~2月の山行~




横岳
〈杣添尾根ルート〉




横岳奥の院方面から赤岳方面をバックに

〈山行のデータ〉
日程 2020年2月8日(土)~9日(日)(山中テント1泊)
参加者 男性4名 TK、NK、NM(SL)、KW(CL)
コース・タイム 8日
(日の出6:40、日の入り17:20)・・・布佐6:07-我孫子6:23/6:28-日暮里6:58/7:09-新宿7:32/8:00-小淵沢9:53/10:06-野辺山10:41(タクシー)-登山口11:10/11:40‐テント場15:00
9日
起床4:00/6:15-分岐(三又峰)8:05-奥の院70m手前2,820m地点8:45-テント場11:15/12:40-登山口14:30/14:40(タクシー)-野辺山15:00/15:33-小渕沢16:04/17:12-我孫子20:12-布佐20:32
装備 共同 6人用テント一式、コッヘル、ガスコンロ、ガソリンコンロ一式、ガスランタン、ガス缶、ツエルト等
個人 雨具、防寒着、ストック、ピッケル、アイゼン、スパッツ、ワカン、ヘッドランプ、地図、磁石、携帯電話等
費用 1人あたり・・・合計 約15,400円(JR 12,600円、タクシー 1,800円、その他 約1,000円)


❖初日(8日)・・・曇り時々晴れ
 杣添尾根登山口は標高 約1,750m辺りにあり積雪は10㎝程度であった。まとまった雪は10日ほど前らしくルートは踏み固められている。凍っているところもあるようなのでアイゼンを着ける。たまたま野辺山駅からタクシー同乗になった30代?女性二人組はアイゼン無しで先行していく。今日は我々と同じ地点で幕営し、明日は横岳・赤岳に登頂予定との事だが、ザックのサイズが1周り以上小さい。
 しばらく別荘地内の車道を横切りながら西へゆるやかに登り、別荘地を抜けるころには雪質も柔らかくなり積雪も20㎝程度になる。なだらかなアップダウンを数回繰り返し順調に高度をかせぎ、予定していた幕営地点(標高は2,430m辺り)には計画より1時間早く(午後3時頃)到着した。先行していた女性二人組は、我々のために少し広目のテントスペースを空けておいてくれていた。この平坦なスペースは、以前に小屋が建っていたようである。新雪が30~50㎝ほど積もっており、ならして踏み込んでも中々踏み固まらず苦労したが、1時間くらいで設営を完了する。5時頃からテント内で酒宴を開始。その後、各自持参のカレー、親子丼、中華丼、ハンバーグ、スープなどでお腹を満たし9時頃に就寝。


杣添登山口にて


池のある あずまや


テント設営



❖2日目(9日)・・・晴れ時々曇り
 各自簡単な朝食を終え、テント内で靴とスパッツを装着し(靴にはホッカイロを入れて)6時過ぎに出発する。ワカンは残置。ザックの主な中身は行動食と飲料だけで足取りは軽い。2、550m辺りで森林限界を超えて見晴らしもよくなり、一方で、風あたりも徐々に強くなるが順調に尾根を登る。そして、赤岳との分岐の三又峰(2,825m)には計画より1時間くらい早い8時頃に到着する。赤岳方面の稜線が素晴らしい。ここから山頂(奥の院;2,830m)までは、直線距離で約300m、20-30分の行程である。
 しかしここ辺りから更に風が強くなる。風速20mくらいはあるだろうか。足元から吹き飛ばされてくる雪が顔に当たって痛い。油断をすると体が浮いてしまう。それまであまり気にならなかった鼻も感覚が無くなってきているのを感じ、急いでネックウォーマーで覆う。吐いた息がメガネに凍り付き、前方が見えなくなってしまわないよう気を付ける。5‐10mほど進んでは耐風姿勢を1-2分とることを繰り返して30分ほど進む。しかし強風が間断なく吹き付け進行を妨げるため、これ以上進むのは困難と判断し、山頂手前の梯子が見えたところで退却を決断する。テント場から前後を歩いてきた女性二人組は既に退却していたが、もう一人、これから奥の院を越えて行けるところまで行くという単独行の女性を見送る。撮影のために手袋を外すと、わずか4-5秒で指先が痛くなってしまうため、素晴らしい景観だが撮影をあきらめる。稜線に別れを告げてテント場まで一気に下る。
 11時過ぎに到着し、時間的に余裕があるので、食事をして、ゆっくりテント撤収を行う。しかし山行と違って体をあまり動かさないせいか、また風も少し出てきて寒さを感じる。1時間半位で撤収完了し、昨日来た登山口に向かう。下山を始めて1時間くらいたった頃から両手指先に違和感が出てくる。指先の腫れと、ピリピリするような痺れを感じ、同行3人とも症状を確認する。NGさんは少しの痺れがある程度だが、TKさんとNMさんの手の指先は、私同様に赤くなり、一部は紫色になっている。しかし違和感はあまりないようだ。登山口にたどり着き、間もなくタクシーに乗り帰路につく。無事に下山できたと安堵していたが、帰宅車中で更に指に変化が見られたため病院に行くことを確認する。

 翌日、病院診断の結果、参加4名の中で3名が凍傷の診断になる。
 今般の事態を反省し、寒冷、強風下の対策として、足、手にホッカイロの使用、手足が「かじかむ」ことがないよう靴や手袋の中で指を動かし続ける、短時間であっても素手にはならない等を、より徹底したい。(KW記)

森林限界を超える 左手に真っ白な赤岳が


奥の院方面からの赤岳方面


退却地点にて(1)  拡大写真


退却地点にて(2)  ➡拡大写真