◇15日
□サクラマスの滝登りに感動
斜里岳から西方15Kmの斜里川上流。この川で生まれたヤマメが、体長の大きな仲間に追われて海に下る。そこで環境順応し、豊富なエサのお蔭で、川に残ったヤマメよりも大きな「サクラマス」となって産卵のために戻り、「さくらの滝」を必死に登る。
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□清岳荘での石狩鍋
当初、宿泊予定していた「清里オートキャンプ場」は、数日前の熊出没の影響でテント幕営禁止になっていたので、急遽、登山口にある「清岳荘」の素泊りに変更した。小屋前の張り紙には、明日登りで予定している旧道コースが、残雪のため通行不可になっていた。しかし運よく夕食時には、「翌日から通行可」の説明があった。夕食はMIさん提案の美味しい石狩鍋であったが、更に小屋のご主人がコンロや食器まで貸してくれて、居酒屋のような快適な夕食となった。
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◇16日
□沢登りの「斜里岳」
清岳荘の裏手の沢沿いのコースを進むと登山口に出る。そこからしばらくは水量の少ない沢を、右岸左岸を飛び石伝いに何度も行き来する。下二股にでて、帰りの新道を右側に見て、滝の連続する旧道の核心部へと進む。上二股までは「白糸」「水連」「羽衣」「万丈」「七重」「見晴」「竜神」「霊華」と、多彩な表情の滝や花々が、全く疲れを感じさせない。樹林が切れてガレ場となり、展望が開けた馬の背からまもなくして山頂へ到着する。山頂付近はあいにくの霧雨模様で、周囲の展望はない。帰りは下りに利用されている新道を辿り清岳荘へ戻る。
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□木下小屋で「お寿司」「麻婆ナス」と露天風呂
今日の宿泊する木下小屋へ行く途中に、知床自然センターに寄る。ヒグマに出会わないための対策として「クマ鈴や笛」を用意したが、出会った場合の対応として「熊撃退スプレー」をレンタルすることにした。係員から、スプレーの詳しい使い方や、「テント場で食材をフードストッカーへ必ず入れる」などの注意点について説明を受ける。5時過ぎに木下小屋に着き、TN料理長による「お寿司」と「麻婆ナス」をお腹一杯いただき、小屋裏の露天風呂に浸かり就寝する。
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◇17日
□硫黄山で道迷い
朝5時半、タクシーで知床林道沿いの硫黄山登山口に向かう。湯の滝バス停で降り、カムイワッカ川を右に見ながら登山口に至る。暫く登ると背後にオホーツク海が見える。硫黄川の上流、沢出合の辺りから大きな雪渓になり、途中で軽アイゼンをつける。雪渓を登り切り、砂礫地を暫く行った辺りにある尾根大岩からほぼ90度右へ曲がるべきところを直進してしまい道迷いになる。2時間ほどの時間ロスの後、硫黄山山頂に立つことができた。眼下には、昨日登った斜里岳から明日登頂予定の羅臼岳を見て、反対側には知床半島そしてオホーツクの海、右手には国後島と、他では中々味あうことができない素晴らしい景観を楽しんだ。
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□硫黄山頂から二つ池キャンプ地へ
硫黄山頂から知円別岳への行程で、また時間がかってしまう。硫黄山を下りて直後のハイマツと岩に遮られた所で先ず手間取り、そこを抜け出した矢先に、行く先がよく見えない、急な雪の下り斜面で、またまた時間を要し、2ヵ所で2時間の超過となる。この辺りは勾配のある岩場や砂礫地が多いが、中でもコケシ岩という、これまで見慣れない形の岩が、我々を大いに楽しませてくれた。知円別岳直下の斜面を横切って稜線にでて、ここまでの遅れを取り戻すべく、南岳を目指して急いだ。広大なお花畑を通過して南岳を過ぎ、右手のオホーツクの海面に陽が傾いていくのを見ながら、二つ池のテント場に7時頃に到着する。先客は一人。その後の夕食(カレー)では、皆の驚くほどの食欲で総ていただき、10時頃に横になる。
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◇18日
□羅臼岳登頂後、弟子屈のキャンプ場へ
昨日までの疲れもあり3時起床はきつかったが、この日の行程を考慮して5時半に発つ。昨日は夕暮れでよく見えなかった二つ池や、その周辺に広がるお花畑が、朝日に輝いている。左右にオホーツク海と根室海峡、そして国後島もよく見える。標高差の小さいオッカバケ岳、サシルイ岳、そして三峰を抜け、9時過ぎに今日のほぼ中間にあたる、羅臼岳と木下小屋との分岐点の羅臼平へ到着した。目の前に今山行で一番高い羅臼岳を見上げ、ザックをデポする。ここから少し行った所にある、岩清水と命名されている湧水をたっぷり飲む。昨夜から二ツ池の水を煮沸したものを飲み水にしてきたからか、格段の美味しさであった。その後、岩場の急登が1時間続き、思いの外のきつさを感じて山頂に立つ。雲が無くまずまずの見晴らしで、昨日登った硫黄山から、一昨日の斜里岳までを全部見通すことができた。羅臼岳をあとして一気に木下小屋へ下山した。これまでの疲れが溜まってきている下半身には4時間強の下山は堪えた。その後は夕食を買い、テント場の桜ヶ丘森林公園キャンプ場へ向かい19時ごろに到着した。暗闇の中テント設営し早々の乾杯。いよいよ明日で終わる山行に思いを馳せて10時頃に就寝した。
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◇19日
□雨のち晴れ、そして摩周湖からカムイヌプリ(摩周岳)へ
3時半に起床した直後から雨が降り出した。天気予報では9時頃まで降りそうである。昨夜も最悪を想定していたのだが、このままの天候だと、雨中の雌阿寒岳登攀になり、山頂では何も見えないだろう。今日の予定を変更し「阿寒湖観光」へ切り替える。慌ただしい数日だったので、このような日があっても良いかもしれないと、ゆっくりとした朝食をとる。ところが6時頃から雨が止み青空が少し見えてきた。キャンプ場から近い「カムイヌプリ」なら4時間ほどで登れる、ということになり、急遽決定する。急いで準備して、登山口のある摩周湖第一展望台へ向かう。その頃には快晴になり、霧の摩周湖ならぬ、真っ青な湖面を眺めながらの山行となった。歩行時間を読み違えたものの、展望のある摩周岳山頂に立ち、昨年に急遽登った「樽前山」に続き、大変満足感のある最終日となった。14時頃に近くの「川湯温泉」に浸かり、女満別空港から夕刻の北海道を後にした。
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