5.テントの張り方



2)テントの組み立て(ダンロップ山岳用Vシリーズ)


2015年1月6日/2018年5月9日改訂 我孫子山の会


 どちらも8人用ダンロップテント(V-8);冬用外張り使用時

 本会では会発足の当初からダンロップ製のテントを愛用してきました。4人用(V-4)、6人用(V-6)、8人用(V-8)のいずれも10年以上にわたり使い続けてきましたが、一度も問題を生じることなく、たいへん信頼度の高い製品として私たちは評価しています。下の「商品詳細」にもあるように、実際に使ってきてみて、「山岳用」としての強度、耐風性能は他のメーカーの製品にはない高さがあります。ただ、1つだけ難点をあげるとすると、多少重さが他のメーカーの製品よりも重いという点でしょう。これは、テント本体やフライシート・外張りの幕布(繊維)の強度や布地の厚さ、ポールの太さや材質(ジュラルミン)のためなので、製品のクオリティー保証としてしかたがなさそうです。
 また、とくに風に対する構造的な作りは、他のメーカーの製品と異なり、正直に風に相対してテントをポールの強度で受け止めて耐える、という方式になっています。石井スポーツ(ICI)のドーム型テントの風をいなす柔軟構造とはまったく異なります。どちらが優れているかは不明ですが、このポールの強度が雪を一気にかぶった場合などに役立ち、テントの崩壊を防いでくれるというメリットや、多少の風にはびくともしないので信頼度の高さから安心感という点などもあげられます。本会ではさまざまなテントを使ってきました。現在、古いものも含めて10張り(そのうち3張りを1月の例会で処分)のテントを使用してきましたが、最もなじんできたのはダンロップ製テントです。
 テント泊山行・テント生活については➡ こちら

 http://www.hcsafe.co.jp/method_v8.html http://www.hcsafe.co.jp/method_v6.html

 上の2つのテントの仕様規格図ならびにサイズなどのデータは、メーカー(ダンロップ㈱から独立した子会社の㈱エイチシーエス〔HCS〕)のホームページのテント関連サイト(http://www.hcsafe.co.jp/t_vseries.html)から拝借しました。

  V-8
ダンロップ山岳用テント
  8人用(V-8)の〈組み立て方〉

手順に以下のようにセットします。
1)本張りを設営場所に十分に広げる。
2)①(一番長いポール・2本)を交差させた形で四隅にセット(挿入固定)し、テントのフックを下のほうから2つ目程度までそのポールに掛ける(それ以上は掛けない)。これで①が交差した状態で立ち上がる。
3)センターポール(③・1本)を①の下に入れ、次いで④(4本)をやはり①の下から入れ、センターポールの4か所に挿入し、2本ずつ側面で交差させながらテントの下部周縁に挿入固定する。
4)①と④にフックをすべて掛ける。テントの稜部のフック2本は最も上にある①に掛ける。
5)②(2本)をセンターポール(③)の両端に差し込み、テント床部の両端に挿入セットする。
➡以上で、本張りのセットが完了する。
6)あとはフライシートまたは冬用の外張りを掛け、それぞれテントにセット・固定する。
7)テントの牽引固定のための細引きをテントのポールから引き、地面(または雪面)に固定する。
 玄関スペースは靴や調理用具、水などを置くのに適しています。居住スペースへの出入りには、AとBとの違った2か所があります。Aはジッパーで開け閉めし、Aはほぼ全面が開くのに対して、Bはフード方式で紐で開け閉めするもので、半分・円形の、間口の1/3程度しか開放しません。厳冬期で風雪を強く受けるときなどにはBが出入り口に適していますが、通常の生活ではAがメインの玄関口となります。
 V-6もV-8も玄関スペースは、②の地面側のテント紐(バンド)の長さを調節すれば、広さがある程度自在に変えられます。



  V-6 
         

 ダンロップ山岳用テント 6人用(V-6)の〈組み立て方〉
 
1.テント本体の縦方向中央部にある縫い付けのポール通しに①センターポールを通す(両側の出が同じに)。
 2.4本ある吊り下げのポール②を図のようにテントのセンターポール越しに入れる(X型のポールが2組)。末端はいずれもテント本体のグラウンドシートの端の孔に挿入する。
 3.テントの上布に付いているフックをポールにそれぞれ掛ける。
 4.玄関スペースの支持ポールをセンターポールの両端に取り付ける。
 5.フライシートまたは冬用外張りをセットする。
  注意)冬用外張り末端部のポールへの取り付け方は、言葉による説明では理解できないので、実地で経験を積んでもらうしかないでしょう(正直、なかなか習得してもらえません)。
  出入り口はV-8と同じですが、Aの出口に対する冬用外張りの出口となる開閉部が取り付けられていません。つまり、V-6では冬用外張り使用時には、もっぱらBしか出入りができない構造になっています。



商品詳細 
●品名の通りタフな厳冬期の登山も想定した本格的なオールシーズン用のグループユースのテントです。
●他の軽量重視のテントとの最大の違いは「風」に対する強さです。
●強風対策で天井部を低く抑えているにもかかわらず、天井を点ではなく面にすることで居住空間を損ないません。
●別売の冬用外張、サイドポールを使用することで、厳冬期でも快適な居住空間が得られます。

 冬用外張りについて(上段はHCSのホームページから) 
 雨が降る可能性がほとんどなく、雪が降る可能性の高い状況で、フライシートの代わりにテント本体の上から被せて使用します。外張りは、フライシートと違って防水性はありませんが、撥水性と通気性のある生地を使用しています。そのことで、雪に降り込められても窒息を防げ、テント本体全体を覆うことにより、テント内の保温性を高めることができます。また、通気性のある生地ですので、中と外の温度差の激しい雪山での使用でも、結露がしにくく、快適なテント生活を送ることができます。なお、フライシートと外張りの違いを表にすると下記の通りになります。 
 冬用の外張りはテントをすっぽりと覆うため、テント本体との間に隙間(空気層)ができ、これがテント内の温度を保ってくれます。また、フライシートと違ってフレアー(スカート、裾)を持ち、その上に雪を積めば、テント本体への風の吹き込みから風にあおられるのが防御され、耐えられる構造となっています。

表 フライシートと冬用外張りの適応比較
   防水性 撥水性 通気性 保温性 雨天使用 雪天使用  大雪降雪 耐風性 居住性
 フライシート  〇 〇  ×  △  〇  △  ×   △  〇
 外張り  × 〇  〇  〇  ×  〇  〇   〇  〇
 注)耐風性と居住性に関しては本会での経験をもとに評価を追加しました。

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