持っておくと心強い

「お助け」装備

 


 登山では意外なところに「落とし穴」が控えています。山行の途中で靴底がはがれた、水場の水が濁っていた、捻挫や靴ずれを起こしてしまった、メガネがこわれた、テントが吹き飛ばされそうになった、テントのポールが折れた、などなど。ちょっとしたこともあれば、ときには重大な事態も発生します。そんなときにも、あわてないで、冷静に対応しましょう。そのためには、それなりの「備え」が欠かせません。全部持ってもたいした重さにはなりません。1パーティーに、これらをまとめて1セット「共同装備」として持っていれば、さあというときの「お助け」になります。また共同装備でなくても、リーダーたる役割を負った人は持つように心がけたいものです。
 なお、ツェルト(簡易テント)や規定のロープは非常用とはいえ「通常装備(登山での必携備品)」に含められるので、ここでは除外しました。また、けがなどによる救急時の薬類なども除外しました。これらに関しては、別項の「山行別の装備類」、「救急用薬品・備品類」を参照してください。(2014/08/31 我孫子山の会)



 

備品(装備)一式
 これらはひとまとめにして、適当な袋に入れておきましょう。テントやツェルトを持っているときには特大ポリ袋はいらないでしょう。



補助ロープ(左)と細引き(右)
 登山靴の靴紐の代わりとして、テント、ツェルトの設営時の張り綱として、また何かを縛る時に使用します。また、ちょっとした危険地帯を通過する際に、また初心者が岩場を通過したりする際に適用します。
 細引きは、氷結面を通過する際に口底に巻けば、滑り止めに使えます。
 この2つは長いものであれば、ツェルトの設営に天井の縦軸として通して張れば、吊り天井として強い補強となります。






スリング(シュリンゲ)
 縫い込みのもの(ソーンスリング)で、60㎝、120㎝など各種と、カラビナ(安全環付きカラビナと変D型のカラビナ)。
 徒渉のときやガレ場、岩場の通過の際の滑落や転落防止、一時的な事故確保に使用します。初心者、不慣れな人のガレ場の通過に出せば、より安全が確保できます。何本かを連結すれば、より長い間の通過で適用できます。また、ロープ型スリングならほどいて何本かを連結すれば、さらに長い間隔のある場所で使えます。


ビニールテープ、瞬間強力接着剤、多
 機能型折りたたみナイフ

 ビニールテープはテントやツェルトの破損(破れ)、登山靴の靴底(ビブラムソール)のはがれの応急措置用などに使用します。そのほか、ザックや水筒など壊れた物の補填修理に使用できます。
 なお、使い方を間違わなければ、短時間応急的にテーピング用にも使用できます。
 瞬間接着剤(アロンアルファR)は靴底がはがれたときなどに応急的に使用できます。
 ナイフは幕営生活では、調理用はもとより、なくてはならない備品です。


可塑型副子材(サムスプリントR
 捻挫した箇所(関節)の固定や骨折部の副子(添え木)として使用します。可塑型(形が随意に変えられる)なので、患部に応じて形が整えられ、さらに表面が軟質材で被覆されているので、皮膚を傷めるおそれが少ないというメリットがあります。
 


三角巾、テーピングテープ、皮膚保護
 クリーム(デュクトンR

 三角巾は応急措置などに用いられる包帯の一種で、捻挫部位や骨折部位の固定、副木の緊縛、そのほか止血など外傷性の損傷時にと多目的に最適です。
 テーピングテープには非伸縮と伸縮性の2種類があります。非伸縮性のものは、患部の安静が好ましい場合で、靴ずれや骨折、関節を痛めたときに患部に用います。伸縮性のものは、使い方を誤ると圧迫による血流障害をもたらすので要注意ですが、関節など動きのある患部に用います。
 皮膚保護クリームは、靴ずれ、汗かぶれの予防とアフターケアのために使用します。スプレー型と軟膏型があります。


その他
 特大ポリ袋は緊急時に更衣室に、緊急のビバークで低体温症防止に役立ちます。
 針金はメガネの修理、登山靴の底のはがれ、テントのポールの切断の応急措置などに使用できます。軟性のと硬性の2種類がありますが、前者がよいでしょう。
 ペットボトルは、腹を半分に割れば、捻挫や骨折の際の副子代わりになります。また、水が欲しいときに導水装置に使えます。
 サバイバルシートは天候急変による気温の変化や雨、風から体を守るための緊急用です。大きさの割(ティッシュペーパーくらいの重さと大きさ)に優れています。
 救助笛は、声が出せなくても人の耳に居場所を知らせられます。ケース付きでその中に個人データーを入れられます。

前のページ