3月の山行


タ カ マ タ ギ 
(1、529m)


                                               マウスを乗せると写真が替わります

これから向かう棒立山からタカマタギへの稜線(表紙)➡拡大写真
                                      テン場からモルゲンロートの中、登り始める(裏表紙)➡拡大写真




【山行報告(雪山)+雪上訓練】  

静寂、荘厳な美しさへいざなうタカマタギ(1,529m)
1. 日程: 2018年3月10日(土)から3月11日(日)
2. 参加メンバー:Ih Tu Ng Nm H F B Mt Mt Tn(SL) Id(CL)
3. コース
  (3月10日) 標高差 +600 距離5.5㎞ 歩行時間 3時間強 
5:42我孫子---6:14上野626---8:16高崎8:24---9:30水上09:47---10:04土樽
10:53毛渡橋越え11:00~11:45尾根取付12:00~14:54 1020m台地~15:45 1,200m台地テント設営、雪訓。
  (3月11日)+430  -930 8.5㎞ 歩行時間 7時間強
  テント06:20~07:40棒立山07:50~9:05タカマタギ山頂9:50~10:35棒立山11:10~
  12:00テント撤収13:35~1420台地  16:10尾根取付16:15 土樽17:00---17:14越後湯沢18:28---我孫子20:45
.山行レベル:体力度 中程度 技術度 雪山 初級
5.概算費用:我孫子---土樽乗車券7,340円(往復)+2,590円(帰路特急自由席) 食費込約10,500円
6.装備:〈共同〉テント2、マット5、コンロ=ガソリン2式(ガソリン込み)+ガス2式(カート
  リッジ込み)、コッヘル=大1式、ランタン2個(カートリッジ込み)、スコップ3本、
 補助ロープ1本(8mm×30m)、〈個人〉冬山用装備1式
.地図 1/25000  越後湯沢 昭文社山と高原地図にはない。
8. 集中連絡先:K

 3月4日、新潟県警地域課にメールで登山届を提出、アクシデントの場合の警察コンタクト先の南魚沼署の連絡先も確認。
 二度目のタカマタギリーダーを仰せつかる。しかも前回8名が今回11名。
 荷物の均等分担など、調整に格闘する。共同装備26.63㎏、食糧5.39㎏の計32.02㎏(下参照)。
結果、共同装備(食糧含む)は2.9~3.1㎏/人に収まる。女性は少し軽減した。当初は年齢も考慮した加重配分としていたが、後半での参加者増の要因もあり、最終的にはメンバーは同じ重量となった。差のある個人装備重量分を合わせると、標準で17~21kg/人となったとみられる。
注)大型テントにペグと張り綱が入っていなかったので、次回からはこれも含むようにする。




 山行前日、天候が土曜は良くないとの情報。特に、大雪が2月末に降り、近くの湯沢の降雪量は、2009年時40数㎝が、今年は120数㎝に達している。ただその後大雨が降ったことで、融雪して、積雪量は70数㎝台に下がった。さらには9日から10日にかけ、日本海側には降雪がみられた。気温の上昇、降雨、融雪、降雪と表層雪崩のパターンである。
 川端康成の雪国に表されるように、トンネルを抜けると、そこは打って変わって日本海側の天候となる。その山岳の雪崩地帯に踏み込むことになるので慎重に検討した。
 一応、全員にそれぞれの考えを確認する。
私からは、
1案 中止、これは天候が好転しても、雪崩のリスクがあるなら回避する 
2案 登山口の駅まで行って検討する、登山できない場合、近くで雪訓を計画
気象をご担当いただいたFさんが、現地の気候、雪崩の状況を通知していただき、天気は好天するのこと。まずは土樽へ行くことに意思決定。




3月10日(土)曇りから快晴

 Ngさん、Idは川崎、品川から前橋行き上野東京ラインに乗り込む。若い人で混雑しており、立つことに。上野でなんとか全員がすわれる。車内で、会計を担当いただくTuさんが早々活動。
高崎、水上と乗継、土樽駅に10:04に着く。わがパーティ以外誰も降車しない。駅舎内でたばこ臭があり、駅ビバークがいたかもと考える。準備を整え、1020m台地までは雪崩の危険もないので、10:30出発。小雪がちらつく舗装された道を一旦、水上方面に戻り、関越道の橋をくぐって、北西の湯沢方面に歩き出す。右手に荒沢山と険しい足拍子岳への稜線が見える。2009年は快晴で毛渡橋から棒立山も見えたが、今日は全体に雲がかかって見えない。橋を越えてすぐに標識(平標)と駐車スペースがある。林道入り口には車が2台。これでトレース工作は必要ではなくなった。

 林道を南西にTnさんと前回比を話しながら、歩き出す。2009年に比べ、やはり雪が多い。関越道下をくぐり、さらに上越線下もくぐり、北西に進路を変え、40分で尾根末端に到着。
 数か所の踏み跡があるが、一番奥の所からほぼ西に歩き出す。先頭は雪道でのルートファインディングのTnさん。Hさんはいつも軽々荷を担ぎあげているのが見える。Ihさんは赤布を等間隔で木に結わえつけていく。既にトレースはある。ここは木々もあり、靴がくぐもるほどではない。登山靴のまま、テン場予定地1,200mまで行くことにする。急な斜面を越え、皆さん元気。 Mmさんと話すと、福島の雪質とは全然違うと、確かに、こちらはパウダースノーの上を歩く。
                                                       
土樽駅でパーティ面々(Ngさん撮影)
今日は雲って見えない棒立山
 途中からラッセル希望のNgさんに交代していただく。台地につき、方向を南西にとると、2009年のテン場、さらに上に40分、15:45に1,200m台地に到着。さらに先に偵察に行ったNgさんから、上に一組いるということで、お互い邪魔をせずに、わがパーティはここで、テントを張ることにする。雪を踏み固め、2張りのテン場を作る。トイレも。両テント本体にペグや竹ペグが見当たらない。翌日、モンベル用にはペグが見つかった。翌日は風雪もなかったため、張り綱一本で固定、外張りに雪をかけた。
 トイレもIhさんの思い入れで作ってもらうが、外野の意見も与してもらい、また場所を決めた私が、テン場に近すぎ、入口をポールと布で覆うなりした方が良かったと反省。まあいいか仲間だし、見なけりゃいいんだし、見たくもないか。

その頃、東側の朝日岳方面に夕日があたり、その美しさに声もでない。これぞアーベンロート。
 設営後、雪訓を行う(後述)。18:20頃テントに入る。
 夕食は、1食目は寄せ鍋しょうゆ、2食目はキムチ鍋とした。食糧は最後に参加となった盆小原さんに全体の6割分の2.9㎏を運んでもらう。総食糧重量5.39㎏、一人当たり、0.5㎏を食べることになる。このほかにうどんも各自で準備いただいたが、飲酒とつまみもあり、うどんまで回らなかった。私はテントに入ると、いつもの足のつりがあちこちで起こり、Mtさんからツムラ68をいただき、なんとか事なきを得た。
 飲みきれないほどの量の酒が出てくる。乾杯ののち、話や歌が弾む。明日用のお湯を雪を溶かして作り、就寝22:30。




取付きから先の急登 テン場、皆忙しく動く
弱層テスト 東に武能岳から茂倉岳の稜線 下に土樽PAが見える➡拡大写真
モルゲンロートの中、登り始める 澄んだ空気に青い空 棒立山への急登、一団にならずに登る
棒立山からタカマタギへ向かう 山頂は別パーティ        棒立山からタカマタギへ 奥は苗場山か





3月11日(日) 快晴から曇り04:30起床、朝食は各自行動食とする。外に出ると、星が瞬き、雲一つない。06:10 昨日のポールに代わってピッケル、そしてアイゼン、サブザックで先頭を竹内さんにお願いして、同じ南西方面に向け歩き出す。私は雪山用グローブを持ってきていたが、クロロファイバー(今は売られていない)の手袋のみつける。雲一つない快晴で、木々の霧氷と青空が目に焼き付く。この色あいと霧氷、そして青空のコントラストは得も言われぬ。思わず歩を止めてしまう。陽がのぼり、Ngさんから、Idさん何か?と言われ、この快晴と荘厳さをくれた太陽に大声で「有難う」と答えた。それにしても素晴らしい。皆さんも時々立ち止まっている。そして途中右側の1,250mあたりで、昨日の話に出た、一組4人のパーティを見て、ここからはノートレースとなる。が膝までくるラッセルではない。

 Tuさんは、力がある。なかなかいいルート取り、好調に上へ上と向かっていく。
いよいよ棒立山急斜面を登っていく。前回よりも天気がいいため、急斜面なことが良くわかる。1,380mあたりで、右へトラバースして、最後に一息で、標高1,420m棒立山の山頂西側に到着。声も出ないほど素晴らしい360度の展望が広がる。目の前、南西方面には、これから向かうタカマタギへの雪稜がはっきり見える。誰も歩いていない(最終頁写真)。なんと圧倒される美しさ。
雪庇とクラック、そして急傾斜の斜面に小さな雪崩が幾つかみられる。
 ほどなくタカマタギに向け歩き出す、ノートレでもあり、5分間隔でトップを代わっていくことに。ほぼ、左側の雪庇とクラックを意識しながら、距離も保って歩く。パウダースノー上を歩くのは気持ちがいい。残り70メートルのところの最後の急斜面で、先頭のNgさん、雪庇を避け、右側の樹林間を歩くことに。
 山頂そばで後続の先を急ぐ4人(うち女性3人)のパーティに先を譲る。雪洞ゆえテントを背負ってはいない分荷は軽いようだ。最後の稜線を数分で山頂着。

 山頂は雲一つなく、快晴、360度見渡せる。全員で集合写真におさまる(写真)。2009年に来た時に比べ、周りの山が快晴の中、はっきり見える。ここまで良く見えて、山座同定はなかなか難しい。
 北には八海山、巻機山、東側には朝日岳、その奥に至仏山、燧ケ岳があるが。南側は仙ノ倉、平標方面、西は苗場山だろう。
 また1組2人の若い女性がなんとスノーシューとポールで登ってきた。いくらなんでも、急斜面を。リスクコントロールができていないと思うが、休む間もなく、日白山に向かって行った。
 ここで、先のパーティに声をかける。杉並勤労者山岳会で、車で来て、二居に下山後、バスで越後湯沢、そのご土樽駅で車に戻ると。また会の人員構成についてもお聞きする。100人の山岳会で男女比同じで、平均年齢50才代。若い方も多いのかと聞く。講習などはそれほどしっかりしているわけではないが入ってくると。(後でウエッブを見ると、アイスクライミングなど高度なものが多いし、週末に10もの山行がある)。3時間かけて雪洞を掘って、残して壊していないというので、帰りに見ることにする。
 さて50分ほど堪能した後、日白山へのルートも見えていて、山頂には数人の人がいる。行くか否かで、全員から意見をもらう。行く場合、2時間+α、ただ、稜線は棒立山からタカマタギと同様の所を歩くイメージ。行かない場合は、雪面が融雪して、アイゼンやピッケルの効きが甘くなる前に、棒立山の急斜面を終えることができるからと。皆後者に賛同して戻ることに。
 そこで、今度は船橋からの山岳会4名がご来山。少し会話をした。我孫子のHPを見ていると。また一人登ってきた。記録はしっかりIhさんがやってくれているので安心。

 結局この日は、棒立山では先の一人の帰りを待っていた1人と、1人のボーダー含め5組9人と出くわした。棒立山での講習(後述)開始から、低い雲がずっと山にかかり、結局、日白山に行かなくて正解であった。棒立山からの下山も我々が登ってきたルートを戻る。急斜面、滑落しないようアイゼン(フラットフィッティングと右へのトラバースゆえ、左足アイゼンを心持ち谷川に)、ピッケルを使いながら下る。途中なぜかやや錆びたアイスアックス1本が落ちていたので、雪面に突き刺してきた。無事急斜面を終え、アクシデントが起こった場合の医療を私が勝手に松本さんにご担当いただいたが、まずは出番がなくてよかった。
 雪洞あたりに着き、みると、入口が二つで、大木の根っこで降雪の多い場所に4人が十分入れる広さを確保していた、中には、棚、ろうそく棚がある。女性3人と男性1人でこれを作るとは。
 ほどなくテン場到着。


タカマタギ山頂集合写真1 右奥が日白山➡拡大写真   タカマタギ集合写真2➡拡大写真
タカマタギから棒立山に戻る アイゼン・ピッケル講習
あと一息でテン場



http://abikoyamanokai.com/gallery/stock_minemine/omoidenoyamayama-2015.html#takamatagi2018

                     上記、URLをクリックすると タカマタギの素晴らしい景観をご覧になれます

雪訓について (Tn講師)

 3月10日  雪質テスト(弱層テスト)
  日本雪崩ネットワーも参照
  https://www.nadare.jp/
  この結果、明日は登ることができそうと判断。
  ただし、登る場所で弱層テストをしないと意味がない。
 3月11日 棒立山山頂で ピッケルの使い方、アイゼン歩行、二点支持の講習 
  雪質のビニールハウス効果について。
  
 テン場からの下山は、雪訓を兼ねて、わかんを装着するも、急斜面で転倒者続出から、ワカン装着は希望者のみとなった。急斜面が数か所以上あ  るのでアイゼン装着のまま降りたほうが転ぶこともなかった。
 実際、ワカンを履いた私は、十回は転倒した。紐の結わえつけが悪く、紐にひっかけ何度も転倒する。重荷で起き上がるたびに体力を消耗する。水  分も不足して唇が渇く。急傾斜、デコボコの雪面、浅雪では登山靴のままのほうが早くに歩けることが判明。それでも、ようやく尾根末端に到着。私の  スマホが電池切れから、FさんにKHさんへ全員無事下山の連絡を入れてもらう。リーダーとしては全員無事下山できたことで安堵した。
 意見を集約し、土樽から、越後湯沢経由の新幹線で戻ることに。

 越後湯沢で打ち上げを計画するも、東口は遠く、西口に出ると数件回って、外国人客が多く何処も一杯で、一杯もできず、乗車。湯沢も外国人で活  気が少し戻ってきたようだ。各自酒を購入し、混雑した車両の通路に立ちながら、帰路に着いた。調整に労したが、大勢の仲間は楽しい。
 ただ、私のアイゼンを装着できる登山靴が自宅近くでソールが剥がれ、修理か買い直さねばならないとは。
Id 記

                                            

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