12月の山行


扇山(忘年山行:1,138m



扇山

【実施日】2008年12月7日(日)
【参加者】10名(男性:5名、女性:5名)
【コース】
 我孫子(5:12)→新松戸(5:35)→西国分寺(6:45)高尾(7:11)→鳥沢(7:41/8:00)→梨ノ木平(9:10)→扇山(10:40/13:00)→鳥沢(15:51/15:54)→高尾(16:33)→西国分寺(17:06)→新松戸(18:15)→我孫子(18:27)
【費用】ホリデーパス:2,300円 & きりたんぽ鍋代:600円
  
【山行概要】
鳥沢駅から梨ノ木平までの舗装道路を歩くのは、全く楽しくないな~と何時も思う。けれど、今回は違った。20分程歩いて後方を振り返ると、裾の方まで真白な富士山が、とてもくっきりと青空の中にに聳えている。その姿をコウゴウシイとさえ思う。雲ひとつない、びっくりするような紺碧の空に、これまた、びっくりするような美しい富士山が、ずっとお供をしてくれるのだと思ったら、アスファルトの道も気にならなくなる。「こんなに美しい富士山は見たことないね」と、口々に話しながら、上っていく。1時間程で、梨ノ木平に着く。ここが登山道入り口だ。汗を拭きながら、樹林帯を登っていく。「冷える」との予報だったが、暑い。しばらくして、視界が開らけたと思ったら、あの美しい富士山が、再び、くっきりと姿を見せてくれる。心が洗われる気がする。枯草で覆われた山頂は、平らで結構広く、宴会にはもってこいの場所だ。早速、きりたんぽ鍋の準備に取り掛かる。女性5人が手分けして用意した、鍋の材料をリュックから取り出す。比内鶏のスープと昆布だし、鶏肉、しらたき、豆腐、人参、大根、牛蒡、葱、舞茸、きりたんぽ、せり、と次々に鍋に入れていく。男性は、早や、各人が持ってきたツマミで、ビールを飲み始める。「できた!」比内鶏のスープと地鶏、少し贅沢かもしれないが、それだけのことはある。実に美味しい。食べる方が進めば、飲む方も進む。吟醸酒の1升瓶がどんどん減っていく。これは「冷や」で飲んでいるが、別に熱燗もある。そして、ワイン。余興は、ハーモニカの伴奏で、「ふるさと」を合唱。ベートーベンの第九交響曲の「合唱」は、ハーモニカの演奏が素晴らしい。和菓子とお茶で、宴会はお開きとなる。みんな、少し酩酊気味なので、「元来た道を帰る」ことにする。素晴らしい天気に恵まれ、気が置けない仲間と、ゆったりと登り、頂上で鍋を囲み、そして・・・・。終始、リラックス気分で和気あいあいと過ごせたことが、とてもうれしい。

 
1:鳥沢駅から30分歩くと、富浜町鳥沢部落の民家越しに扇山の全景が近くに見えてくる。ここから、それでも3時間、標高差700m程度登らなければならない。
2:ゴルフ場の上の登山道から少し進んだ、杉の人工林。
3:峠までの約六合目、登山道のわきにある、このコースただ1か所の水場。帰りにはここで水割り用の水に入れ替える。
4:水場の少し上から突然見えた、真っ白の富士山。この時季にしては、今年は被雪量が多い感じだ。裾の下のほうまで雪をまとっていた。五合目から上は地肌がまったく見えていない富士山は珍しいほど。たぶん、今日の山行に先立ち、最近、かなりの降雪があったことをうかがわせる
5:杉林を抜けて、コナラ類の落葉樹林帯の登山道に至る。急に明るくなって、尾根まで間近い。
6:峠に着いた。右(東)にたどれば10分で目ざす山頂に至る。左(西)に進めば、百蔵山に行く。奥秩父の山稜が、青色の地の中にくっきりと境目を画する。この時季、山面はほんとうに複雑な混色を見せる。紫や褐色、濃緑色、肌色や茶色、それに黒に近い彩色がほとんど限りないパレットであり、キャンバスだ。
7:尾根から山頂に行く手前。
7-2:尾根から山頂に行く手前の、明るく開けたアーケイドのような樹林。樹高が高く、開放感があるのが、ここの特徴の1つだ。アッと思ったとたん、山頂の平坦な草地に飛び出す。
8:山頂での団欒の模様。わが会の10人が集まったが、これまでの最少人数だった。でも、ビール、日本酒、ワインと並び、ツマミ類でにぎやかだった。
8-2:この日に用意されたきりたんぽ鍋。特上比内鳥でとったダシがさえた。青空はさらに青く、奥秩父の峰々がいっそう目を引いた。2時間半、山頂でこうして、陽光を浴びながら過ごした。東には遠く東京のビル群が、剣山のように鋭い尖りを見せていた。
9:さあ下る、という前。みんな、なにを表わしているか。「背中で表現してくださいね」と言ってとってもらったポーズだ。遠景は奥秩父の峰々。
10:下りで見た、日没へのかすかな助走。樹林が作り出す光の造作がすばらしかった。すでに南からの陽光は勢いを失い、表面の光を強く反射するかわりに、背後に黒い影を作った。茶褐色の大きなカモシカのような形の倒木が、森の造作物の1つとなっていた。
11:尾根から、もと来た登山道を引き返す。楽しかった頂上の時間も、あっという間だった。さっき上りで見上げた峠を、早足で下る姿は、なにか足早に行きすぎる冬の嘉日の情景、あるいは人生そのものに似ている。落ち葉の音を聞く余裕が下りではできていた。めいめい、どんな思い出を刻んだことだろうか。こうして落日は確実に来る! だからこそ、山に登るというんものだが・・・。
12:車道まで下ってきた。たまに腐葉土にでも使うのだろうか、落ち葉の収集にやってくる軽トラックくらいで、この車道を行き交う車はいない。
13:HさんとFさんが並んで下る。あと、距離をおいて初冬の趣を視界いっぱいに収めた。色とりどりだったが、いまは陽光を透かす広葉樹の葉しか色を示さない。黄昏、日没が近づいている。電車では、とっぷりと暮れ、窓外から西の空が紫紅色から黒紺色に変わっていくのを、想像した。車道と登山道とが交錯しながら、何度か来た村落の中の細い道を下ることとなる。駅の前の国道の山側には、和菓子屋さんがあった。「きんつば」の文字が見えた。駅では、3分後に電車がやって来たが、きわどく間に合った。
14:西側の針葉樹が切れて広葉樹にさしかかった。まだ日の光が射している。

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