べ、バスに揺られ帰路についた(I)。
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見落としてしまいそうな登山口入口 |
よもぎ峠の先/葉も落ち、見晴らしがよい登山道 |
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豊富な水量の水場側から見た山伏小屋/左側から入る入口の立派な小屋で テラスもある 今日は2パーティ7名だけ |
山伏より/早朝の富士山は神々しい 言葉はいらない |
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山伏より/澄んだ空に南アルプス連峰が見渡せる とりわけ聖岳が大きい
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大谷嶺に向け馬の背に凍った残雪がある登山道に
向かう |
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大谷崩れは圧巻/幸田文の「崩れ」のモデル地 |
大谷嶺頂上/思った以上に広い 右奥に三北岳 間ノ岳も見える |
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大谷嶺から/北岳が鋭角な三角形をしている |
大谷嶺から/またしても澄んだ青空に南アルプスの
双耳峰の笊ヶ岳 布引山 荒川岳 赤石岳が一望 |
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大谷嶺から/今歩いてきた山伏 その奥に未踏の大無間山も近くに見える 来年はあそこに足跡を残そう |
八紘嶺手前のロープ伝いの道/ここは雪がつくと慎重さが求められる |
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八紘嶺頂上/葉が落ちあかるい頂上 心地よく大休止とあいなる |
途中の新富士見台からみた富士山も立派 |
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