6月の山行

佐渡・ドンデン山(940m)・金北山(1172m)

  開けた尾根を歩く/ドンデン山荘前で * マウスを写真にのせると入れ替わります

◇実施日 2018年6月9 (土) ~ 10日(日)
◇参加者  女性2人、男性4人
◇コースタイム
 9日(土)  5:06天王台-6:14上野(上越新幹線とき301号→8:13新潟→(バス)8:40新潟港9:40(ジェットフォイル)→10:45両津→(タクシー)11:25青ネバ登山口→11:55落合→12:30ユブ→13:30青ネバ十字路→14:05県道佐渡縦貫道→14:20ドンデン池→15:35ドンデン山→15:55ドンデン山荘(泊)                歩行時間約4.5時間、標高差約600m
 10日(日)  5:35ドンデン山荘(朝食は弁当)→大佐渡自然歩道入口→6:05アオネバ十字路→マトネ→7:30石花越分岐点→9:00イモリ平→9:45天狗の休場→10:50役の行者→11:50金北山→防衛省管理道路→13:45白雲台(タクシー)→14:30日帰り温泉(椎崎温泉、朱鷺の湯)→15:30両津港(佐渡汽船ターミナルで食事)16:25ジェットフォイル→17:30新潟港→18:12上越新幹線Maxとき342→20:06上野→21:00天王台                歩行時間約8時間15分、標高差約250m 
◇共同装備 ツェルト、ガス、コンロ、コッヘル 
◇個人装備 雨具上下、手袋、帽子、ストック、行動食、水筒、地図
◇費用 上越新幹線往復20,720円、ジョットフォイル往復10,340円 ドンデン山荘1泊2食7,600円、タクシー代2,270円日帰 り入浴約500円、     合計約41,430円 

 花の百名山として、知る人ぞ知る佐渡の大佐渡縦走路を実施できて、ほっとしている。今回の参加者の皆さんは、佐渡の花が有名なのをよくご存じで、意識が高いと思う。しかし、山行の手配が船という、いつもの交通機関が違う要素が増えて、心配性の私は、神経が疲れたのも確かだった。予定通りに行くことができて、本当によかった。皆さんのご協力のおかげです。ありがとうございました。

 9日(土)
 上越新幹線で新潟まで、上野から2時間。新清水トンネルを過ぎると、途端に天候が悪化しているのがわかった。太平洋側と日本海側の天候は、裏表で、朝、出発時に晴れていたので、嫌な予感がしたのだ。新潟駅からバスに乗ると、朱鷺メッセという大型施設で、日本腎臓学会があるとかで、バスは満席だった。この朱鷺メッセの催し物には注意が必要だ。雨が降り出した。新潟駅と、新潟港間は、交通渋滞が起きることが多いようだ。帰りの新幹の時間がギリギリになり、焦ってしまった。  新潟港からは、佐渡まで1時間で行けるジェットフォイルという高速船に予約していた。フェリーだと、2時間半くらいかかるので、多少経費は掛かっても、時間短縮を図った。あまりに高速なので、以前、クジラにぶつかったことがあったそうだ。飛行機のように、シートベルトをしなければならない。飛ぶように海面を走り、大勢の観光客と共に、両津港に到着した。ターミナルを出ると、予約していたジャンボタクシーの運転手さんが、名札を持って出迎えてくれていた。この運転手さんが、実に面白い人で、アオネバ登山口までの約30分間、ずっと名調子での語りをしてくれた。港タクシー古川さんという人で、また宜しくお願いと言われた。

 ドンデン山までの最短距離の登山口である、アオネバ登山口から出発。事前に散々ドンデン山荘から聞かされていた、ブヨ対策を万全にして出発。Gさんにトップをお願いした。左に水川内沢の渓谷を見ながら、ゆっくり進んだ。誰にも会わない、静かな登山になった。幸い雨は降らず、濃い霧がしっとりと深い森を包み、幻想的な雰囲気で登山道脇の植物たちは、露をいっぱいに含んで、瑞々しい緑が本当に美しい。日本の山の中でも、植物の種類が多いことで有名らしい。運転手さんの話では、北限と南限の植物が混在しているので、種類が多いのだそうだ。“北緯38度線(寒暖両系の植物境界線)が島の中央を通過している。そして、食害を及ぼす鹿などがいないため、花が増えている。特に早春から6月にかけての花は見事”だと佐渡トレッキング協会のホームページにある。

 早春の花の時期(4月28日~5月31日)だけ運行される、ドンデンライナーというトレッキング用の予約必要なシャトルバスの時期を外れてしまったので、これは春の花は終わってしまったかと、危惧していた。 
 
 アオネバ登山口からの道沿いの両脇には、花が咲いていたらさぞや美しかっただろうと思われる、花終わりの実になった植物がずっと続いている。エンレイソウが実をつけるのは6月とあるので、下のほうはやはり終わったのだと少し落胆しながら歩く。しかし、タニウツギなどの木の花は、今から美しく咲くところだ。 アオネバ十字路からの遊歩道は、深い霧に覆われ、幻想的な中にウツギの花が満開だ。ミズバショウの葉によく似た、大きな葉が湿地帯に生えていたが、佐渡に多いザゼンソウであることが、帰って調べて判明した。佐渡の地名については、博識のBさんの朝鮮半島からの古来人渡来説による講義が続いた。

 積雪期の道が分かれているが、夏道を行く。遊歩道のような散歩道だ。晴れていれば気持ちの良い道だっただろう。気温も低かった。しかし、ブヨがいなかったのは、気温が低いからだと、ドンデン山荘の人が言っていた。これだけは、予想が外れてラッキーだった。Gさんは、花の写真をどんどん撮られていた。トイレのある金北山縦走路入口から、周回コースでドンデン山荘とは反対方向の舗装道路を行き、椿越峠から視界の利かない放牧地をドンデン池方面に行こうとすると、女性3人が上から降りてきて、何も見えないからドンデン山荘に帰るとの事だった。ドンデン池は霧に覆われて、対岸が見えず怖いくらいの雰囲気だったが、後でドンデン山荘の掲示板を見ると、のんびり牛たちがど真ん中にたたずんでこっちを見ている。浅い水飲み場みたいだった。

 ドンデン山も360度真っ白。残念。ドンデン山荘までの放牧地には、マーガレットが咲き乱れていた。高山植物の咲く登山道より高いところに、外来植物のマーガレットが咲いているのは、違和感を覚える。フランス菊なんて言っても、駆除対象の植物には変わりない。

 ドンデン山荘は、佐渡縦貫線道路のほぼ中間に位置するドンデン高原にあり、両津港、日本海が一望できることで、とても人気のある山荘だ。交流宿泊施設で、定員は45名だが、プラネタリウム室も、団体を泊めていて、満室ということだったが、私とKさんは、4人部屋の2段ベッドの下2つだけ使用で、2人にしてくれた。、掛け羽布団で、フカフカ、熟睡できた。窓からは、晴れていれば、両津湾や、佐渡のに南側の山脈が眺められたと思う。夕食も、山荘の献立とは思えないほど豪華だった。お風呂も2人で貸し切り状態だったが、その後、団体がどっと入ってきて、驚いた。夕食前に、生ビールのジョッキを片手に、男性陣の4人部屋に6人でぎゅうぎゅうで入って打ち合わせをした。2段ベッドが2台入って、狭い通路があり、窓際に小さい机と椅子が2脚、洋服箪笥が2竿あるので、本当に狭い。ユースホステルのような作りだ。敷地内にコンクリート床のテント場があり、3張のテントがあった。


アオネバ登山口で身支度  アオネバ登山口看板  道標はしっかりしている


エンレイソウ すでに実になっている  ギボウシ  サイハイラン


 落合 苔むした山道   ツルアジサイ   サワフサギ


  オダマキ ユブ 地名が異国的  ナルコラン


アオネバ十字路の道標  ミズバショウ  みんなでタニウツギを接写  


ホウチャクソウ     ニリンソウ  L ウラジロヨウラク 


ズミ  霧の中のオダマキ 椿越峠前の道標


L ドンデン池 レンゲツツジ 周りが何も見えないドンデン山への道 


ドンデン山頂   マーガレット ドンデン山荘前の大看板


 ドンデン山荘への出口  晴れていれば見える風景  2日目の日の出 


 ドンデン山荘前で  ドンデン山荘  ドンデン山荘の夕食

10日(日)
 早朝、4時半頃、朝日がきれいよとKさんから起こされ、飛び起きて東側のドアを開けると、海の水平線に素晴らしい日の出が見えた。寒いのでダウンを着た。今日こそ晴れてくれと祈った。もう、男性陣は早々と食堂で朝食のおにぎりを食べて、用意万端。玄関で写真を撮り、予定通り5:35出発した。昨日の金北山縦走路入口まで、20分ほどの舗装道路を歩き、樹林帯の散歩道を歩き、いよいよHさんトップで、山道に入りアップダウンを繰り返し、マトネまで行くと天候も回復し、佐渡の両津湾と加茂湖が見えた。徐々に、足元の植物に花が増えてきた。オオイワカガミのピンクの花も出てきて、Iさんは写真を撮るのに余念がない様子だ。ウラジロヨウラク、レンゲツツジ、シャクナゲなど、我々にもわかる花たちが増えてきた。シラネアオイの大きな葉に紫色の花びらが残ってくっついていたのを見つけて、狂喜したのもつかの間、だんだんシラネアオイの本物の花も出てきて、オダマキの群落、雪のために湾曲した細い柳のような灌木の林床に沢山のカタクリの群落があった。山桜もあり、時期遅れながらも花の島の片りんを見せてくれて、うれしかった。Hさんの早くもなく、遅くもない着実なリードのおかげで、時間通りに行程を行くことができた。マトネから石楠花分岐点からの尾根歩きは、金北山に向かってすごく遠く思えたが、ずっと山頂が見えているのと、左側に両津湾と海が見えていて、励みになった。あやめ池の対岸の木の下には、モリアオガエルの卵塊がたくさんぶら下がっていた。遠くから見ると、白い何かの実がなっているように見えた。

 あやめ池を過ぎて急登になったときに、上から子供たちのにぎやかな声が聞こえてきた。何組かの地元家族のハイキンググループだった。軽装で、ちょっとそこまでといった感じで、気軽に山の花を楽しみに登っているらしい。お母さんたちが、すぐそこにシラネアオイとサンカヨウが咲いていますよと教えてくれた。シラネアオイは、株が小さく花も小さいが、外敵がいないので、これからどんどん大きく株を増やしていくのだろう。途中で、神子岩方面の看板が地面に落ちている状態であった。いつも参考にしている方のホームページ“山の散歩道”に、積雪があるとこの分岐が判らず、結局白雲台方面に行ったとあったので、積雪のある5月下旬までには、横山登山口に降りる時には、相当に気を付けなければならないだろう。ひと登りで、自衛隊のレーダー跡の廃墟がある金北山山頂に着いた。今までで、こんなに味気ない山頂は初めてだ。神社の真新しい灯篭や、なんだかありがたくないようなお社があり、金北山山頂の木のプレートが置いてある。新しいレーダー基地は、隣の妙見山に移っていて、もうゴースト化している古い建物は、撤去すればいいのにと、口々に言いながら、急に霧で覆われた山頂を後にした。1回100円のバイオトイレがあり、そこから、事前届け出の必要な、防衛省管理道路の砂利道を延々下って行き、白雲台の交流センターにやっと着いた。実際、この道は全くおすすめできない。横山登山口にタクシーを呼んで、行くべきだったと思った。巨大レーダーから、重低音の電波が発せられているようで、ますます体が重くなった気がした。Gさんだけは、元気にものすごい速さで駆け下って行ったので、驚いてしまった。

 管理道路の両側には、高さ3m以上のポールがずっと立ててあり、冬の積雪の多さを物語っていた。白雲台にすでに待っていてくれたジャンボタクシーで、1時間近く下り、椎崎温泉の佐渡グリーンホテルきらくに併設されている、朱鷺の湯の露天風呂のみ(500円)に入った。誰もいなかった。佐渡の海の幸を食べたくて、運転手さんに聞いたが、14時くらいの時間では、佐渡のどの飲食店も昼休みで、開いていないそうだ。結局、佐渡汽船のターミナルの3階の食堂に行ったが、Iさんの知り合いの埼玉の山の会のメンバーも食事していた。ここは、行き場のない、登山者の食事の場のようだ。刺身定食には、煮魚、アジフライもついていて、とても満足できた。お土産も買うことができ、ジェットフォイルに再び乗船して、帰路についた。        


 金北縦走路入口   トイレのある縦走路入口   ギンリョウソウ 


マトネ    マトネの峠からの眺め L オオカメノキ  


コケイラン    L コハマナス    石楠花越分岐点 


 オオイワカガミ   道の脇にオダマキの群落     Lオダマキの群落 


 小股沢のコル  ユキザサ
 天然杉の間をくぐって進む 


 ツンブリ平   はるか遠くに金北山の山頂が見える    ブイガ沢のコルから左のピンクテープの通りに下る


真砂の芝生  石楠花はこれから盛りを迎える   石楠花の間にレンゲツツジの花 


  レンゲツツジ  真砂の峰を越えて進む  古い道標と越えてきた道 


いもり平  天狗の休み場でやれやれ休憩    Iさんの好きなオオイワカガミが満開


オオイワカガミの群落   役行者 歴史を感じる  シラネアオイ


ショウジョウバカマ カタクリ   柳の木が雪の重みでしなっている 


 鏡池 静かな湖面 あやめ池  あやめ池の対岸にモリアオガエルの卵塊がたくさん


   Lサンカヨウ ついにシラネアオイの群落に出会えた  可憐なシラネアオイ 



 ミネザクラ   神子岩方面へのわかりにくい看板 金北山



 お社の前で記念撮影  自衛隊の廃墟に真新しい灯篭   バイオトイレ 



自衛隊管理道路に入って、金北山を振り返る  自衛隊管理道路、この砂利道を延々と歩く  3㎞歩いて、マツムシ平、まだ1.4km 



やっと白雲台の交流センターに着いた   露天風呂だけの朱鷲の湯 500円  両津港から大佐渡山地を望む 


佐渡汽船の高速船 ジョットフォイル 
*写真のキャプションにLマークがついていたら変更します。


Bさんは、新潟から鉄道の旅に向かうとのことで、新潟駅で別れた。後日、有意義な旅ができたとのご丁寧なお葉書をいただいた。ありがとうございます。上越新幹線であっという間に上野に着き、梅雨空の我孫子に無事帰還した。皆様のおかげで、ちょっと遠く未知の山に行くことができました。植物の写真を整理していると、結構咲いていたんだなと感動しました。水分をたっぷり含んで、可憐に咲いている花々を見ると、早春のスプリングエフェメラルの時期にまた行ってみたくなりました。  
M.I記 




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