1日:晴れ時々曇り 「梅花皮小屋〜飯豊本山 往復」


 今日も好天に恵まれそうだ。これから向かう空が澄み渡っている。梅花皮岳、烏帽子岳と進む。烏帽子岳は標高が「2,018m」で「今年の山」である。 その後は、ルート上に雪が度々現れ、ルートファインディングや滑落に神経を使いながら歩くことになる。 一方で、飯豊らしい種々の花が尾根上に現れて、青空や雪とのコントラストも美しく、目を楽しませてくれる。 疲れを覚え始めた御西小屋では、NMさんのオカリナに耳を傾け、ゆったりとした時間を過ごす。御西岳、駒形岳と過ぎて、11時半に飯豊本山に到着する。 出発から既に6時間が過ぎ、予定より遅れているため早々に引き返す。 今日は気温が高いため、水分摂取量が普段の1.5倍くらいに増え、残す行程が1時間くらいのところで飲み水が心配になる。 足もとの凍った雪をピッケルで削り、NMさん持参の生クリームをかけ、即席「かき氷」をいただく。頭の芯まで冷え、体の中から涼しさが感じられる。 喉の渇きも一段落したところで、削った雪を水ボトルに詰め込み、飲料水の不安からも解放される。 雪上の行程が大半で、帰りも6時間、往復12時間のロング歩行となってしまった。 戻った小屋には、今日の道中で会った二人のみで、2階すべてを貸切った形で過ごす。 夕食は「シーチキンカレー、きゅうりキムチ、等」である。昨日購入しておいたビールを飲みながら反省会となる。 明日はタクシーが待つ天狗平に遅れないように、朝の出発時間を30分早め4時にする。 


   
 小屋の東空に日が昇る  昨日登ってきた石転び沢、手前はコバイケイソウ(遠くには朝日連峰か)
   
 アイゼン装着   今年の山 烏帽子岳 2,018m
   
 度々の雪道が  御手洗ノ池にて
   
 大日岳方面(真ん中辺りにハートが)  暫らくのオカリナ演奏会
   
 御西小屋横でハイポーズ!  飯豊山山頂で
   
 チングルマのお花畑で  美味しかった「生クリーム味かき氷」

 

2日:曇りのち晴れ 「梅花皮小屋〜梶川尾根〜天狗平」

 日の出前の4時に小屋を発ち、目前の北股岳、門内岳を越え、扇ノ地神から梶川尾根に入る。9時頃になると日差しも気温も高くなり、喉の渇きも激しくなる。 水を飲んでも20-30分で喉がカラカラになるため、普段の倍くらいの水を摂る。梶川尾根の中腹にある水場(五郎清水)で1L程度の美味しい冷水を補給しホッとする。 ここまで来れば、あと3時間強で下山でき、小国駅に向かう前に、天狗平の飯豊山荘で入浴・昼食ができそうだ。 しかし、ゴールまで残り1時間少々となった頃から畑さんの歩調が非常に遅くなり、先頭のNMさん、2番目のKD木戸さんに、 「スピードを落とし、後ろと離れないように」と声をかける。30分も経たないうちに、このままではHTさんが滑落しかねないと判断し停止する。 最初はHTさんの荷を減らそうとしたが、横になろうとするため、20-30m下の傾斜が緩やかな日陰スペースへ移動した。直ぐに横になり動かなくなる。 症状から「熱中症」が疑われたため、NMさんと私が声をかけながら、飲み水で濡らした数枚のハンカチを、首筋と両脇にあて、気化熱で涼しくなるようにと、 まな板で扇いだ。また、500mlくらいの水を数回に分けて摂取する。 暫くすると、氷を入手するために飯豊山荘まで走ってくれたKDさんが、中年の男性登山者?と一緒に上がってきてくれた。 ハンカチで氷を包み、首、脇、股関節、頭などを冷やすと、HTさんの状況も徐々に良くなってきた。 その彼が再度、氷菓を3人分持って上がってきてくれたので美味しく頂いた。 彼自身が熱中症の経験があるらしく、「体調が戻らなければ、登山口に流れている川に入るのがいい」と言い残すと、お礼をじっくり伝える間もないまま、 直ぐに下山されてしまった。親切心に頭が下がる。12時半頃には起き上がれる状態になる。 いま出発すれば、午後1時過ぎに予約してあるタクシーに乗れ、小国駅の電車に間に合いそうである。 これを逃すと3時間ほど待つことになる。幸いにもタクシーが入れるゲートまで、10分ほどで到着した。 その後、小国駅からJR米坂線に乗り、車内の同席の方々との山の話に花が咲き、米沢で乗り継ぎ上野駅に帰り着く。 4日間の山行を通じて、随所に想定外のハプニングがありましたが、同行の皆さんのお陰で、その時々に応じた連係プレイで事なきを得ました。 皆さんに感謝申し上げます。(KC記)

   
 北股岳 鳥居   門内小屋の管理人と
   
 青空になり、暑くなる予感が  今日も所々で積雪が
   
 梶川尾根に入る  「五郎清水」で給水
   
 HTさんの体調が戻り下山開始   登山口に近い分岐で
   
    飯豊の花々