古寺山から銀玉水まではヒメサユリロード。熊坂から大朝日岳を見る。小屋が見えてきた。
遠くに以東岳。
どこを歩いていても雪解け直後の道にはシラネアオイ。
古寺山からは小朝日岳を目指すが、小朝日には登らないで直下をまいていく。
小朝日直下のまき道。
銀玉水とその上部の雪の急斜面が見えてきた。
やはりたっぷり雪が残っている。アイゼンをもってきてよかった。
まき道と縦走路の出会い。小朝日へ行くにはここから。
振り返ると小朝日。同行者が「北岳のバットレスみたい」。
大朝日岳の「y字雪渓」。
古寺山から銀玉水まではまるでヒメサユリロードと言いたくなるほど。
残雪の山々も初夏に移っていく。
銀玉水。ここの一杯を楽しみにしてきた。いつもうまいね。
大朝日小屋に水はないのでここで調理用の水と明日の行動の水を汲んでいく。
各自、合わせて少なくとも2リットルを背負ってもらう。
目の前は雪の急斜面。ここで使うためにアイゼンを持ってきた。
以前ここを同じ時期に上り下りしたときはアイゼンを着けていてもかなり緊張したことを覚えている。
今回は急斜面と感じることもなく、危険を感じることなく安全に登れた。不思議だ。
銀玉水の上部からは、ヒメサユリに代わって、
イワカガミ、チングルマ、そしてウスユキソウのお花畑になる。
朝日連峰のウスユキソウの群落には驚かされる。これほどの群落のある山はほかにあるのだろうか。私は知らない。
ウスユキソウに目を向けるようになったのは、やはり年をとったからとしか言いようがない。
若い時は見向きもしなかったのだから。それが変わった。その健気さに心打たれるのだろうか。
アルバムを引っぱり出してわたしのウスユキソウのベスト4を挙げてみよう。
北海道・礼文島
宝石みたいだった
早池峰
なかなか見つけられなかった。
朝日連峰
中央アルプス。
大朝日小屋を目前にしてチングルマ、そしてウスユキソウのお花畑が現れた。
待望の再会だった。心行くまで眺めていたいのだがそうもいかない。
ウスユキソウはこの先、頂上まで続いている。わかっているだけにまずは小屋だ。
じつはウスユキソウの群落は2日目がすごかった。
シチュエーションもピッタリのウスユキソウが迎えてくれたのだ。
これは明日報告する。やはりウスユキソウはしっとりとぬれていたほうが絵になる。
大朝日小屋に着いたのが16時20分。
明日は天気が崩れるから今日のうちに頂上を踏むことにする。
ザックを管理人に預けて空身で向かう。
さすがに重荷から開放されて足取りもいくぶん軽くなった。
頂上までの道はイワカガミとウスユキソウの群落。
イワカガミが元気だ。
16時40分。大朝日岳山頂。
すでもガスが上がって、展望はない。
月山、鳥海山、蔵王、吾妻、飯豊という東北の名峰を見せたかった。
私は過去4回はここから展望を楽しむことができた。運がいいのだろう。
それでも南には祝瓶山とそこに続く山並みを見ることができた。
(写真は同行のYAMAMOTO氏提供)
避難小屋でも協力金として一人1500円を支払う。
消灯が7時30分だというから急いで夕飯の準備。
トリ鍋を女性のMAMEさんがてきぱきと仕切ってあっという間に作ってくれた。ありがたい。
「味はいまひとつかな」といっている。わたしには美味しかった。これほどのぜいたくはない。
山はたいがい一人で歩くから、山上の食卓はいつもは粗末なものばかりだ。
最後に到着したのが幸いしたのだろうか。我々だけが1階になった。
床にマットが敷いてる。いい場を得たもんだ。
食事中に、管理人の2人が話の輪に加わった。
常駐の大場さん、83歳、もう一人はお手伝いの佐藤さん、73歳。
2人は有名人だ。NHKで2人の山での活動を紹介したからだ。
わたしもその番組を見ている。
左手前がわたし。(写真は同行のHONMA氏提供)
常駐の大場さんはすでにかなり酔っている。ご機嫌の様子だ。
そのわけは、登山者が靴をすべてきちんと靴箱に入れていることにあるらしい。
「こんなのハズメテだあ、こんなのハズメテだあ」となんども靴箱の前に行ってはつぶやている。
この日は玄関に抜いたままの靴は一足もなかった。
ということは、これまでは散らかっていたのだろうか。
懇談の中で、大場さんが、大朝日の頂上から飯豊の石転ビ沢と小屋が見えるんだといった。
じつはわたしもそれを見ている。しかしだれも「ほんとう?」と疑う。
大場さんの言葉でそれが裏付けられた。
(写真は同行のHONMA氏提供)
佐藤さんは大場さんのお守り役だ。なにかと面倒を見ている。
大場さんの話が通じない個所が出てくると「ここはこういい意味だ」と“通訳”してくれる。
(写真は同行のHONMA氏提供)
8時に消灯。4人並んで寝た。前夜は夜行バス、そして7時間30分の歩き。アルコールも入っているから、ぐっすり眠れるものと思っていた。さらに、天気予報でコースを逆にしたことで所期の目的はほどんど達せしたものだから、リーダーとしてはいい気分である。
ところがである。私の両側の男性、山本さんと本間さんの寝言といびきで目が覚めてしまった。それからというもの両人のいびきと寝言が気になって、いっこうに眠れない。耳栓をしていてもダメだ。寝床を移動するしかない。玄関近くの板の間に移動した。浅い眠りだった。起き出した二人。「よく眠れたよ」だって。山本さんがぼそっと言った。かみさんが「あなたは寝言のほうがはっきりものごというわね」。うまい! これには笑ってしまった。
続く
2日目は下山日。天気が崩れる。予定通りのコースを縦走して下山するか。
それとも来た道を戻るか。リーダーは頭を悩ます。
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