8月の山行
滝子沢左俣遡行



ハイ ポーズ
【山行報告】
          

実施日:2014年7月27日(日)

参加者:O、OS、T、H、SN、N、I(L)

行程:我孫子4:53-新松戸5:06/5:14-西国分寺6:11/6:23-立川6:29/6:43-初狩7:50/8:30-滝子川入口9:05-入渓点10:00-奥の二俣12:40/13:00-源頭部14:50-登山道15:30/50-初狩18:20/54-  我孫子21:36 

費用:我孫子-初狩(休日おでかけパス) 2,670円
   (注:初狩駅は休日8:00前と18:00以降は駅員不在)

地図:笹子(1/25000) →200%copy

装備:沢靴、ハーネス、シュリンゲ、ザイル(50m)、ヘルメット、コンパス、ホイッスル、
   ツエルト、行動食

記録
 自分の中でこれほど拘っていた山行はかつてなかった。Nさんから会山行にゲストとして誘われ、「我孫子山の会」を知り、この左俣を遡行した。もう十数年前の話なので記憶は美化されているが、「ルンゼ」という言葉の意味を反対に理解しており、トップを任されて最後の最後で、ルートミスを犯したことが悔やまれていた。
 昨年のリベンジ遡行では、源頭部直前で、二手に分かれていた沢の選択をリーダ任せにしたため、またもや新ルート開拓を行ってしまった。沢登りが初めてだったAさんの新品の靴を泥だらけにさせて、崩れ落ちる泥交じりの斜面を四つん這いではいつくばらせ、沢登に対する大胆かつ斬新な経験を味あわせてしまったことに、僅かながらも負い目を感じていた。
 遡行図を含め、かつて行っていた個人山行と同様な準備をした。枝沢のチェック、高度と歩行距離、そして目標点と最悪の場合のエスケープルートの確認。最近、会でも地図読みの講習が盛り上がっていたので、ひさびさに地図を読み込み、遡行図に仕上げた。
 Oさんの予定列車乗り遅れ事件のことはともかく、予定時刻30分遅れで笹子駅を出発。天気はほぼ快晴、Oさんを先頭に、滝子川入り口までの小一時間かかる国道行進が始まった。真夏の日差しを受け、アスファルトの照り返しを浴びながらも、太陽のエネルギーを味方にしていたのは、私を含め4名の若者(?)だった。帽子をかぶらずに歩いていたOさんとTさんとの足取りの違いが非常に対照的だった。帽子をかぶらないチャレンジャーTさんにはまさしく「脱帽!」であったが、後で確認したところ、ザックの最下部にしまいこんでしまい出さなかったとのこと。
 滝子沢遡行は、滝子川入り口の国道から頂上直下の登山道まで、高度差優に1000mを越し、日帰り遡行の中では体力勝負の沢でもある。この沢を遡行するにあたり、過去の経験から、この国道歩きをいかに捉えるかでその後の進退を決めても過言ではないと判断していた。今回、まさにそのことが実証される結果となってしまった。
 入渓点から約1km先に林道を繋ぐ橋が渡されているが、ここが楽にエスケープできる唯一のポイントであり最終判断地でもある。昨年は存在していなかった堰堤がいくつか増設されており予定外の高巻をせざるを得ず、橋から100程進んだところであろうか、最後の堰堤(新設されたもの)を越えたあたりでTさんとNさんの離脱宣言があった。
 私はリーダの手前最後尾を遡行しており、トップをOさんにお願いしていたのだが、その時点で前述の国道行進の状態が再現されていた。Oさんのリードが非常に軽やかでスムーズであったため、トップ集団と私を含めた3名との距離が離れるばかりであった。トップにスロウダウンを指示しようとしていた矢先、先ほどの宣言があった。左岸を越えれば林道が追随していることを確認していたので、すぐさま了解しパーティは5人編成となった。
 今回の遡行には、会の沢登り初参加のHさん(実際は、再デビュウと表現した方がふさわしいか?)、沢登りそのものが初体験のSNさんが参加しており、怪我だけはさせてはいけないと、リーダとしては普段以上のプレッシャを感じ、特にSNさんには目を配っていた。しかし、思いのほかSNさんの足取りが軽やかで、初めての滝登りも私の後を楽しげについてきて、頼もしい限りであった。
 地形図、枝沢、高度の確認を繰り返し行っていき、12:40ころ奥の二俣に到着。流水量が過去の遡行時に比べ非常に少なく、昨年、手前の枝沢を奥の二俣と判断し時間をロスッタので、自分としては「奥の二俣」である確信が持てず、元気はつらつのOさんに左俣偵察遡行をしてもらい、その情報と地形図より確信を得た。ここで、昼食。
 実はここからの右俣遡行が、この沢の核心部となり、心弾む大小の滝がお目見えする。昨年より沢筋が荒れており、倒木や沢床の大きな瓦解が生じていた。昨年、Nさんが一人芝居をしていた1枚岩は倒木でふさがれており、難なく通過。本来その岩は、中央を走るクラック沿いに流水を伝わって登れば、倒木なしでも楽々越えられるが、落ち葉の積もった左岸側に取りつくと、一人芝居が始まる。
 ここを越えたところで沢筋は左岸につながり、30mのナメ滝が現れる。この滝の下部も瓦解が進み、昨年の状態とは様変わりしていた。この滝で、OSさんが新人一人芝居役者として、軽やかなデビュウを果たすとは、予想もしていなかった。20m前後の幅を持つ滝なので、各人好きなようにコース取りして高度を稼いでいた。全員が取り付いたことを確認して、SNさんの後を追った。SNさんは忠実に先を行くHさんの後をトレースしていたが、Hさんが若干チャレンジ気味のコースを選んだため、足を岩棚で止めていた。下から、右方向のバンドを伝わるようにと指示をだし、Hさんを越えて上部の棚に出た。私も後を追いひと段落したところで、一人芝居、「OS劇場」はクライマックスを迎えていた。大きな階段状のナメ滝の取りつきより5mほど登った所のスッポトに吸い込まれたらしく、声だけが聞こえていた。「OSさん!何遊んでいるのですか?」と問いかけると、「だめだ!動けない!ザイルを垂らしてくれ!」悲鳴とは言わないが、哀愁を帯びた切なる声。昨年のNさんは喜劇役者だったが、今年のOSさんは悲劇役者であった。
 事なきを得て、その後も5m前後の滝がいくつも続き40mのスラブ滝の後、20mのナメ滝一条クラックの出現。この沢のハイライト的な滝だ。今回、Oさんが果敢にも挑戦を試みたが最後の一手が10cm程度届かず、見事撃沈。
5m程度滑り落ちたろうか?一枚岩を両手両足を伸ばした状態で落下。着地予想部では岩が突きで出ており、落下終了時その岩が両股の間に潜りこんでいた。
「痛い!これは痛い!人類の約半数のみが知る痛み。」と思いきや、痛み発生部となる数センチ手前で岩角は止まり、ことなきを得た。Oさんは強かった。ズボンに付いた砂を払いながら何食わぬ顔でトップに戻った。後日、ネットで読んだのだが、最後の一手の部分をアックスで乗り越えていた記録を見つけた。
 その後4つの滝の内、8mのハング状の滝は右岸を巻き最後の4mの滝を越えたところで昨年間違えた枝沢が出てきた。コンパスで進行方向を確認すると、昨年同様右岸の枝沢方向を指していた。同じ轍は踏むまいと、僅かに水流のある左岸を指してOさんを進ませた。その後、右に回り込みながら10分もしないうちに十数年思い続けていた源頭部が現れた。「ここだ!ここだ!やった!」と一人はしゃぎ叫んでいた。当時より木々は育っていたが、当時の山の会の方々と、取りつきのルンゼの選択に迷っていたことを、今の出来事のようにしのばれた。
 今回は右から2つ目(ガイドブックでは中央と表示)のルンゼを詰めた。樹林帯に抜ける手前部分のせりあがる岩壁が、土と重なり非常に脆い状態でいやらしかった。途中OSさんが手を掛けた人の頭くらいの石が、壁から抜け、「ラク!」の掛け声と同時に50cm程度後をよじ登っていた私めがけて、転がってきた。思わず両足を壁に寄せたので、石は股の間を転がっていったが、一瞬冷やっとした。樹林帯に入ってから20分程度で夢にまで見ていた登山道に到着。
 全員の疲労は隠せず、南稜下山は中止し、歩きなれた一般ルートでの下山とした。怪我や事故がなく全員無事下山できたことを心から感謝したい。。
 最後に、夕暮れ迫る初狩駅のプラットホームにて、南稜をせりださせ、どっしりと構えた3つ頭の滝子山が眼前にせまり、心地よい疲労感を味わいながら喉の渇きをビールで潤していた。そんな時、Hさんがぽつりと「今登ってきた山をじっくり眺められるって、ええな」と一言。そんなHさんが、とてもイカシテいた。
                                                            Ik 記

 



遡行開始

最初の滝 Hさん

はい Oです

私 初めてなんですSN

年寄には堪えるわO

本当に、初めてなんですSN

OSさん!ガンバ!O

Hさん、やるね!O

余裕の笑み SN

モクモクとOさん

OSさんとH さん

屋内とはちがう!SN

OSさんは足が長い!

躍動感あるSNさん

去年はこんな瓦解はなかった

H,OS,SN頑張っている

Oさん、正面勝負!

小滝の連続

やっとこさ!OS

瓦解が激しい

ルートを確認のHさん H,OS,SNと皆反省!
SN!行かないでおくれ!OS 結構高度感あり!

Hさん!そうやって登るんだ!O 私はこっち、OSさんはそっちに行って!

流れがだいぶ少なくなってきた!

一条クラック挑戦中のOさん 間もなく悲劇が!

まだまだ続く小滝

あれ!新人のSNさんが先?

まあ、ええか!H
ここが、源頭部 右上のルンゼを一登り



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