6月の山行


三ツ峠山
〈岩登り野外実践訓練〉



三ツ峠山荘の休憩所(デッキ)から望んだ富士山



実施日 2025年6月28日(日帰り)
参加者  男性5名(Kwさん、Thさん、Htさん、Mtさん、LのTk)  
行路     アクセス往路 JR常磐線・天王台4.48―我孫子4.51―4.55柏4.58(柏で千代田線に乗り換え)―5.06新松戸5.14―6.11西国分寺6.26―6.51高尾7.05―7.41大月7.55―8.52河口湖9.00(タクシー)―9.30三ツ峠登山口  
 登山  (駐車場奥)9.45登山口―11.30三ツ峠山荘(ベンチで食事)12.05―12.15天狗岩・・・ 昼食を済ませて、15時ごろまで岩登りの練習―下山開始15.10―16.15三ツ峠登山 
 アクセス復路  16.30―(タクシー)17.05河口湖17.22―18.18大月(駅前で打ち上げ)19.27―20.07高尾20.22―21.30ごろ上野・・・・22.20ごろ我孫子帰着  
装備  無雪期軽登山装備+岩登り装具(50メートルロープ2本のほか、スリング・カラビナなどの小物類や、個人のハーネス、確保器具などと水筒、食事)  
経費  JR(我孫子←→大月/休日おでかけパス)2720円、富士急(大月←→河口湖)1070円×2、タクシー(6200円+6700円)/5 ・・・1人計7400円(打ち上げ経費を除く) 
 連絡先 Frさん 



屏風岩(関東圏でも有名な岩登りのゲレンデ)/三ツ峠山荘の休憩所から見下ろした光景

【山行】
 三ツ峠山はアクセスが意外と長い。訓練の時間を長く取るため、今回は山頂まで最短の「三ツ峠登山口」から入山することにした(岩が目当てのパーティーはたいていこのルートを取る)。富士急行の終着点の河口湖駅で下車し、ワンボックス型のタクシーに乗った。時間が早いため、観光客の姿はまだ少なかった。駅から河口湖を左に見ながら三ツ峠山の西側を回り込み、御坂峠を越える旧道(富士河口湖笛吹線)に入っていき、さらに旧道から細く林道が分かれる地点がバスの終点、「三ツ峠登山口」だ。タクシーだとさらに奥のゲートの手前まで、500メートルほども入ってもらえる。小さな広場風の平坦地があり、水洗のトイレが設置されていた。10台以上、車が停めてあった。
 写真を撮ったあと、Knさんに先頭をお願いして登山が始まった。しばらくはコンクリート敷きの緩やかな登山道が続いたが、ところどころで傾斜が強まり、轍の道になった。少し歩速を緩くしてくれるようにお願いした。後ろから古風なジープが追い越していく。運転者から「すみません」と丁寧な声が出されたのに、少しなごみを感じた。1時間で休憩後、さらに行くと三ツ峠山荘に着いた。ほぼ予定どおりだ。気持ちのよさそうなデッキとベンチが設置されていた。そこから富士山と、少し俯瞰する角度に屏風岩の懸崖を眺めた。小屋のご主人にお断りを言って、ベンチを使わせてもらい(1人100円の薄謝を、とのこと)、早めの昼食とした。屏風岩には、登攀をするパーティーがシミのように見えた。富士山はほとんど雪が消えていた。裾野の広大な無林地帯は北富士演習場だろう。 Thさんが小屋に尋ねたところ、午後に登山口からの河口湖行きのバス便はないという。タクシーを頼むしかないようだ。行動計画を相談し、タクシーの迎えを4時半、下山開始を3時とした。訓練に充てられる時間は3時間足らずしかない。急がねばならない。
 食事を終えて、岩場に向かった。木無山のほうに300メートルほど進むと、「展望台」の表示があり、登山道から外れてそちらに踏み出すと岩の展望台があった。もう30年以上前だから不安だったが、そこで間違いなかった。展望を楽しんでいた登山者をよけながら、準備をする。そこへほかの登山者がやって来て、「ここを登るんですか」と怪訝そうに言った。確かに、岩になじんでない人には、この展望台は周囲が切れ落ちていて、「怖い」場所に違いない。展望台とはそういう場所だった。
 私たちは全員、ハーネスを装着した。岩場のあちこちにはボルト類が多数残置されてあった。最初は、岩場からロープを降ろす際の確保(ビレー)の取り方だ。そして、確保をまとめてボルトから取り、メインロープを2本、下に投げ降ろした。それから岩の下に移動した。そこで、適当な登攀ルートを探してロープを移動させ、トップロープ*で登攀訓練を開始した。 
 Knさんから、「自己確保(セルフビレー**)」を忘れないように、との注意が何度も飛んだ。
 訓練事項はおおよそ次のとおり。
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1)岩場の通過・登攀時の基本姿勢
 ・岩登りにおける「3点確保」
 ・岩場での基本姿勢や足の置き方
2)登攀(クライミング)
3)ロープを使う際の支点(確保点)の取り方、確保者のロープ操作
  ?支点、確保点、ビレー点、プロテクション、自己確保、セルフビレー、アンカー
4)懸垂下降 



駐車場にあるトイレの前で


ハルゼミが激しく鳴く林道を進む


荷物運搬用のジープが追い越していく


ちょっとひと休み


三ツ峠山荘/この前に立派なデッキが設置されている


岩登りが始まった/岩登り初体験のThさん(左上)と指導するKnさん
幸い、競合するチームは全くいなくて、気兼ねなく訓練ができた


上るルートを見定めたいが、意外に難しい


ロープを降ろす前に、まずすべきはビレー点の確保



この傾斜の岩場を、ルートを選んで登攀する


確保に余念のないKnさん(肩絡み確保)


確保器具による確保


最後のKnさんが登り切った


ようやくひと通りの訓練が終わった/上部の棚の上で


ロープの操作は「際(きわ)」が大切


岩場の上は展望台となっていた/下に見える市街は都留市方面か


最後に懸垂下降/余裕の笑顔がよかったMtさん


みんなで楽しむ懸垂下降


お疲れさまでした


あっという間の、楽しかったひとときを惜しむ


 あっという間に時間がたっていく。最後に、岩場の上部のほうで懸垂下降を行ったが、時間切れで1人1回だけしかできなかった。また僕は確保者をずっと引き受けたが、登攀も確保もどちらも同等に重要だから、本当は全員に両方を学んでほしかった。
 この岩場を選んだ理由を反芻した。岩場はどのゲレンデも込んでいる。場所が少ないし、いい岩場を競って取り合う。そういうのがどうも性分に合わない。この岩場だけは、間違いなく静かだった。
 10分遅れでの下山開始となった。下りはいつも、こんなに登っていたのか、と思わせられるくらい、意外に長いものだ。久々の登山で足が痛んだが、我慢をしいしい、遅れて登山口まで戻ってきた。タクシーの到着まで15分も余裕を残していたのは、下山後の疲れ落としのご褒美だった。
 河口湖駅からは折よく短い待ち時間で大月行きの電車に乗ることができた。駅の周辺は観光客、それも外国人で混雑するほど賑わっていた。電車の中も同じようだった。世の中の様変わりを痛感した。
 大月では、構外に出て打ち上げの店を探した末、やっとありつけた店が期待外れだったが、ビールでこの日の疲れを癒すことができた。

【謝辞】
 訓練では、特に当会切っての岩登りのスペシャリストであるKnさんのご指導をいただいた。Mtさんには、ストックをお借りした。厚くお礼申し上げる。またご参加の方々には、まだまだ上を目指すという気魄を感じさせられ、「こうでなくては」とうれしく思った。
 残念ながら、直前になって2人が事情で不参加となったが、みなさん、お疲れさまでした。(Tk記)

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