湯元スキー場の下、国民宿舎横の駐車場に車を停め、荷を整えて登山開始となった。出発の一歩目から、今回は全員アイゼンを装着した。この2日間の行動中、アイゼンを外すことはほとんどなかった。 |
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外山へのきつい上りを行くと、樹林がたまに切れる。振り返ると根名草山のこんもりとした山体が頭をのぞかせた。 |
昨年12月に来た外山の鞍部を過ぎ、天狗平を間近にした上り。ここはトラバースして上部へ出る。
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だだっ広い尾根上に上がり、前白根山を目ざす。左に奥白根山の山体が横顔を見せはじめた。どこかいかつさが漂い、視線をまっすぐに向けられない。 |
奥白根山の全容が見えてきた。しかし、まだ白根隠山の前衛越しなので、いきなりのでかさはない。以前は、この辺でなにかこわさと期待感を持ったものだ。 |
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前白根山に至る。「来たなー!」と感じる。わが会で、この何年か、前白根山までも到達しえていなかった。三度目の正直といったところだ。 |
前白根山の山頂からの奥白根山。 |
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前白根山から、礫土の露出体を西側の斜面に向けて下る。進行方向に見える銀嶺は、白根隠山から、遠くは錫ケ岳まで続く。 |
前白根山を下りきったところから白根隠山の方角へ。例年なら、この雪稜の左側には雪庇ができる。 |
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前白根山からの下りで見た大きな奥白根山。
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白根隠尾根の上から振り返った前白根山。赤茶けた地肌を年中絶やさない山だ。報告の中で言及したが、ここは風の強い山として知られる。ここからの奥白根山の全景のでかい眺望が、この山行の目玉となることは違いない。 |
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白根隠尾根を行く。20年前、この尾根の上にはまだ豊かにダケカンバが叢生していた。それが、この写真のような疎林地帯に変わり果てた。 |
白根隠尾根から五色沼の避難小屋の方面に向かって下り始めた。奥白根山山頂の割れ目から薙ぎ落としているガリー地帯が、陰影を刻む。知人の栃木県人、Oさん、Uさんに、このガリーを2人がスキーで滑り降りるビデオを見せてもらったことがある。 |
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五色沼避難小屋。当初は、ここに泊まる意思はまったく持ち合わせていなかった。本会では避難小屋も含めて、小屋泊まりは例外となっている。しかし、小屋に着くと、周辺には人っ子1人いなかったし、小屋には二階の窓から入ることができた。小屋の内部も整頓されていて、清潔でもあった。明日からの天候と、テントを張ったあとの苦労を考えて、小屋を利用させてもらうことを決めた。わが隊だけで、この小屋が独占できた。しかし、避難小屋というものは寒い。 |
寒い小屋の中で、ガソリンコンロを盛んに燃やして、暖をとった。 |
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翌朝、避難小屋を後にして間もない午前5時半ごろ。樹林が間もなく切れる。上部の岩を乗り越すと、急坂となる。 |
奥白根山東面。通常、五色沼避難小屋から頂上を目ざす場合は、ここがどうしても通過点となる。直登すると、30度超の急坂だ。この手前から左にトラバースして、南東稜に出て、頂稜を目ざすのが無難だ。この時期はいいが、軽い新雪が降りる正月前後には、この傾斜では雪崩の心配がある。以前は、この斜面の左右に、上のほうまでダケカンバの疎林が根強く残っていたが、酸性雨・霧の影響でこの斜面の樹林はほぼ枯れ果ててしまった。 |
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雪稜部の上りで振り返る。左端の茶色の山が前白根山、背後の緑色の山体が右から男体山、大真名子山、小真名子山、女峰山、太郎山。 |
東面の雪稜の最後の上り。雪が締まっていて、アイゼンの立ちはよく、不安感はない。傾斜は40度近い。 |
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頂稜部にさしかかるころ、雪とガスが舞い始めた。視界がさえぎられそうになる。山頂までの数百メートルの間、平坦な雪原が広がり、視界がきかない場合、進路を失う危険がある。また、パーティーが断裂すると離ればなれになる危険がある。 |
奥白根山山頂。この日、山頂を目ざしたのは私たちだけだった。下山しきるまで、誰1人にも会わなかった。 |
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帰路も頂稜部付近では、残念ながら視界は晴れなかった。 |
小屋を後にし、白根隠尾根の上りから振り返り仰ぎ見た奥白根山。 |
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前白根山山頂付近で見た水たまり。4月から5月初旬にかけて、奥白根山の周辺には多数の大小の「泥濘池(ぬかるみ)」ができる。これは、地底に一面、凍土が存在しているためで、融解水の地下への浸透をさえぎり、また水の流下を押しとどめている。降雪量が多く水分が豊富なこと、寒冷・強風地帯であること、そのため地表が雪をかぶらず極低温の地下への到達が可能な場所、さらに土質がシルト(粘土と砂の中間径の土)であること、といった条件が備わった地帯にできる。ピッケルの先端を山面に突き立てても、ガチッと抵抗して立ち込まない。 |
最後の奥白根山。ガスが切れて、全容を見せてくれた。 |
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天狗平への稜線上を下る。晴れ間が見え出した。あっという間に外山のコルに着く。しかし、ここからの下りが長く、青氷化した箇所や道崩れがあって、意外と危険だった。 |
その翌週に登った男体山から見た奥白根山。直前に遅い雪が降り、男体山もそうだが、奥白根山の方面は、それこそ真っ白だった。左端は錫ケ岳。 |
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