巻機山頂上にて(午前5時40分) ここをクリックすると山頂からの360度のパノラマ動画が見られます。 |
樹林が切れた前巻機山からの眺望(右が巻機山、左のピークは割引岳)/巻機山の連なり
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巻機山は日本百名山の一つ。新潟、群馬の二県にまたがり、頂上付近の豊富な高山植物と神秘的な池塘(ちとう)群、緑の原生林に覆われた山麓、頂上からの展望の素晴らしさで知られている。 このたびの山行では、車で桜坂駐車場(標高730m)まで入り、一般コースの井戸尾根コースを辿り、避難小屋のところでテント泊、翌日に巻機山頂上、そして眺望の良い牛ケ岳(標高1,961,6m)を往復するという行程を辿った。 |
○実施日:2014年9月20日(土)~21日(日) ○参加者:女性5名、男性4名(計10名) ○行程:20日・・・我孫子駅4:45―柏IC(常磐、外環、関越)-塩沢石打IC7:30-8:10桜坂駐車場(登山口)8:45~9:40 4合目~10:30焼松(5合目) 10:40 ~11:50 6合目展望台12:10~14:50前巻機山(ニセ巻機)15:05~15:15避難小屋 [歩行時間6時間30分] 21日・・・起床/3:30 避難小屋5:00~5:35井戸尾根コース分岐~5:45巻機山5:50~6:30牛ケ岳6:40~7:15井戸尾根コース分岐~ 7:35避難小屋)8:35~14:00桜坂駐車場(登山口)-14:45上田屋食堂15:30-21:00我孫子 [歩行時間8時間] ○費用:7800円/人(装備関連、食費関連、車関連) ○装備:テント山行装備一式 |
[プロローグ] 最初の計画は、我孫子駅前5時半集合としていたが、連休であること、参加者の顔ぶれを見て歩行時間が掛かることが想定されること、テント場が混まない内に着きたいこと、などを考慮して、4時半集合とした。 山行1週間前、当地の天気予報は曇り、降水確率40%であった。日が近づくうちに、しだいに天気は回復基調で、決行するかどうかを決定する木曜日には、晴れ時々曇り、降水確率20%となっており、この山行を祝福してくれているように思えた。 山行2日前、1人が不参加となり、装備のテントとコンロを変更し、分担者を変更するという、慌ただしい対応を行った。 登山届は、山行前日、新潟県警にEメールで提出した。フォームへの入力ではなく、普通のEメールで送れたのが嬉しい。 会員の方からは、行程とその景色、下りてからの蕎麦屋の情報などをいただき、参考にさせてもらった。会報やHP、インターネット情報の他に、このような情報は、有難いものである。 |
桜坂駐車場で装備の配分と準備体操 |
4合目を越えたあたりのブナ原生林は清々しい |
[20日/晴れ] 4時45分、車2台で我孫子駅出発。車は順調に流れ、8時には桜坂駐車場に到着した。駐車料金1日500円(2日で計2000円)。装備の分配、準備運動を済ませ、8時45分、SLを先頭に、9名がスタートを切った。 雑木林をゆるく登り、井戸の壁の途中に4合目の標識がある。更に雑木林のジグザグ道を登ると展望が開け、5合目の焼松といわれる小平地に出る。谷筋を1つ隔てて大きな尾根が、白毛門まで続く長大な例の尾根の始まり。雑木とブナの混成した檜穴(ひのきあな)の段の急坂は、素晴らしい道である。そうこうするうちに6合目の展望台に着く。ここからの割引(われめき)岳などの展望が素晴らしい。ガレ場の登り途中7合目からの谷川岳などの眺望も素晴らしい。 更に急坂を登るとニセ巻機山の頂上。そこからはゆったりとした、山に絨毯を敷いたような広大な巻機山のまわりの眺望が楽しめた。草紅黄葉(くさもみじ)も始まっていた(▼参考:「黄葉、紅葉、褐葉のしくみ」)。そこを越えて少し下ると、避難小屋が間もなく。建て替えられたようで、トイレも完備していた。小屋の2階は広いようだが、それなりの人が既に泊まっていた。1階は空いていたが、やはりテントでないと、スペースが取れなかった。 行程では、足の異常を訴える人が何人か、荷物の分担や休憩を多く取るなど、先導の考慮や皆さんのフォローがあり、2時間遅れで到着した。少し下りたところにテント場に、1張りだけ張られていた。 |
前に電話で聞いたところでは、広いので8人用のテントは十分に張れるということであったが、その広さの分、石を取り除く作業が必要となった。水場はその下、米子沢源頭にある。 爽やかな天気の中の夕食は、外での立食となった。献立はシンプルな焼き肉とサラダ。それと、もやしに貝ひもを入れた炒め物を作った。先ずは乾杯! 至福の時だ。フライパンに参加者分の9切れずつ肉を焼いていくという、大変分かり易い分配の方法が取られた。上手く考えたものだ。1人当たり120グラムの肉は、あっと言う間になくなっていった。空には八ちゃんの雲があった。 テントに入り酒盛りが始まったが、当日の疲れ、翌日朝の早いことを考え、8時には就寝。空は満天の星、カシオペアやオリオンなどが綺麗に輝いていた。 |
7合目より少し登ったところから見る遠景 |
更に登ったところから見る遠景 |
前巻機山から見る巻機山など |
前巻機山頂上にて |
避難小屋 内外にトイレも完備していた |
外で立食の焼き肉の夕食 |
[21日/晴れ] 朝3時半起床。5時出発。空身に近くなると、足取りも軽やかになる。小屋からゆるい坂道を進み、そこには池塘が点在し、草紅葉とともに目を楽しませてくれた。さらに階段状の木道を登り稜線に出ると、そこは巻機山の頂上であった。振り返ると越後平野が目を奪う。そこから40分ほど、霜で滑り易い木道、ぐちゃぐちゃの泥道を行くと牛ケ岳山頂。360度、さえぎることのない展望が待っていた。越後三山、飯豊連峰、会津の山々と、すぐ東側には尾瀬の見覚えのある山が見られた。数年前に会山行で仲間が行った巻機山~白毛門、さらに谷川連峰への山並みもたどってみた。目を翻して、荒沢岳の方面にも一筋の尾根が伸びていた。 ある会員の言葉どおり、登山道上の地質はだいたいが花崗岩質で、白褐色の砂地が多く、頂上に近くなると、やはり豪雪地帯に特有の泥炭層質の黒い、細かな粘度質の土がおおっていた。 360度のパノラマを堪能し、小屋に引き返し、また重い荷物を背負って桜坂駐車場まで引き返す。途中、膝の不調を訴える方、靴ずれを訴える方がおられ、テーピングをしたり、バンドエイドを貼ったり、その任を担った方の活躍は素晴らしかった。そして荷物を分担したり、休み休み、ゆっくりと下りて行った。結果2時間半の遅れとなったが、皆無事に下りられたことは、リーダーとしては、本当に良かったという思いで満ち、万歳したいほどの気持ちであった。 |
晴れあがり、空には面白い八の字の雲が |
5時40分 巻機山頂上にて | |
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巻機山頂上から見る遠景 手前には池塘と小屋・テント場が見られる |
下り、テーピングするIさん | |
帰り道の清水にある上田屋食堂に寄った。ここは、お勧めの、名物「山菜だらけそば」を食すためだ。昔、食べ過ぎで腹痛を起こした会員がおられたとか。ご主人が自ら集められた山菜がたっぷり。山ウド、コゴミ、ゼンマイ、ワラビなどを何樽も漬けこんで用意しているとのこと、かなり食べないと蕎麦に辿り着けないというほどの山菜。 山と蕎麦と山菜を堪能し、思い残すことはなかった。渋滞する関越道を走り、我孫子着は21時となった。 |
清水地区にある上田屋食堂 |
名物「山菜だらけそば」950円 |
[エピローグ] 事前にTVの百名山の番組で紹介された巻機山を見ていた。ブナ林、池塘、そして上越やその他の山々、素晴らしい雰囲気だったが、やはりこの目で見、肌で感じる山は最高だった。 帰って、録画していた「グレートトラバース」を見た。巻機山は頂上と至近の登り、避難小屋だけが放映された。悪天候だった。ちょっと拍子抜けだった。あんな良い山なのに勿体ない、というところでしょうか。 今回の山行、天気に恵まれ、参加者に恵まれ、良き山行となった。巻機山は、ピストンか、避難小屋泊まりが多いようで、すれ違う人にテント泊と言うと、凄いという反応が返ってきた。桜坂から避難小屋までの登り4時間半という当初のコースタイムは、荷物が重いこと、参加者の状況から見て、6時間半という、やはり厳しい結果となった。下りも同じような結果となった。でも、早く出発したお陰で、皆が全員揃って、遅れながらも到着できたことは、本当に、本当に良かった。 新しい会員の方々も、新しい経験で、記憶に残る山行になったのではないだろうか。足を痛めた方々のその後は如何だろうか? 無事を祈りたい。 [20140923 F.S記]
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