2009年2月の山行
タカマタギ
(標高 1529m)


                          
棒立山からタカマタギへの稜線を行く

 〔タカマタギ  1529m (標高差900m)〕


1.実施日: 2009228日(土)から31日(日)

2.参加者 5名 女3名の計8

3.コース

228

5:41我孫子---6:14上野627 ---8:14高崎823---9:27水上0950---10:08土樽

毛渡橋11:20~11:40尾根取付11:40~14:15 テント場

31

テント場05:1506:30棒立山06:557:35タカマタギ山頂8:009:25テント場10:3012:15尾根取付12:2512:45毛渡橋~タクシー---13:15越後湯沢14:08 –15:34上野15:52---16:27我孫子

4.概算費用:我孫子-土樽乗車券3,890円(越後湯沢-上野自由席新幹線2,520円;片道)

タクシー 880円の計11,000/人前後

5.装備:
〈共用〉テント、マット、コンロ=ガソリン
1式(ガソリン2本込み)+
ガス
1式(カートリッジ込み)コッヘル=中大1式、ランタン1個(カートリッジ込み)
スコップ
2本、補助ロープ1本(8mm×30m)、標識棒、その他
〈個人〉冬山用装備1式(衣類)、寝具、ピッケル、アイゼン(12本)、ワカン、テントシューズ、

6.地図 1/25000   越後湯沢

 


期待と不安のゆりカゴの中

いったい何年ぶりであろうか、冬山は。それほど、思い起こさないほど、過去のものとなっていた冬山。その冬山、しかも、数年前にも提案しながら、行くことあたわずであったタカマタギ。ところが今年度は自分が提案した山で、自らがリーダーとして。ワクワクする気持ちと裏腹に、行けない自分をどこかに探そうとする自分がいた。

前日も、帰宅がPM10:00。山の準備は、これと言ってできていない。先週末、我孫子での山行打ち合わせの帰路、車で神田によって購入した発熱する靴下と雪山用前開きスパッツ。それが、装備の事前準備と言える程度。なんとか、押入れの奥から、シュラフやアイゼンを引っ張り出す。1昨年には、プラスチックブーツが劣化からパカっと割れて使い物にならず、山用は、今履いているHANWAG LOKKEYの登山靴しかない。新たに靴を購入するには、時間も金もない。そこで、雪山で山靴内に冷たい水が滲み出てくるのを我慢しようと、汗に発熱する靴下を購入した。さらに、12本爪アイゼンがつくかどうかのチェックを行うが、プラブーツに合わせていたので、当然大きさがあわない、ところがアイゼンの長さ調整用六角棒が見つからず、探すのに小一時間も費やす。やっと見つけ、調整し、なんとかフィットできたと安堵。眠りに着いたのが夜中の午前2時。起床が4時半でわずか2時間半し眠れないことに。

翌朝はなんとか想定時間に家を出るが、荷が肩にずしりと重い。この肩への加重も何年ぶりだろうか? 歩き出すと、なんとか歩けるが。

「いよいよ」だとはやる気持ちを抑える


メンバー7名と上野駅発のボックス席のある車両にて待ち合わせ。みな巨大な荷物を背負っていて、周りの旅行客などの中では異様な出で立ち。荷を上手にシュリンゲで列車出入り口にくくりつけ、席に座り食事を取る人、地形図でルートを確認する人と様々。何本か乗り継ぎ、高崎・水上を越えると、ようやく車中から、真っ青な空に、白い雪山が映える。これはもうけもんだぞと。ラッセルを予期していただけに、先行者はありそうは気配。はやる気持ちを抑えるのがやっとであった。しかも土樽駅で下車したのは我々だけ。そこで、飲料水がないことに気づき、駅舎内でそばを通りがかった方に、水の場所を聞こうと声をかけると、ここにはないので、あげるよと、蓄えていた貴重な飲料水を分けてもらう。

そして、各自荷を整え、上り方面にある駅舎をでて、右側(水上方面)に戻る。そして、ぐるーっと回り込み、湯沢方面に歩を向け、毛渡沢橋を渡りきったところ(平標山の指導標あり)で左折。この先に雪があり、オーバーズボンははかないものの、ロングスパッツをつけることにする。もちろん日焼け止めクリームを塗り、サングラス必携となる。関越自動車道と上越線の陸橋をくぐり抜けた先で、平標新道に出会い、道を右にとる。ただ、ここが林道であるが、ガードレールがあるわけでなく、そうした空間が先へと続いているだけである。途中、倒木を巻いて、わずかで、赤布が数枚ついた木のところにつき、ここから取り付くことする。


秀逸なテント場とツワモノ勢ぞろい

最初は、荷も重く、また雪山の登りに慣れないので歩きにくい。その後は急坂。トレースは残っていた。前をスノーシューで歩いた跡がある。久しぶりの重荷に汗が吹き出る。いつもならポカリでカバーするのだが、今回に限って水分補給を怠った。いや他のシーズンのように水を飲みたい気持ちがわかなったからである。尾根をたどっていき、送電鉄塔を越え、あまりの天候のよさから、天候悪化時に迷わないように準備していた標識棒を、途中デポした。小生は、テント場設営の手前5分ほどで、両足ともにつることになり、激痛が走る。Tさんが、Iさんから預かったインドメタシン配合の塗り薬を、立ち往生している小生のところに、持ってきてくれたので、事なきを得ることになる。実は、この悲劇はまだ続く。最後のひとのぼりで台地の上に突如でた。ここが1,040m台地である。

ここで南方面に方角をかえることになる。今日は、ここをテント場とする。やや雪庇上でもあり、気をつけながら、雪をかき、踏み固めていく。まわりには誰もいない、我々だけの山域だ。男女別のトイレもこしらえ、ダンロップのV-8(8人用)を建てた。途中上から降りてくる2名の人がいて、ひとりは下で見たスノーシューの跡の人であった。声をかけると、棒立山のピストンとのことで、その山の急斜面の下山に緊張したとのこと。


その夜は、これでもかといわんばかりの、どこかの飲み屋とみもごうばかりの種類の酒が並んだ。主料理は、なべ、それもしょうが鍋と珍しい。具はにんじん、大根、小松菜、白菜とねぎに豚肉と様様に入り、これをしょうがを加えた汁で食す。うまい。さらにうどんやもちを入れ、腹を満たす。そこで、小生は、はたまた激痛が走る。今度は、今まで一度も経験したこともない両足の付け根の激痛であった。やはり塩分と水分不足が原因であろう。今回は、全く水分と塩分補給をしなかったことを後悔した。やむを得ず、これでもかと水分を取る。宴会は盛り上がり、まだまだ話したりないが、明日が早いので、21:00就寝とする。もともと事前打ち合わせで、過去の経緯(朝食をとることによる、出発時間の遅れ)をふまえた提案があり、その日のうちに各自、テルモスにお湯を入れ、明日は朝食をとらずに行動することにする。

就寝前、外に出ると、空は、雲で覆われていたが、生暖かく、寒さを感じないほどだった。ここからは、真下の関越道土樽パーキングエリアの灯りや、遠くスキー場の灯りが見える。さあいよいよ明日は、待ちに待った頂上だ。

素晴しい山容のタカマタギ 360度のパノラマを独り占め


翌日は、04:00起床、05:15出発。05:00のはずが、小職のアイゼンの調整に手間とり、遅れる。まだ日が昇らず、暗い中、ヘッドランプの明かりを頼りに、しまった雪面の上をアイゼン、ピッケル、そしてサブザックにて出発。アイゼンのキュッキュッという小気味よい音が、耳にやさしい。風もなく、快適で歩きやすい。1分ほどでテント場に最適な平地が出現。さぞかし、天候の安定する3月には幾張かのテントが張られるのであろうと。ここからも、ブナの林が続き、次第に傾斜がきつくなる。 棒立山までは、尾根の一本道で見間違うこともない。そして、尾根の左側(南南東方面)には雪庇が張り出し、急坂を登りきると、棒立山の頂上に立つ。360度の展望。目指す真白で大きな山容のタカマタギも眼前にそびえる。ここからは、平標山、昨年3月に会で登った茂倉尾根も明瞭。

さて、タカマタギへ行くか否かを往復時間から算段。ただ、トレースがなく、1時間30分を要するようだと、途中で引きかえす条件で出発。稜線沿いに少し下り、小さいながら雪庇も張り出しており、そちらに気をつけながら、歩行する。途中、下から「ドーン」という音が伝わってくる。おそらく雪庇が動いているのであろう。ブナの枝が樹氷となっているところ抜けわずか40分で頂上に立つ。標識はないが、真白き山の360度の展望。ここからは冬山の頂上でしか見ることのできない山岳景観である。来たかいがあった。見渡すと、巻機山、八海山方面、平標山、万太郎、みつまたスキー場の奥、台地上の苗場山まで見える。山座同定の訓練にもなる。まだ先には日白(にっぱく)山も見える。ときおり薄日もさし、ここで小休止とし、軽い食事を取る。

20分ほど後、来た道を慎重に戻り、今度は棒立山の直下の下りが難所といえば難所。相談し、別ルートを検討したが、このまま下りることに。ザイルを出すこともなく、メンバー全員、難なく切り抜ける。途中25名の登山者に出会う。日帰りできたとのこと。足早に、テント場にたどり着き、撤収し、帰路に就く。途中根開き(木の根元のまわりだけ雪がとけている状態)に雪が積もった場所足をとられ、往生する場面が見られたが、デポした標識棒も回収し、12:40には平標山方面の指導標にたどり着く。

ただ、小職が帰りの列車の時刻を取り違え、あと30分早ければ、土樽経由で、在来線にて上野に着くことができたはずである。面目ない。全員で検討の結果、越後湯沢からタクシーを呼ぶことに。およそ20分強でタクシーがきて、乗車して越後湯沢に到着、日帰りに温泉に入る人、そばにありつく人など様々で、最後は14:08MAXたにがわ414号自由席2階の車中の人となる。




あれが、棒立山、すばらしい天気
毛勝橋を渡りきったところから左折、ワクワクする
急坂を登る。月並みだけれどいいアングルだ。メンバーの調和がかもし出されている
2月の日差しは強い。真っ白い雪面に木の影がくっきりと現れる。木と影が織り成すコントラストもすばらしい
あの先が棒立山。手前の白い台地を踏み固め、テントを、東面の雪庇に気をつけながら張る
テント場からみた八海山、巻機山方面も美しい
全員の協力で、踏み固め、完成間近
棒立山への最後の急登
見よ!あれがタカマタギへの稜線雪庇もわずかだが張りだしている
あと一息だ、念願のタカマタギへ
どうだ、わが隊は怪我もなく、全員登頂、雪山はいいねえ
この先が日白山方面、今度来るときは、足を伸ばしてみよう
タカマタギ山頂から振り返りみた棒立山
えへへへ、頂上にピッケル一本、なかなか構図になるね!
タカマタギからの下山も急坂
雪庇の張り出しの横を進む。なかなかいい構図だ
わが隊がトレースを残したタカマタギ稜線
小さいけど、黄色のわが隊のテントが見える

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