2009年4月の山行
会津朝日岳
(標高 1624m)




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                       会津朝日岳山行報告


会津朝日岳 (1624m)

実施日 : 2009年4月18日~19日

参加人数: 男性4名、女性1名、(会員外参加)男性1名・・郡山在住の会員1名と先行

装 備  : (共同) 4人用ダンロップテント、コッヘル、ガソリンコンロ、ランタン、マット2枚、
        スコップ1本、(個人)雪山装備 防寒具、サングラス、手袋、わかん、アイゼン、
        ピッケル、ストック、行動食、

費 用  : 高速料 往復2400円、共同食約6000円、他  合計一人7000円

参 考  : 登山口のいわなの里は、5月連休より営業開始。駐車料金1日1000円
        いわなの里の奥に、今回は雪で入れなかった市営駐車場もある。 

山行記録: 
     18日 6:00我孫子出発→常磐道 友部JCT→北関東自動車道→栃木都賀JCT
     →東北自動車道→西那須野塩原I.C→国道400号線→南会津町 国道121号線→
     会津田島 国道289号線→山口温泉方面 南会津南郷支所を右→国道289号線→
     旧南郷村→いわなの里 11:00着  いわなの里11:40→赤倉沢渡渉→登山道→
     夏道→赤倉沢越→デブリ→第一番目の尾根→先発隊の足跡を辿る→
     第一の尾根のU字谷をつめた所で足跡を見失う→尾根伝いに藪こぎ→
     尾根上部に達する→第二の尾根までトラバース→先発隊の足跡を発見→
     トレースを辿る→急登→人見ノ松下鞍部にテントを設営していた郡山隊と合流16:50(幕営)

     19日 5:00起床→6:00出発→人見ノ松6:30→叶ノ高手7:30→
     大クロベ(ヒノキ科の大木)→朝日岳が眺められる鞍部8:00→引き返す→
     テント場9:00(食事、テント撤収)10:20→いわなの里13:00→
     温泉(季の郷 湯ら里)→国道289号線→南郷村→会津田島町→
     14:00蕎麦屋(富じ亭)15:00→国道121号線 下郷町 国道289号線→
     白河I.C→東北自動車道→渋滞の為一旦北上する→郡山JCT→
     磐越自動車道いわき方面→いわきJCT→常磐自動車道→
     谷田部I.Cで高速を降りる(谷和原まで渋滞のため)→
     取手方面へつくばみらい市の裏道→国道6号線→天王台駅20:00 解散

山行報告

 高速料金が1000円になったため、車両での遠出は渋滞が見込まれた。都内外環道を抜けて東北道に至るのは時間とお金がかかるとの他会員の助言を受けて、常磐道から開通なった北関東自動車道を通り一度も高速道路を降りることなく、東北自動車道に入った。

 北関東自動車道はまだ知名度が低いためか、すれ違う車もまれで順調に栃木都賀JCTで東北道に入った。やはり東北道は混んでいた。都内を通っていたらたいへんだっただろう。

 食材を購入しながらも5時間で登山口に到着した。最高のお天気の春の奥会津は桜が満開で、遠くに真っ白に雪を冠した飯豊連峰や上越の山々が眺められ、のどかでとても良いところだ。

 登山口のいわなの里も雪はすっかり融けていた。例年はまだ1mは積もっているとのこと。ふきのとうがあちこちに顔を出す雪解けの風景であった。

  
  いわなの里、毎年5月から営業              ふきのとうが顔を出す

  
  渡渉点を渡る 水量が多い               とりつきまでの道 左方向からの雪崩によるデブリ

登山口からいきなり水量の多い赤倉川を渡渉する。初めは雪がないが、次第に歩きにくい春の腐れ雪が現れた。4度目の渡渉が終わると、いよいよ三吉ミチギからの尾根道への急登になるはずだ。しかし左の斜面から落ちてきた雪崩のデブリが沢を深く覆い、尾根への取り付きがよく判らない。何本かの尾根が延びていて、先発隊のトレースがなければ不安になるところだ。あまり人が入らないのか、赤布の道しるべもない。

  
  尾根への登り 急な斜面をあえぎながら登る     今にも雪崩がきそうで怖い

トレースに従って、樹林帯を少し乗越し、始めの尾根のU字谷を上る。今にも上部から雪崩が起きそうな場所で緊張する。足跡が2本あったのは確認したが、先行は2人だと判っていたため深く考えずに進んでしまった。あのときに1本のトレースが下っているのだと判ったら死に物狂いの藪こぎはしなくてもよかったのだ。
先発隊はワカンだったため、足跡の進行方向がよくわからなかった。

  
  藪こぎ。必死で上へ這い登って行く             なかなか楽にならない
 
先発隊は、途中で道の変更のため30mほど下って一旦谷に下りて、正しい尾根に取り付いたそうだ。やはり2隊に分かれて行動するときは、慎重にルートファインディングをやらなければならない。雪が切れて谷の上部に来ると道が消えていた。そして雪国特有の下に向かって生えている強靭な藪が現れた。トラバースして隣の尾根に取り付くのは、雪崩を誘発しそうで非常に危険であった。しかたなく藪帯を突破すべく1時間の格闘が始まった。藪の中には、イワカガミの可憐な花が咲いていたが、ゆっくり愛でる暇もなく必死で上へともがき登って行った。

  
  やっとトラバースして正しい尾根へ行けた       テント場で設営

やっと稜線へ出たと思ったら、反対側は一枚岩のスラブでスッパリと切れ落ちていた。雪に足を取られながらも慎重に進む。上部でトラバースをして隣の尾根に取り付くと、先発隊のトレースが上へと続いていた。急な尾根をあえぎながら登ると上から我々を呼ぶ声が聞こえた。3時間近く遅れてやっと合流できた。
先発隊がテントを立てて待っていてくれた場所は人見ノ松よりもずっと下の、幕営地には最適の眺めの良い場所だった。真っ白い飯豊連峰、日光白根、尾瀬の燧ヶ岳を見渡せた。
早速整地してテントを立てる。夜間は風が強かったようだが暖かい夜だった。

  
   ほっと一息                          眺めの良いテント場

快晴の2日目は5時起床、6時出発。雪は締まっているのでアイゼンが利く。一気に人見の松まで直登。30分で到着。立ち枯れた巨大な松だ。下から倒木更新のように若木が生えている。だんだんやせ尾根になってくる。しかし展望はすばらしく、テン場からは見えなかった西側の山々が見えてきた。前方左側には丸山岳の奥に平ヶ岳が見えてきた。右側から浅草岳が迫ってくる。

  
  日の出                            朝一番の急登はきつい

叶ノ高手までの尾根の両側は雪庇が張り出して、今にも雪崩が起きそうな感じだ。雪に埋もれていた潅木にかぶさっていた雪が融けて軽くなると一気にビュンと立ち上がる。春が来たと主張しているかのようだ。会津の重い雪は木を根元から大きく曲げてしまう。

   
   浅草岳が迫ってくる                    人見の松で休憩

  
   いつ雪崩が起きても不思議ではない          やせ尾根を行く

  
   左側は雪庇だ                        高度感のある登り

  
  亀裂は上からよく判る                   

会津朝日岳の頂上は奥深く、叶ノ高手を越えてやっと現れるヒノキ科の大クロベは赤い木肌で大人3人抱え程もある大木である。夏道の脇に立っているので根が道に張り出して無残だ。

  
  叶の高手 雪は融けていた               大クロベの木 ヒノキ科の大木だ

  
  会津朝日岳の山頂が見えてきた            尾瀬方面が手前の山越しに見えている

クロベを越すとやっと会津朝日岳の山頂が現れた。かなり下の稜線上に避難小屋の緑色の屋根が見えている。小屋から山頂までまだかなり距離がありそうだ。雪崩の危険もありそうに見える。

  
  山頂は中央の稜線の奥にある             画面中央に青い屋根が避難小屋

雪が緩んでいて歩行もつぼ足で時間が取られるので、下山の時間も考えてこの地点から引き返すことにした。登頂は次回にとっておくことにする。

テント場まで1時間で引き返し、食事をして撤収。登りは苦しく迷っていた道もすんなり降りることができた。谷に下りるとデブリが大きくなっているようだった。上から雪が滑り落ちてきている。デブリの危険地帯の通過は神経が磨り減るようだ。いつ落ちてきてもおかしくない。デブリはごろごろした雪の塊が積み重なって、表面は黒く汚れている。重い塊が強い力で重なり合っているので硬いのだ。春先の雪崩はブロック雪崩が多い。地表面から根こそぎ落ちていくので、土壌も削れて沢はより急峻になっていくのだ。渡渉点に着きほっとする。春の暖かい日差しにふきのとうやキクザキイチゲが可憐に咲いている。

  
    キクザキイチゲ                        フクジュソウ

  
  カタクリ                          会津田島の蕎麦屋で これで大盛り、おいしかった!   

厳しかった会津朝日岳の山行が終わった。今回は有雪期の偵察になった。やはり奥会津の山は奥が深い。




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