10月の山行
裏岩手縦走(1日目)
岩手山(2038㍍)から八幡平(1613㍍)へ



登山日和で爽快な山旅ができた。登山口は紅葉の盛り。一気に秋色に包まれた喜び。展望に恵まれたおだやかな山容。そして2日目は避難小屋を出ると外は雪だった。さまざまな変化に彩られた3日間だった。


12日朝、岩手山9合目避難小屋から外に出ると雪でした。その雪を見ながらの縦走 08.10.12
(画像にマウスを置くと入れ替わります)

【実施日】2008年10月10日(金)~13日(月)(前夜発避難小屋2泊)

【参加者】6名(男性4、女性2)

【コース&タイム】
10日(金)我孫子駅集合21:40/21:48(快速)=22:33東京駅着=東京駅八重洲南口23:10(高速バス「らくちん号」3列シート@7800)

11日(土)曇り時々晴れ 6:30盛岡駅6:45(いわて銀河鉄道@360)=7:00滝沢駅7:10(タクシー@3000)7:30馬返し8:00-12:15八合目避難小屋-12:45不動平避難小屋13:00-13:30岩手山-14:00不動平避難小屋(泊)

12日(日)晴れ 4:00起床-不動平避難小屋出発5:20-6:25お花畑-6:55大地獄分岐-7:20黒倉山分岐-8:40水場-9:00犬倉山分岐-10:15大松倉山-10:45三ツ石山荘11:10-11:45三ツ石山-12:55小畚山-13:35八瀬森分岐-14:00大深岳-14:29大深山荘避難小屋(泊)

13日(月)快晴 大深山荘5:36-6:10嶮岨森-6:50前諸桧-7:15石沼-7:55諸桧岳-9:30裏岩手縦走コース口-9:45藤七温泉11:42(季節運行バス)=12:00見返峠レストハウス(食事)12:30-13:00八幡平頂上―13:40見返峠レストハウス14:30(バス・渋滞)=17:25盛岡17:52(新幹線)=上野=22:00我孫子


費  用】
約2万5千円

【水場情報】
このコースを歩くとき確認すべきは水場だ。事前情報を総合すると、水場状況は下表の左欄になる。ところが実際に歩いてみると右欄のようにいずれの水場でも水を得られたのだが、水場情報は役場の言葉を信じるしか手立てはない。したがって、役場の情報を基に計画を立て、初日は宿泊先近くの岩手山8合目の水場が涸れているというので、登山口から水を運び上げた。季節により変わるから事前に情報を得ることが肝心だ。これら水場のうち、確実に水を得られるのは「馬返し登山口」「犬倉分岐」「大深山荘」の3カ所。「岩手山8合目」は事前確認が必要だ。三ツ石山荘は初めからあてにしないほうがいい。

出発前の水場情報

実際の水場状況

馬返し登山口 

馬返し登山口 ○(10/11)

岩手山8合目 ×

岩手山8合目 ○(10/11)

犬倉分岐 

犬倉分岐 ○(10/12)

三ツ石山荘×

三ツ石山荘○(10/12)

大深山荘 

大深山荘 ○(10/12)


【ま と め】
1、お天気に恵まれた。縦走中の3日間は雨に一度もあわずにすんだ。それも日を追うごとにいい天気になったのだからうれしい。これが一番ありがたかった。このコースには不確定要素が多分にあったのだが、絶好の登山日和の下、紅葉の縦走路を存分に堪能できた。リーダの私には思い出がいっぱい詰まったこの山域。こころが弾んだ。
2、健脚ぞろいだった。さすがに岩手山から八幡平までは長い。心配はメンバーの脚力だ。具合が悪い人が出てくると実際困ると思った。なんのトラブルもなく歩き通せたことはなによりだった。トップは日替わりで3人の男性にまかせた。メンバーを見ると、ひ弱いのはリーダーの私かな。私がダウンしてはいけない。だから毎日スクワットで鍛えてきた。
3、食事がうまかった。食担の2人の女性に感謝したい。おいしい夕飯にあずかり感激しきり。単独行のときは私の食卓はいつも粗末なだけに、その用意周到さに感心し、頭が下がる。さらにメンバーが持ち寄ったものを並べると、すごく豪華な夕飯になった。集団登山の楽しみはこの豪華な夕飯にあるのではないかと、ひそかに期待している自分を発見しつつある。
4、いい眺めだった。いつも前方には八幡平の山並み、後ろを振り返ると大きな岩手山。出発するときはいつもガスの中。なかなか晴れない。しだいにガスの中から日が差し、遠く八幡平の山並みが現れ、岩手山がそびえる。笹の原とオオシラビソの森、私の大好きな風景のなかにいまいるんだと思うと楽しくて仕方ない。下山後、藤七温泉の露天風呂につかって空を見上げると一片の雲のない青空。縦走はうまくいったな。気分は爽快だった。

10月11日(土) 曇り時々晴れ
馬返し登山口から9合目避難小屋まで。

6:30盛岡駅6:45(いわて銀河鉄道@360)=7:00滝沢駅7:10(タクシー@3000)7:30馬返し8:00-12:15八合目避難小屋-12:45不動平避難小屋13:00-13:30岩手山-14:00不動平避難小屋(泊)
深夜バスで盛岡駅、そこから銀河鉄道で滝沢駅、タクシーで馬返し登山口に到着。
8合目避難小屋の水は涸れているというので、登山口の「鬼又清水」で個人用と調理用とを合わせて一人約3リットル持ち上げる。
「こんなに水が出ているのに、上にはないのか」
ザックが急に重くなった。
なんとも勢いよく出ている目の前の水がうらめしい。
この日の天気予報は午前中まで雨が残るというのだが、雲間から青空が見えてきた。
やっはり天気で気分が変わる。

準備万端、いざ出発。
こんな大荷物を背負っているのは我々だけのようだ。
日帰りが多い。

うれしいこと。
登山口に着いたら、一気に紅葉に包まれた。突然のことで戸惑ったが、じわっと喜びがこみあげてくる。
7合目までは新道と旧道の別々のコースがある。紅葉を楽しむため新道コースをとる。
岩手山は9月27日に初冠雪。いつもよりずっと早い。この情報にリーダーは心配した。
「縦走路は雪で大丈夫だろうか」
地元の役場に問い合わせたら、いまは雪が解けるてなくなっているという。
胸をなでおろす。

紅葉は予測していたとおり、1000㍍から1200㍍が最盛期。これより上部はすでに峠を越えた。
さらに初冠雪で稜線近くの紅葉は期待できないことは分かっている。
ヨイショ、ヨイショ。

紅葉に気を良くしたのもつかの間、しだいに重荷がつらくなってきた。
道は火山らしい山にふさわしく岩石の多い道になってきた。
7合目。ここで新道と旧道が合流。
ここまでは急坂と重荷にあえいだ。
リーダーは途中でさらに2㍑の水を持った。
合わせると6㍑の水がザックに入っている。
「リーダーはなんか顔色が悪いね」
いやあ、つらかった。ホント。
バテバテだよ。リーダーに重荷を持たせるなんて。リーダーはいつでも緊急事態に対応できるよう身軽になっていなければならないのだが・・・。仕方ないね。
この先は平たんになってほっと一息。
8合目の避難小屋が見えた。
ここまで来ると
「さあ着いたぞ」
そんな気分になる。
岩手山の頂上が見えてきた。
お椀をかぶせたようななだらから山容だ。
8合目の避難小屋。立派で大きい。
管理人が駐在している。この連休が終わると無人になる。

「なんだ、水が出ているんじゃないか」
8合目避難小屋前の水場。水が涸れているから下から持ち上げるようにと、登山口にも注意書きが張ってあった。役場からの事前の情報でもそうだった。「……」。こればかりは事前情報に従うしかない。
休むとやや寒いくらいの温度だから、ここまで水もあまり飲んでいない。せっかくだから飲んで行こう。冷たい。渇水なのは今年の冬は雪が少なかったせいらしい。

9合目の不動平小屋に着いた。山小屋らしい感じがいい建物だ。見上げると裏手に鬼ケ城コース。中に入るとすでに一角に大きなザックが置いてある。
午後1時。この時間になるとガスが濃く、風は冷たく強くなった。上下の雨具、手袋など防寒対策をきちんとして頂上に向かう。

頂上に向かうほどに強風とガス。頬を打つ風が冷たい。ガスが晴れるとお釜が見えた。
山頂は残念ながら、ガス、ガス、まさにガス。寒い。うーん。残念。早々に頂上を後にする。

14時に頂上から戻る。小屋には山形大学のグループが15人。先ほどのザックの持ち主だ。われわれが6人。夕飯の準備に取り掛かると茨城から11人のグループ。さらに2人、1人、ガイジンまで来た。満員になった。全部で35人ぐらいになったのだろうか。
さあ、夕飯の支度に取り掛かる。今夜の献立はトリ鍋。持ち上げたビールをほんのちょっといただいた。やっぱり山でも「取りあえずのビール」はうまい。
夕飯が終わるとあとは寝るほかない。5時過ぎには横になる。明日は4時起きだ。

気になることがあった。冷えてきた。「雪が降っているよ」。そんな会話が聞こえてきた。積雪となると明日の行動が心配になる。考えたところでどうにもならない。夜行バスで寝不足、それに重荷を担いできたのでぐっすり眠れるかと思ったのだが、なかなか寝付けない。

明日と明後日は快晴の予報だ。期待しよう。

10月12日へ続く

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