7月の山行 |
北横岳(2480m)~縞枯山(2403m)~白駒池
北横岳南峰山頂で |
○実施日:2024年7月8日(月)~9日(火) ○参加者:男性2人 女性5人 ○往路:荒川沖5:28-我孫子5:52-新宿7:00-あずさ1号-9:07茅野9:20-アルピコ交通バス-10:20 北八ヶ岳ロープウェイ山麓駅10:40-10:47山頂駅 ○コース 【コース(1日目)】山頂駅11:20…坪庭北横岳分岐11:40…北横岳ヒュッテ(昼食)13:05 …13:20北横岳南峰…13:30北峰…七つ池14:30…15:50縞枯山 【コース(2日目)】縞枯山荘6:10…縞枯山7:30…五辻分岐8:20…茶臼山8:45…大石峠10:00 …麦草峠…10:45…白駒池12:00…青苔荘(昼食)…13:50白駒池バス停 14:00-ジャンボタクシー14:45茅野駅 ○復路:茅野15:18-特急あずさー新宿17:25-18:43我孫子-19:16荒川沖 ○費用: JR 我孫子ー茅野往復 8140円(5680円)特急券4480円(3120円) アルピコ交通バス:1500円 ロープウェイ1400円 ジャンボタクシー1人3000円 交通費合計 18520円(14700円) 縞枯山荘宿泊費9500円 合計28020円(24200円) ( )内は大人の休日俱楽部使用時 ○装備:小屋泊一泊(お風呂無し)ヘッドランプ、虫よけ、雨具、防寒具、飲料水 二日分昼食 行動食 小屋で一人水1リットルもらえる ○集中連絡先: Fさん |
【概要】 梅雨入りが遅れ、梅雨前線が日本海側を上がったり下がったり、天気予報が日替わりで変わる。幸運なことに傘マークが取れた。「てんきとくらす」サイトでの北横岳の登山レベルはC(不適)。この山行計画は、天候が悪い時は山に登らないコースも選べる。山荘はロープウェイ駅から20分、山荘から雨池経由の道は高低差が少なく比較的整備されていると確認した。雨マークもないので山小屋のキャンセル料の発生する前(3日前)に決行することに決めた。 当日、茅野駅バス停で北八ヶ岳ロープウェイまでの切符を買う時、偶然、帰りの白駒池から茅野駅のバスが7月13日からしか走らない事が分かり慌てた。タクシーを頼むしかないという。Tnさんが茅野駅にジャンボタクシーがあったのを見たとのことで、ロープウェイ駅に着いてから、携帯で帰りのジャンボタクシーを予約することが出来た。知らないままだったら大変だった。 100人乗りのロープウェイは観光客でいっぱいだった。中腹から上はさっと霧に飲み込まれ、山頂は強い風と霧の中だった。雨は降っていないが、私たちはレインウェアとスパッツを身に着け出発の用意をした。観光客の多くは半そで姿で、中にはすぐに下りてしまう人たちもいた。晴れていれば三大アルプスが望める絶景の所なのに残念。やっぱり登山レベルC、2200m超えの高所が身に染みた。山荘に直行するしかないかもしれないが、まずは北横岳の登山口まで行くことにした。 坪庭は北横岳の噴火によってできた溶岩台地だそうだ。大きな岩がゴロゴロした上に整備された木道を進む。霧が深く、山は全く見えない。強風に雨具が有りがたい。北横岳の分岐で、さて登るかどうかみんなで思案した。天候は午後から次第に回復する見込み。足は登山道に向いてしまった。「引き返す勇気」を胸に刻み、「行けるところまで行きましょう!」。地図を見ると、途中等高線が密な所があり心配したが登山道は九十九折りになっていた。すれ違う登山者に山頂の様子を聞くと、「ひどい風で身体が持って行かれそうになった」「何も見えなかった」と。登っていく道は幸い山に遮られて風はほとんどない。たどり着いた北横岳ヒュッテは閉まっていた。有料のトイレは使う事が出来た。一休みして出発。山頂に近づくにつれ気のせいか空が明るくなってきた。このまま回復してくれないかと願いながら登った。南峰山頂はやはり強風が吹いていた。本当なら正面に蓼科山が見えるはずと、目を凝らしたらなんとうっすらと見え始めた。そのうちいったんは頂上まで姿を現した。思わず「有難う!」と叫んだ。登ってきて良かった!来てよかった!雲の流れが速い、この雲が流れればもっときれいに見える!そのうち茅野の町、そして八ヶ岳の峰々の連なりも姿を現した。大感激!幸運に感謝! 強風で長居は出来ない、3分のところに有る北峰へ。こちらからも八ヶ岳を望めた。みんなで写真を撮り合った。 下山途中、北横岳ヒュッテのそばにある七つ池に寄った。最初の池の他は通行止めになっていたがひっそりとしたきれいな池だった。今日は下りて泊まるだけなのでゆっくり休み休み下った。天候が回復してきて眼下に今日泊まる縞枯山荘の青い三角屋根が見た。坪庭に戻ると坪庭も霧が晴れて明日登るだろう縞枯山も見えた。 笹原を少し行くとほどなく草原の中に山荘が見えてきた。小型の風力発電の風車が音を立ててまわっている。これは頼もしい。木の重そうな扉を開けようとしたら、小屋の御主人がにこにこと、しかし待ちかねたように出て来られた。ちょっとゆっくりしすぎたかな?7人に個室が3部屋用意されていた。お風呂はない。トイレは別棟だが屋根の付いた通路でつながっている。部屋に入ると窓一面に草原が見えた。これで星空が見えれば最高だろうな!夕飯まで一階の大きな堀こたつ(夏は当然火が入っていない)で他の宿泊者も交え話に花が咲いた。大河原峠から双子池を経由して来たご夫婦だった。 夕飯はワンプレートに魚を中心とした盛りだくさんな料理だった。夕飯後ほんの少し期待して外に出てみたが星空は無理だった。風車のカラカラと回る音の中、山の麓に広がる草原を鹿の群れが走り抜けていった!8時消灯。 朝食は5時30分。天候は午後から雨模様。6時出発を目指し準備した。山荘の奥さんもご主人も気さくで親切だった。ご主人のお父さんの代からの山荘だそうだ。奥さんは騙されてここに来たと笑っていた。最後に奥さんに山荘をバックに全員で写真を撮ってもらい出発。 |
風をよけてハイマツの中で一休み |
クリーム色の石楠花 |
雲が切れて現れた蓼科山 |
強風の北横岳北峰 |
七つ池 |
北横岳ヒュッテ |
今日は雨池コースと、縞枯れ山登山コースを選択する。「雨池コースは道が歩きやすい。縞枯れ山は溶岩の山で登りにくい」と山荘の御主人が言っていた。雨池峠でまた思案。昨日、頑張れたんだから今日も行こうと縞枯山コースに進む。登山道は直登、まっすぐ山頂を目指している。休憩を取りながら登っていく。シラビソの高木の上を風が吹き抜けていて今日も風が強い。山の名前の由来である縞枯れ現象で、シラビソが重なって倒れ、まるで乱雑な材木置き場のようなところが時々現れる。強風に揺れる木の溶岩を抱いた根っこが岩ごとゆらゆらとしている。耐え切れず間もなく倒れるだろうと思われた。溶岩だらけで土は少ない。溶岩の重なりで下が抜けている所が多い。これでは大きい木は耐え切れない。強風に煽られキーキーと音を立てている木もある。 山頂は樹林の中で見晴らしが無いが、展望台も雲に阻まれ何も見えないだろうと展望台には行かなかった。茶臼山への道は又まっすぐ降下している。岩だらけの下りを気を付けながら下りる。五辻への分岐で休み茶臼山(2384m)へ。大石峠はなかなか現れなかった。結構長い下りが続いた。 麦草峠で国道を渡り麦草ヒュッテの前の開けたところに出た。今日は臨時休業と看板が。どうも貸し切りのようだ。白駒池までは歩きやすい木道の眺めの良い道だった。茶臼山その奥に縞枯れ山も見える。まず白駒荘でお昼を食べようと向かうがここも貸し切りで入れない。トイレは貸してくれた。まだ新しい建物で食堂からの広い窓一面に白駒池が輝いている。Tnさんがそういえば白駒荘は前に火事にあったニュースを見たと。それで新しく建て替えきれいになったようだ。残念。元の道に戻りMrさんが「ラーメンがあったよ」と言う青苔荘を目指す。青苔荘の主人は最初ぶっきらぼうで、食事をしたいというと「何を食べるの?」と小さな窓から。メニューは?と聞くと「入口にあるだろ!」これにはびっくり。そこへ雨が降ってきて、「どこで食べればよいですか?」と聞いたら「中に決まってるだろう!」面白くなってきた。 ここは苔の観察とかで有名な青苔荘、そのご主人。あたふたとラーメンを作り始めているのが見える。私たちはまだ雨の軒下。食堂の入り口には鍵が。なんだか変だなあとみんなが思っていた。そこへ奥さんが重い荷物を担いで帰ってきて私たちを売店から奥へ通してくれた。後は、奥さんが戻り機嫌を直したご主人、「7人も来たからびっくりしたよと」とつぶやいていた。出てきたラーメンはみそ味で山菜の天ぷらも入っていて美味しかった。外は雨が降っている。タクシーに時間を早めてもらう為連絡しようとするが通じない。困っているとご主人が自分の携帯を貸してくれて無事時間変更をすることが出来た。お礼の気持ちも含めて、コーヒーを追加注文した。すっかり打ち解けたご主人は冗談も飛ばし始め、縞枯れ現象についても解説してくれた。「縞枯山はシラビソの純林で風が強いため高木になると倒れる。下からは若木が育ち、それが三段階くらいですすんでいき縞枯れ現象になる。世界的にも珍しい現象なので世界遺産に登録しようという話もあったけれど、今鹿が増えてシラビソの若木の樹皮を食べるので全枯山になるかもしれないんだよ。」と教えてくれた。鹿がすごく増えたそうだ。 白駒池バス停に時刻通りにジャンボタクシーが迎えに来てくれた。茅野駅で特急券の変更をしようとしたが「器械で変更して下さい」と。「えー!」というと器械の所で一人一人に駅員さんが出てきて教えてくれた。が、これからはこういう器械とのお付き合いが大変になるなあとあらためて思った。もう切符はネットで取る時代になっている。今回も試したけれど、乗車する駅も違い、条件も違う7名が近く又は同じ車両に乗るにはどうすれば良いか分からず、柏駅のみどりの窓口で取った。時代に付いて行けるのか?我孫子駅にみどりの窓口が無くなったのは本当に困る。 |
縞枯れ山荘を出発 |
縞枯れ山を登る |
縞枯れ山 山頂で |
立ち枯れたシラビソ |
麦草ヒュッテ |
麦草峠の鹿よけネット |
青苔荘 |
不安定な天候の中、ご参加下さった皆様有難うございました。皆様のお陰で無事山行を終えることが出来ました。 シラビソの若木の枝のフリルのような可愛さ、 水苔のベースにみずみずしく育つ苔や木の若芽に癒される山行でした。 山口記 |