10月の山行
燕岳~餓鬼岳

2763m 2647m



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夕日に輝く燕岳/燕山荘からの荘厳な日の出/進路上の北燕岳とその先の岩峰群/餓鬼岳山頂で


日程2016年10月14日(金)~16日(日)
参加者:男性5名、女性1名(合計6名)
コース&タイム
14日:我孫子駅5:41=6:11日暮里6:17=6:38新宿7:00(スーパーあずさ1号=9:39松本9:54=10:25穂高=(タクシー)=11:06中房温泉
  燕岳登山口11:30―12:10第一ベンチ12:20―12:45第二ベンチ13:20第三ベンチ13:35―14:07富士見ベンチ14:15―14:47合戦小屋
  15:00―15:25合戦沢ノ頭15:40―16:35燕山荘(幕営)
15日:起床4:00(朝食、出発準備),燕山荘テン場出発6:40―7:15燕岳7:25―7:35北燕岳7:55―9:52東沢乗越10:15―11:22東沢岳12:00
  ―17:10餓鬼岳小屋テン場(幕営)
16日:起床4:00(朝食,出発準備), 餓鬼岳小屋テン場6:05―餓鬼岳小屋6:20―6:35餓鬼岳6:55―7:00餓鬼岳小屋7:20―9:43大凪山10:00
  -12:00水場ベンチ12:20-1305魚止ノ滝―15:00白沢登山口15:10タクシー=15:53信濃大町16:33=17:29松本18:35(スーパーあずさ
  32号) =21:06新宿=22:14我孫子
費用:1人分交通費JR(我孫子~穂高)(信濃大町~我孫子)10,870円、タクシー代約3,000円,テント代1,400円、食費等1,800円
      1人分合計費用=約17,000円
はじめに
 運良く山行は3日とも晴れ~快晴(雨が一滴も降らず)天候に恵まれ、燕岳、餓鬼岳の展望は素晴らしく、目に焼き付けることが出来ました。このテント装備をして、変化のある縦走は非常に大変でありましたが、亀のように一歩一歩、でもいつの間にか遥かな峰々、奇岩、沢を歩き通して、来し方を振り返る時、厳しかったがパーティが一丸となり、協力し合って行動し、頑張って困難を乗り切り、目標を達成することが出来、大きな感動を得、達成感は格別で、満足感でいっぱいです。

14日(金)晴れ
 6人のメンバーにて、穂高駅より予約していた安曇野ジャンボタクシ―に乗り込み中房温泉に向かう。この時期にしては、登山客が少ない気がする。運転手に聞くと、先週の3連休が“山”とのことでした。車内から、はっきりと北アルプスの山々が遠くまで見える。高度1,462mの中房温泉で降りる。山行準備をして本日の幕営地・燕山荘2,712mに向けて(標高差1250m)、澄み切った青空のもと、秋の太陽に照らされて、Sさん先頭にMUさん、Tさん、Kさん、MAさん、Hの順番にて出発する。
 この登山道は北アルプスの三大急登のひとつに数えられ、合戦小屋までは、針葉樹の中の急登の連続である。しかし、さすがに燕岳は人気の山らしく、整備が良く行き届き、休憩ポイントである第一ベンチ、第二ベンチ、第三ベンチ、富士見ベンチには休んでくださいと、ベンチが設置されている。我が隊は第一、第三、富士見(遥か彼方に、本当に富士山が見える)にて休憩を取り、合戦小屋に向かう。ここで水分を補給し、腹ごしらえをして、英気を養い燕岳に向かう。
 少し進むと傾斜も緩くなり、合戦沢ノ(2488m)に着く。ここは本日の登りで一番素晴らしい展望だ。槍ヶ岳が姿を現す。ここからの槍ヶ岳の眺めは、今年8月に登った槍ヶ岳とは、見る角度が違うので、一味違った槍ヶ岳が見られる。また、明日向かう燕岳から北にある切り立った岩峰群の景色を、皆で観賞して堪能する。暫く歩いて見上げると燕山荘の赤い屋根が見えてくる。
 ほぼ予定通り(計画と5分違い)に燕山荘テン場に到着。幕営する。余りにも素晴らしい夕暮れ時の燕山荘からの山岳風景を見るために、テン場での準備を中断して、見応えのある景色(燕岳、槍ヶ岳、笠ヶ岳、裏銀座の山々等、夕日)を眺める。この雄大な景色は、異次元の世界に等しく目に映る。
 燕岳の由来は、山容全体がツバメの羽根を広げた姿からという説と、頂上部の露岩のどれかがツバメに似ているからという説でである。安曇野から仰ぎ見るこの山は、単なる尾根のこぶのようであるとのこと。
 今晩の夕食担当MUさんに腕をふるっていただき、沢山の野菜,豚肉の入ったキムチ鍋を皆さんで囲んで、ビールで乾杯! 至福の時間を過ごす。

*印:左クリックで拡大写真が見られます。

中房温泉から合戦尾根をたどる

中房温泉の出発口にて 第一ベンチにて


合戦小屋にて* 合戦小屋ノ頭から見た、明日以降にたどる岩峰群

燕山荘前のテント場に到着~日没まで

夕日に輝く燕岳 夕暮れに染まる槍ケ岳


燕山荘から見た、夕暮れ時のテント場と燕岳* 燕のイルカ岩

15日(土)快晴
 午前4時起床。夜中に満天の星を眺めることが出来、今日は快晴と予想した通り、気持ち良い朝を迎えた。お湯を沸かし、朝食を取り、テントの片付けをして、ご来光を待つ。「おおおー」ちょっとずつ日が昇ってきました.槍ヶ岳の姿も-、北アルプスの女王燕岳の姿もー。もうただ感動でした。
 これからが今回の縦走のメイン、人の多い燕岳から静かな餓鬼岳に向かいます。AM6:40分発。風化した花崗岩の作り出す風景と花崗岩の崩れた砂礫が敷き詰められた稜線はなんと美しいのだろう。目指す鋭峰、燕岳と周囲の景色を堪能しながら前進する。山の頂上は狭いが、記念写真を撮る。
 360度見渡せる雄大な景色、槍ケ岳から笠ヶ岳、裏銀座の山々、これから向かう北燕岳方面の山々、多くの名峰が集中している眺望に見とれる。北燕岳への道も快適であった。北燕岳山頂への分岐があった。そこで休憩する人、北燕岳山頂へ登る(頂上まで約3分)人に分かれ、Fさん、Tさん、Hの3人は頂上で写真を撮り、分岐に戻る。
 北燕岳から急に人が少なくなる。東沢乗越分岐~東沢乗越まで約500m下る。500m、ガレ場が多く、慎重に下る。中房温泉に下る分岐で、北アルプス山岳救助隊と出くわす。消息不明の60代男性を探しているとのこと。その男性は東沢乗越~中房温泉に下山する予定とのこと。何か見つかれば連絡を欲しいと言われる。約500m下って今度は東沢岳に向かって約250m登り返す。東沢岳の稜線に出るまで急登の連続である。
 ようやく東沢岳の下に到着。この場所で休憩する人と東沢岳に登る人と別れる。Fさん、Tさん、Hが5分位で頂上に登り写真を撮り、休憩している場所に戻る。本当に良い天気で、これから進む剣吊り方面、餓鬼岳方面、裏銀座の山々や、見下ろせば高瀬ダムがはっきりと見える。春のぽかぽか陽気のように気持ちが良いので、ゆっくりと時間をとりたいところであるが、これからが縦走の核心部分に入って来るので12時に出発する。
 正面に岩峰群が立ちはだかるように見える。いよいよ岩場に入り、アルペン的になってきた。大きな岩を右、左と巻いて進む。ついに剣吊り、餓鬼岳が見えてきた。剣吊りの手前を左に巻いて、ハイマツ、シャクナゲ、シラビソが茂る中を下って行く。大きな岩の下を巻いて少し下がったところから、今度は一気に登る。
 見晴らしの良いところから古びた梯子が見える。気を付けて1人ずつ登って行く。その先には空中に掛かった心細い木の梯子が見え、何か所か木の梯子が続く。重たい荷物を持っているのでゆっくりと神経を集中して通過するように指示を出して、慎重に渡る。木の梯子を渡るのに、神経をすり減らしていたので、見晴しの良いところで休憩する。眺めの良い景色が体を癒してくれる。ダケカンバとハイマツの中を下って行くと、やっと餓鬼岳小屋の赤い屋根が見えてくる。ようやく餓鬼岳テン場に17時10分に到着するが、予想通り窪地の狭いテン場が満員なので、テン場から南側に少し離れた傾斜のある場所で幕営する。

 テント設営する時に何かの理由でポールが1本折れる。応急処置にて使用する。
 長かった縦走を終え、本日の食担、MAさんに作って頂いた美味しいサラダ、カレーを食べながらビールで乾杯し疲れを癒す。
 山行計と実際の大幅な時間違い(3時間10分)の原因は、下記の点の通り。
 ①縦走登山道において、神経を集中させて、一人ずつ通過しなければならない箇所が多くあり、予想以上に時間がかかる。一番の原因。
 ②1日中天気が良いため、景色の良いところでの写真撮影等で時間を費やす。
 ③北燕岳、東沢岳の頂上まで往復した時間。

燕山荘前のテント場の夜明け

早朝の燕山荘とテント場 燕山荘からの荘厳な日の出


燕山荘テント場の撤収 裏銀座の山々と燕岳*

燕岳山頂を目指す

燕岳山頂を目指す我がパーティ 花崗岩の間を縫うように登っていく


進路上にある北燕岳、その先の岩峰群(燕岳から)* 燕岳山頂から見た槍ケ岳の雄姿*

燕岳から東沢岳へ

燕岳山頂にて* 北燕岳からの縦走路 広々とした見通しのよい場所を緩やかに下る*


餓鬼岳、中房温泉、燕岳の分岐 進行歩行左奥に剣吊い、右奥に餓鬼岳が見える

丸山新道を進む

丸山新道 岩場とアップ・ダウンが続く 神経を集中させる岩場の下り

剣吊りを行く

剣吊を巻いて登る 岩場の厳しさを見せる剣吊り*


核心部手前の梯子を上る 核心部通過後、緊張がほぐれ、ほっと笑顔が戻る


通過した岩峰を背後に、緊張がゆるみ、笑顔が戻る 燕岳~餓鬼岳間の最後の厳しい上り下り*

16日(日)晴れ
 餓鬼岳という命名の由来(二通り)
 1.裏銀座から見ると目の下に見えて子供のようだからという説。
 2.峻険で岩場や崖続きの山であることから、崖岳が転訛したという説。
 午前4時起床、テントを撤収しながら朝食を取り、テン場を6時5分に出発したあと、餓鬼岳小屋に立ち寄り、ザックを小屋に置き、餓鬼山頂を目指す。餓鬼岳頂上(6時35分着)の朝の情景は言葉では語りつくせない程、素晴らしかった。富士山、遥か彼方の槍ヶ岳、剣吊り方面、後立山連峰、裏銀座の山々等、これだけ沢山の山々〈名峰〉に囲まれた眺望は素晴らしい。ここでゆっくりと朝食でも取りたかったが、予定があった。6時55分に下山し餓鬼小屋に立ち寄り、下山準備をして小屋7時20分に出発して白沢登山口を目指す。
 このルートの登りは厳しいと聞いていたが、下りも重い荷物を持っての下りなので、予想以上に時間がかかる。小屋から荒れた道を下ると、百曲がりのつづら折れの道は傾斜が緩いけれど、木の根っこがあったり、多くの倒木があったりして歩きにくい。小屋から約500m強下り大凪山に着く。そこから先が急な下りのガレ場であり、崩落地である。大きな岩や、木がゴロゴロしている。慎重に下らないと、歩くたびに足元が崩れ落ちる。体から汗が噴き出ていたが、やがて最後の水場に到着。沢の冷たい美味しい水を補給し生き返る。
 これから沢沿いの道に入り、木の梯子や木の橋が次々と現れ、微妙なアップダウンもあり、侮れない道を慎重に下って行く。やがて左手に魚止ノ滝が現れる。ここからもクサリや梯子が沢山あり、左岸に渡ったり、右岸に渡ったりする。沢は水が綺麗で気持ちが良いが、安全に下るためには、手足を使って(3点確保)の慎重さが大事である。やがて、沢から森林地帯になり、白沢登山口に15時に着く。Kさんの「ヤッター」という声でようやく達成した実感が湧く。また、MUトミさんが餓鬼岳に登れた喜びを涙で表現している姿に感動する。
  山行計画と実際の時間差は(3時間10分)。原因は重い荷物を持っての、ガレ場、屋崩落地の下り、沢の下り、木の梯子、クサリ場が予想以上に多く、安全な下山を行うために慎重に下山したことによる。

餓鬼岳小屋のテント場の夜明け

餓鬼岳小屋からのご来光 餓鬼岳小屋からの早朝の富士山*

餓鬼岳山頂から

裏銀座の山々* 餓鬼岳山頂で*


剣吊り尾根(右手前)と山頂部を見せた槍ケ岳* 長野平野と雲海 左遠景は浅間山

白沢登山口に向けて下山

最終水場 白沢を左岸から右岸へ渡り、すぐに急登


トミさん、餓鬼岳登頂達成 感動の涙 ヤッター 縦走達成 全員で喜びに浸る*


信濃大町の蕎麦屋さんで反省会

  今回の山行を通して、ことわざとして 「虎穴に入らずんば虎子を得ず」を実感しました。そして、参加者の皆様は、心身ともに強かった!
  最後に、ご一緒に縦走していただきました皆様には大変お世話になり、感謝、感謝です。
  2016.10.23 Ht 記 


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