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小淵沢駅のホームで、小海線下りを20分待つ。幸い、遅れた後続のMhさんがここで合流した。この駅の名物の駅弁「元気甲斐」の本舗がホームの八ヶ岳側にある(赤い色の大きな看板)。青空が一帯に広がる。
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野辺山の手前で車窓から八ヶ岳連峰を見る。杣添尾根は右端から3本目の、ラインがくっきりと見える尾根。 |
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タクシーを降りて歩き始めて15分後のところ。無雪期の遊歩道になっており、東屋がある。この広場から徒渉して、そこからが本格的な登山道になる。上に見える銀嶺が横岳の稜線。
黒木の森Schwarzwaldの中を坦々と進む。1~2人がたどったと思われる足跡が、この日のわれわれのテント場の手前までずっとついていた。
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すぐ深い樹林帯の中に入る。結局、この日、樹林帯から出ることも、樹林外の景色を見ることもほとんどなく、樹林(森)の中をひたすら登った。 |
31日/曇り
5時起床が15分遅れとなった。水を沸かす手間などで、出発が30分遅れの6時半となった。足跡のまったくない雪上を、ラッセル役とルートファインディング役の二役を負って、先頭が雪を切り裂く。すぐ上で、樹林南側に切れた地点で、ぼんやりとたたずむ富士山を遠望した。マークのテープが一時途切れ、行路に迷いを生じたが、このときだけで、以降は順調に進んだ。数分ごと、次々とラッセルを交代しながら、高度を上げた。長かった樹林も切れて、森林限界の上に飛び出した。さっと赤岳のプロフィールが視界に飛び込んできた。天候が幾分傾きかけて、頂上付近を雲がおおっていた。
小規模ながら雪庇の張り出しがみられた。その上部の広い雪面上でワカンからアイゼンに替えた。ワカンはまとめてデポした。アイゼンに障害をもった隊員も出たが、傾斜はさほどではなく、全員で頂上を目ざした。遅れて三叉峰に着くと、先行した仲間の3人が食事を取っていた。今回、ここから15分程度はかかるだろう奥ノ院(ここが横岳山頂とされている;2835mでここより10m高い)はあえてカットした。岩場を西に回り込んだところで、赤岳、阿弥陀ケ岳、行者小屋などを写真に収めたが、急に天候がどんよりとして、ダークグレーに変わってきた。下りは、安全を期してゆっくりと進行するが、予想したほどではなかった。慣れている人なら、アイゼンの必要もなく、いい調子で下っていけるだろう。ワカンのデポ地でワカンに履き替え、そこからわずか30分ほどでテント場まで戻った。ちらちらと雪が舞い始めていた。この日も雪の状態は登山には最高だと言い合うほどよかった。ワカンを装着しての下山には、雪がクッションになってくれるし、無雪期なら木々の根っこやデコボコ、岩の出っ張りに神経を集中させながら下らねばならないが、雪がすべての細かな障害をおおい隠した。確実にワカンを踏み下ろすだけでよかった。下りは速かった。途中でタクシー会社に連絡し、2回の休止で遊歩道まで下った。さほどの疲れもなく登山口まで戻ると、ジャンボタクシーがすでに来ていた。無心だったが、早く下ったおかげで、当初予定した小海線の上りに間に合うという。急いでくれて、野辺山に10分前に着いた。昨日の八ヶ岳連峰は雲におおわれつつあった。小淵沢で待つ間に、売店で飲み物を買い求めた。リッチにも、野辺山の駅で帰りの特急も座席を確保することができ、新宿までおおいなる今回の山行の成功を背景に満ち足りた気分で会話が尽きなかった。献杯も進んだ。新宿で降り、さらに上野から車上の人となり常磐線を下った。 |
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出発して間もない31日の早朝、テント場の少し
上の、富士山が見える視界良好の地点。
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朝日が昇る。わがラッセル隊員の元気な姿。 |
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テントを出てから1時間45分後に、この尾根で初めて針葉樹林が切れた。森林限界だ。尾根の左側に盟主・赤岳が視界に入ってきた。ここからの標高差もあまりあるように感じられない。
ずいぶん登った。清里から赤岳に直接続く長い真教寺尾根も近くに見える。
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雪稜に乗ったところでひと休止。まだ先は長いが、硫黄岳から横岳に続く主稜線が視界に入ってきた。ここまできたら、全員に「行くしかない」という気持ちがみなぎった。この先、ラッセルで時間をとられ、この地点から横岳まで2時間余を要した。 |
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どんどん高度を上げながら進む。5分おきに交代しながらラッセルをし、雪固めをする。Abさんの速いこと、セカンドとの間に溝が開いてしまう。
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杣添尾根最後の雪嶺を進む。左側に小規模ながら雪庇の張り出しが見られる。 |
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横岳への最後の上り。この手前でワカンからアイゼンに履き替えた。たいした傾斜ではなく、ほとんど危険はないが、注意して岩稜部をたどる。
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頂上直下、100メートル。しだいに寒くなる。上りの隊員の息が聞こえるようだ。 |
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横岳の稜線から来し方を見下ろす。ゆるやかな、長い尾根が裾まで続いている。急に天候が傾き、風が強まった。
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横岳の上から稜線の向こう側をのぞき見た。寒々とした阿弥陀ケ岳。 |
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同じく赤岳。 |
下り始める。野辺山、清里あたりの農耕地が一面、雪の膜をかぶっていた。
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さらに稜線をどんどん下る。このころ、再度、アイゼンからワカンに替えた。 |
テント場に近づくころ、雪がちらつき始めた。暖かかった天候 は厳冬期の曇天に変わりつつあった。その後、テント場で荷物の撤収・整理に1時間余かかり、テント場から登山口まで1時間半で下った。幸い、この日、天気は持ち、天気で山行が困るというようなことはまったくなかった。 |