12月の山行

宝篋山

ほうきょうさん

裾野へと

     
 
 
   紆余曲折はあったが、最終的には19名の参加となった。天王台で下りの電車に乗り込むと、車内は同行の仲間たちで賑わっていた。下るにつれて乗客が減っていく、首都圏に向かうのと逆の情景だ。あっという間に土浦駅に着いた。IDさんとGTさんが改札口で既に待っていた。1本早い電車で着いていたとのこと。普段、土日の筑波方面行きのバスは込むそうだが、さすがに冬場だけに登山者姿はほとんどなかった。バスを待って20分余り並んだ。由緒のある土地柄とあって整った、瀟洒な土浦の市街をバスから見ながら農村地帯へと入り、30分ほどで登山口に着いた。
 この山に詳しいYGさんに先導をお願いしてあり、すぐの出発となった。見上げるほどではないが、確かに緑の山がそこにあった。車道を抜けて、民家が登山客の休憩用に提供している場所に入っていった。各自トイレを済ませて、歩き始める。登山客向けの駐車場が2~3か所あり、ここに一度来た記憶がよみがえってきた。出発早々に、人数が多いうえ、歩きの遅い速いが現れて隊列が長く伸び、割れた。コースを確認し直し、隊列が一つにまとまって進行してくれるように声をかけた(その後は先頭のリードは完璧で、一定の進行ごとに後ろを振り返って、後方に気を配ってくれた)。
 ちょろちょろと流れるせせらぎを見ながらヒノキ林を縫う山道を30分ほど行ったところで休憩後、
ジグザグの山道にさしかかった。その上で鮮やかな深紅に色づいたモミジを目にした。歓声が上がる。2人連れの人にシャッターを押してもらう。落ち葉の積もった緩やかな登山道は快適だった。最後尾をFTさんとIDさんが押さえ、遅れがちのGTさんをエスコートしてくれた。傾斜が落ち、やがてオフロードが通じた平坦地に着いた。あそこが山頂だという、驚くほど大きな人工物(たぶん携帯電話の中継施設)を間近に見た。近くにバイオトイレというのが設置されていた。やや時間超過らしく、早い人たちは鍋料理(豚汁)を進めてくれるため、先行した。そこからわずか上りを行くと、予定より10分ほどの遅れで山頂に達した。山頂はなだらかな広い芝生地だった。
 雲一つない快晴、微風下で、多数の登山者がくつろぐ、なるほど人気の低山のようだ。仲間たちがいくつかのテーブルを確保してくれていた。残念ながら東京の方面は針葉樹の林と人工物のせいで視界は遮られていたが、筑波山系や土浦方面の広大な平野が眺望できた。THさんが鍋に張り付いてくれていた。ただ、もう一鍋の予定だったが、僕が携帯したMSRのガソリンコンロがトラブル(燃料漏れ)を起こしてしまい、役立たずとなった。仕方がないと切り替え、缶ビールを開けて仲間に加わった。設置されたテーブルを囲んで昼食をとりながら、快適なひとときを一緒に楽しんだ。山頂の言いようのない慰み(深田久弥はこれを「山頂の憩い」と表現している)を多数の仲間と久々に味わった。
 雲が少し湧き始めた1時過ぎに山頂を後にする。下山路は当初予定どおりの「山口コース(2)」とした。山頂直下の素敵な平坦地で、忘れていた集合写真を撮った。下りは上りの道とかなり様相が違っていた。尾根道で、急坂や岩の出っ張りなどはほとんどなく緩やかで、歩きやすかった。しばらく下ると広葉樹帯から鬱蒼としたスギの林に入った。依然、IDさんがGTさんをエスコートしながら、しんがりを務めてくれた。1時間弱で人里が見え、車道に下りた。ひとまず安全域だ。どこにもあるのどかな農村の風景が広がっていたが、人影はほとんどなかった。春になれば、この辺一帯は桜や新芽で色づき、山菜で満ち溢れるのだろう。MHさんが山菜の知識を披露してくれた。意外に、筑波山がこの地の大将とばかりに大きな山容ぶりを見せていた。
 車道を行くと、この辺地にしては立派な体育館が公園の中に見えてきた。公園を抜け、間もなく予定のバス停(平沢官衙入口)に着いた。20分ほど待ち、黄昏れ始めた冬の陽光を浴びながら、バスに乗り込んだ。土浦駅では女性の皆さんはお茶をして帰るというので、駅で解散となった。
 帰宅後にITさんから「無事帰りましたか」と電話をいただいた。集中連絡先をお願いしていたのに、楽しかった山行を振り返るうちに、すっかり失念してしまっていた。失態を猛省するばかりだ。
 
     
 あそこが目標だ
 せせらぎのそばで休憩
 行路の中のなごみ 道端で見たマユミ 
 鍋ができつつある 山上の憩い(1) 
 山上の憩い(2)  山上の憩い(3)と茨城の平野
 山上の憩い(4)
 山上の憩い(5)  山上の憩い(6)
 山上の憩い(7)  山上の憩い(8)
 山上の憩い(9)  山上の憩い(10)

  まじかに見た筑波山
 頂上直下でのわが隊メンバー
 どこまでも緩やかな下り  鬱蒼たるヒノキ林の中へ
後続の2人を振り返る  人里に下った
 下山地点近くから見た筑波山  名残惜しく再度の宝篋山


黄昏れ始めた宝篋山
 
   
 
  おかげさまで今年も盛大に忘年山行を実施することができました。ご協力・ご参加くださった方々に改めてお礼申し上げる次第です。(2024.12.24 山行企画係・TN記)
 
     
   
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