12月の山行
北八ヶ岳 稲子湯~根石岳~東天狗岳~渋の湯
(標高 2603m)


                          
東天狗岳からの下降路


実施日:2011年12月10日(土)~11日(日)
1日目・・12月10日
 天王台5:58 ⇒ 上野6:34/6:58(あさま503号)⇒ 佐久平8:21/8:29
(小海線 小淵沢行き)⇒ 小海9:15(小海タクシー)25分 ⇒ 稲子湯10:00頃
 ⇒ ミドリ池入り口10:45 ⇒ しらびそ小屋12:10 ⇒ 分岐13:10 ⇒
 本沢温泉14:40 テント泊(温泉)

2日目・・12月11日
 本沢温泉5:00起床/7:30 ⇒ 夏沢峠9:15/25 ⇒ 箕冠山10:00 ⇒ 根石岳10:40 ⇒ 東天狗岳11:40 ⇒ 黒百合平13:10 ⇒ 渋ノ湯14:25(先発隊)/15:10(後発隊)15:15(アルピコタクシー)⇒ 茅野15:45/15:50(あずさ24号)⇒ 新宿18:06 ⇒ 日暮里⇒ 天王台19:30頃

費用:交通費・・JR往復9,800円(あずさ回数券)+我孫子⇒新宿780円×2=1,560円、小海線 480円、タクシー往復21,880円 食料2,300円、テント代3,600円、他1,950円 
1人16,795円 
共同装備:6~7人用スタードームテント・冬張り、テントマット3枚、ガスバーナー2台
ガスボンベ4個、ガスランタン、LEDランタン、GPS、チタンコッヘル大小セットやかん付、ラジオ、スコップ
個人装備:冬季装備 シュラフ、個人マット、防寒着、手袋、食器、ピッケル、アイゼン(10本以上)、わかん、ストック、サングラス、

12月10日(土)
6人全員元気に予定通り上野発 長野新幹線あさま503号で出発した。抜けるような青空に真っ白な雪を頂いた富士山、浅間山が目に眩しい。
小海からジャンボタクシーで稲子湯みどり池入り口ゲートまで入ってもらう。自家用車が10台ほど駐車していた。ゲートまでは狭い凍結した雪道なので、注意が必要だ。しらびそ小屋までの道は9月の台風で道が荒れたためか、変更されていて良くわからなかったのではじめは林道を10分ほど行った。山道への入り口には看板があるので判り易い。


雪は10cmくらいで吹き溜まりには30cmほど積もっている。みどり池は完全に凍結して雪が積もっている。雪がところどころ風で吹き飛ばされている東天狗岳が正面にそびえている。明日はあそこに登るのだ。とても高く感じる。しらびそ小屋でラーメンを注文して小屋の中で休憩した。有名な小屋の犬たちも元気だった。小屋の管理人さんに明日の行程で危ないところがないか聞いたところ、根石岳から東天狗岳までの尾根はガスっていると道がわからなくなるとのことだった。右に寄らないで行きなさいと言われた。
本沢温泉までは緩やかな樹林帯の道で、風もなく楽しく歩けた。


温泉に行く手前にテント場がある。温泉へは雪道のために5、6分かかる。こんなに距離があったかと思う。以前来た時よりも遠い。荷物が重くて疲れていたからなのか。ザックを下ろし、他の隊員にテント設営を頼んでKさんと受付に行った。テント場は1人600円、施設が何もない割には高いと思った。水も川の水を汲んで煮沸して利用するのだ。トイレは、温泉の本館の奥に仮設の簡易トイレが2基ある。非常に遠かった。テントで来る人は少ないのかも知れない。ビールのロング缶を3本(1本650円)購入。この日は単独の男性が1人、3人組みの若者のテントが一張りだった。3人組は我々のテントのすぐ傍に立てていたが、とても静かで、7時頃にはもう明かりが消え、就寝したようだ。なんとも品行方正な若者である。いつまでも酒盛りに執着する我々のテントとは大違いだった。


今回は装備の点で大きなミスがあった。ガソリンバーナーのポンピングの部品がバーナーを収納する袋に入っていなかったのだ。従ってガソリンバーナーが使えなかった。水が得られない冬山で雪を溶かして水を作らなければならないとしたら、本当に大変なことになっていただろう。幸いガスバーナーが2台、ガスボンベも4個あったので夕食作りには支障はなかった。やはり装備はよく点検して正確に使用できるように確認が必要だ。冬は特に気を引き締めて装備を揃えなければならないと反省した。


夕食は暖かい鍋とうどん。また、この日が誕生日だったリーダーのためにGさんがわざわざ担ぎ上げてくれたおいしいワイン(瓶ごと!)やケーキをご馳走になった。TさんのチーズケーキやKWさんのまたまた瓶ごとのウイスキーだるまなど。いつまでもこのように楽しいテント生活ができるように、体力をつけておかなければと思った。
この日は皆既月食が見られる日だったが、外は吹雪で空は曇り、残念ながら月は見えなかった。8時就寝の予定だったが、そんなに早くは眠れないと9時頃まで酒盛りは続いたようだが、私はさっさとシュラフにもぐりこんだ。夜は風が強く、10cmほど積もったようだ。


翌日11日は5時起床。朝食はお湯を沸かしてカップラーメンなどを食べ、コーヒーを飲んでテントを撤収した。テントが凍っていたりして手間取り、思ったより時間がかかり出発が30分延びてしまった。この30分が後々まで尾を引いてしまうことになる。
朝の夏沢峠まではトレースが付き、KWさん先頭で順調に進んだ。真っ青な空に霧氷できらきら輝く枝が美しい。夏沢峠の山小屋はすでに閉鎖していたが、風が強くなってきたので少し休憩して時間を確認したところ、30分の遅れがこれからの行程に影を落としていることが判明する。とにかくスピードを上げてこの遅れを取り戻すことにした。箕冠山までは判り易い樹林帯の道で、オーレン小屋から登ってきた小学生の男の子とお父さんも歩いていた。箕冠山は展望のない尾根の途中で山という感じではなかった。そこから根石山荘までの下りは大岩に凍結した雪が張り付いて滑り易く、アイゼンがなければ怖いと思った。
しかし、我が隊のベテランたち6人中4人はアイゼンを着けずにずっと歩いていた。
雪が10~20cmくらいでまだ岩が露出している状態はアイゼンが滑ってかえって歩きにくいところもあったので、この時期の選択は難しい


鞍部から根石岳までは広い尾根で、登山道は数メートル間隔で道を挟むように棒が立てられていて、判り易かった。棒にも道標にも強風で作られたえびのしっぽが30cmくらい成長していた。これから真冬の間にどんどん大きくなるのだろう。ガスで尾根が隠れたら危ないと思う。ここからはものすごい強風が吹き荒れ、吹き飛ばされそうになった。ピッケルで耐風姿勢をとりながらじわじわと進んで行く。サングラスとネックウォーマーの間に出ている顔が凍傷になりそうだ。東天狗岳までは鉄網のステップや切れ落ちている細い道で、結構危なかった。風がなければ難なく通過できるのだろうが、強風で重い荷物が振られて本当に怖かった。やっと東天狗岳山頂に着いたが、うれしいよりも早く風のない所に降りたいと思った。東天狗岳ではカメラを出す余裕もなかった。


2009年1月の東天狗岳と西天狗岳山行は、風もなく晴天で楽に登れたが今回は1ヶ月早いのにより困難だった。西天狗岳は強風で雪が吹き飛ばされ、曇って見えなかった。とにかく時間の遅れを取り戻すために休憩もなくどんどん中山峠に向かって下る。黒百合ヒュッテが眼下に見えてきてほっとした。樹林帯に入る前に休憩したが、水を入れたボトルは凍ってしまい、保温瓶のお湯で飲み口を溶かさなければならなかった。やはり気温が低くく、強風で体感温度もかなり低いのだと思う。休むととたんに寒くなる。中山峠からしらびそ小屋への道を上から覗くと、かなり急降下の鎖場で凍結していると危険なようだ。穏やかな木道になり、やっと黒百合ヒュッテに到着した。雪は少なく、暖かな日差しで、東天狗岳の強風がうそのようだ。予定時間より40分遅れ。タクシーを予約していたので、途中で健脚のTさんとHさんに先行してもらった。長い足ですごいスピードで下って行った。


まだ雪が少ないので、ごろごろの岩が露出して凍結し非常に歩きにくかった。こんなに長かったかと思うほど渋の湯までは遠く感じられた。予定時間より40分遅れで到着。Tさんが途中まで迎えに来てくれた。積雪期の時間配分の失敗で皆様に労苦を強いてしまい、申しわけありませんでした。アルピコタクシーのジャンボタクシーに飛び乗ってほっと一息。運転手さんは40分後の茅野駅発の急行に間に合わせてくれた。同行の皆さん、未熟なリーダーでしたが、文句も言わず温かい目で協力していただき、本当にありがとうございました。
有雪期はもっと余裕を持った時間配分が大切だということを再確認した。 


稲子湯上部みどり池入り口ゲート駐車場から歩き始める
唐沢橋
9月の台風後の登山道の崩壊の為ルートが変わった
みどり池への登山道
北八ツらしい道、風が吹くと雪がどさっと落ちる
しらびそ小屋のかわいい道標にも雪が積もっている
みどり池は完全凍結、天狗岳が目の前に
しらびそ小屋中、いつか泊まってみたい。
のんびりした時間が流れる。
小屋の犬、キチ君
本沢温泉への道、鹿によって皮をむかれた木
テントの中、様々な飲み物、ケーキ、つまみ、鍋
2日目、新雪が積もった夏沢峠への道
根石岳山頂、風が強くて道標もエビの尻尾ができている
左下に根石小屋が見える
根石岳から振り返ると、強い風に雪が舞っている
根石岳は岩がごろごろしている
山頂のエビの尻尾
遠くに北アルプス方面
東天狗岳を越えて、坪庭との分岐
左上が東天狗岳の山頂
ようやく集合写真を撮る余裕が出た
中山峠に向かって下る
ニュウ方面を望む
青い空に美しい樹氷
黒百合ヒュッテ 穏やかだ
行動食を詰め込む
黒百合ヒュッテ
渋の湯への分岐 ここからが長かった

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