雨具(レインウエア)の保管



                                        2014/0/7/25 我孫子山の会・育成係(KM)

 山行中に雨に出あった時には、雨具(レインウエア)の大切さをあらためて実感しますが、その維持・管理については意外に誤解も多いので、ここで整理しておきたいと思います。

◇ゴアテックスの撥水の仕組みと防水の関係
 「撥水」は、素材の表面で水をはじく機能。ゴアテックスの表生地に施されていて、雨をコロコロと水玉のようにしています。一方、「防水」は、素材そのものが水を通さないことを意味します。
 撥水加工の表面をぐんと拡大してみると、小さな柱(撥水基)が整列したような形になっています(-左)。でも、生地表面の汚れや摩擦によって柱が乱れたり、倒れたりすると、がくっとパワーダウン。その結果、生地表面に水分が残って、ウエア内からの透湿を妨げたり、生地自体が重く、冷たくなったり。防水が効いていても「肌が濡れている」と感じるのはこのためです。この倒れた柱は洗濯と熱処理で簡単にケアできます。

◇洗濯は、使用するたびに!
 生地に付着する汚れは、目に見えにくいものが多く、特に雨天使用時には、大気中のさまざまな汚れが付着します。理想的には、使用するたびに洗濯したいものです。適切にこまめに洗濯することで、レインウェアの寿命を延ばすことができるのです。

◇家庭用洗濯機での洗濯・乾燥の方法
① 洗濯絵表示タグの確認
 ファスナーなどの付属品によっては洗濯機が使用できない場合がありますので、その際には手洗い。

② 洗濯用ネットに入れ洗濯機へ
 ・ファスナー…すべて閉める。
 ・マジックテープ…すべて閉じる(生地への引っかきを防ぐ)。
 ・収納フード…取り出して広げる(洗剤や汚れの残留を防ぐ)。
 ・コード類…すべて緩める(汚れ落ちのムラやシミの発生を防ぐ)。

③ 中性洗剤を入れ洗濯する
 できれば、ぬるま湯を使用。

④ 十分にすすぐ(標準の2倍ほど、脱水はしない)
 防水素材は水が生地を通過せず、すすぎの効果が弱いので、標準の2倍ぐらい多く行う。もし洗剤の成分が生地上に残ると、撥水性・防水性・透湿性といった機能を低下させる原因となります。防水素材のウエアを脱水させると、生地が水を通さないため、大きな遠心力が洗濯機にかかり、故障をまねくことがあります。

●乾燥機を使用する場合
 ⑤ 乾燥機で乾かす
洗濯絵表示タグを確認し、乾燥機の使用が可能なら乾燥機の使用をおすすめします(撥水性能の回復や余分なシミ発生の防止になります)。

●乾燥機を使用しない場合
⑥ 生地を絞らずに、軽く水を切るる
 強く絞ると生地を傷める場合があるので、軽く押して水を切る程度。

⑦ 陰干しする
紫外線は生地にダメージを与えるので、風通しの良いところを選び陰干。

⑧ あて布をしてアイロンがけする
 自然乾燥後、撥水性能を回復させるため、中温で当て布をしてアイロンをかける。

◇長く快適に着用するための保管方法
 ゆったりとハンガーにかけて保管。スタッフバッグに入れたまま保管すると、水分が残りやすく生地にダメージを与える可能性があります。
 
 
 図 撥水(左図)とゴアテックスの透湿性機能(右図)

        
                          
*参考資料
 本資料を作成するに当たって、下記を参考にしました。
 ・日本ゴア(株)パンフレット 
   ゴアテックス製品については
     http://www.gore.com/ja_jp/products/fabrics/index.html

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