黒森山(766m )と西和賀の滝巡り
千古杉前での神事を終え、集合した参加者皆の顔がほころぶ
黒森山の開拓された道
昨年6月から、東北への山行は3回目になる。昨年6月の焼石岳・黒森山、今年6月の白岩岳の日本一のブナの巨樹・真昼岳・西和賀の指標林散策、そして今回である。 今回は当初、昨年6月の焼石岳リベンジ、金沢(かねざわ)諏訪堂の会の方々とともに秋田県美郷にある黒森山へ、そして今年6月に行った岩手県西和賀散策という会山行だったが、台風10号のあおりを受けて、焼石岳を取り止め、1日減らした行程となった。 黒森山は、新たに全長2.5kmの新規山道が付けられ、総勢18名で登り、1日違いではあったが、重陽の節句に因んで、新しく発見された千古杉・万古ブナのところで、新道のお祝いの神事もとり行われた。朝の天気予報では、曇り・昼は晴れであったものが、かなりの雨に見舞われ、お陰で幽玄の世界も楽しめ、黒森山が雨乞いの山ということもあり、我々が雨を呼んだのかもしれない。 西和賀散策は、今回は「白糸の滝コース」という滝巡り。6月同様、カタクリの会の方のガイドで、三滝神社にお参りし、幾つかの滝を巡り、マイナスイオンに包まれ、滝で見る虹を掴み、岩清水の美味しい水とともに、前日に貰った秋田の甘い美味しい赤飯を頂いた。 人半分、山の会のメンバーに恵まれ、土地の方々の熱い思いに触れ、山をこよなく愛する人々が守ってくれているその息吹に触れ、素晴らしい山行だったのではと思っている。 |
○実施日:2016年9月9日(金)~11日(日) ○参加者:7名 ○行程(車利用・コテージ泊): 9日:5:30我孫子5:50―(谷和原IC・常磐・東北道・盛岡IC)-11:50盛岡―(秋田駒ケ岳中腹、田沢湖)-17:00秋田美郷あったか山コテージ 10日:起床6:00-あったか山7:30-熊谷邸8:30―黒森山登山口8:55~マンモス杉11:00~13:00千古杉・万古ブナ(昼食,神事)13:50~16:30黒森山登山口―熊谷邸17:00-17:30あったか山 (18:30から熊谷邸で宴会) 11日:起床5:00-あったか山6:30-(横手IC・秋田道・湯田IC)-ほっとゆだ駅8:00-三滝神社駐車場9:00~(三滝神社、白糸の滝、姥滝、爺滝、岩清水、降る滝)~12:00駐車場13:00―正岡子規碑―瀬川宅14:00―(北上西IC・秋田・東北・常磐・谷和原IC)-我孫子20:00 ○グレード:黒森山B、滝巡りA ○費用: 総計143,000円 (20,400円/人) 交通費:84,000円、宿泊費:16,000円、食費:16,000円、ガイド料・土産等:27,000円 [プロローグ] リーダーの私は、7月末にラクナ梗塞で入院、8月中旬に退院。お医者さんの診断では、山登りOK,但し薬と水分補給は忘れないように、というものだった。私としては、この日のために突貫工事で道を開拓してくれた金沢諏訪堂の会の面々に会うこと、西和賀のガイドさんからは、ブナの森が体を癒すと言われ、何とか実現するぞ、となっていた。 レンタカーを予約し、役割分担し、AEROBIKE漕ぎで体力増強に努めた。雨天決行としてはいたが、台風が来ており、こりゃアカンということで、参加者の声を聞き、結局最初の焼石岳をパスして1日短縮した。まあ、いろいろとあったが、何としてでも行け、と言うお告げだったのかもしれない。 [9月9日] 朝5時50分出発。その日に秋田のあったか山に着けばいいということで、栗駒、秋田駒、田沢湖、角館、乳頭温泉など、どこに寄ろうかという議論の末、まずは盛岡で冷麺を食した。その後、秋田駒8合目への道を登って行ったのだが、ガスに包まれ、ガソリンが残り少なくなってきたということで、途中で諦め、田沢湖で金色の辰子姫に出会い、あったか山への道々で、絶品の角館・後藤福進堂の金柑まんじゅうを買いにいこうとしたのだが、祭りで車が入れず、諦めてあったか山に向かった。 温泉に浸かり、ゆったり、美味しいラタトゥーユなどの食事で、会話が弾んだ。 [9月10日] 朝6時起床。その時のTV情報によると、曇り、昼ごろ晴れというものだった。金沢諏訪堂の会の会長宅に集合し、まずは朝礼。金沢諏訪堂の会の方々、地元の六郷山岳会の方、朝日新聞社の記者等、我々を入れて総勢18名が紹介された。 古来、中国では重陽の節句(旧暦9月9日)に手近な山に登り、酒宴をひらく「登高」という年中行事があり、高いところに登り、菊の花を入れた酒を飲むことにより厄払いをするという風習があるという。それに因んで、新暦で1日遅れではあるが、それに則って、黒森神社で神事を行うという説明もあった。杜甫の漢詩「登高」を下敷きに、その会長が「黒森山登高」を作っており、昨年6月同様、初めて見るものにかかわらず、それを吟じるようにとの仰せだった。 8時半、トラックの荷台に乗り出発。熊の巣、芭蕉大湿原、長沼坊口まで南下、そして東へ、屶磋峻道、ブナ回廊、峰の老松、マンモス杉、を見て、次は北上し、千古杉、万古ブナへの道を、天気予報に反し、雨に打たれながら歩いた。最初は植林された杉林から、ブナ林へ、なかなか見事なものだった。 今回の新道では、幾つもの素晴らしい木々が発見されていた。峰の老松と名付けられた大きな五葉松が一本、枝を切った様相がマンモスに似ている巨大なマンモス杉、何故こんなところにと思わす、印象に残る木々だった。千古杉、万古ブナは見事なもので、特に万古ブナは、樹齢何年になるのか、大人二人でやっと手が届くかどうかという大きさに圧倒され、抱きつき、ゆっくりと、木のぬくもりを楽しんだ。 黒森神社までは、時間的に難しくなり、千古杉の前で神事が行われた。祝詞があげられ、玉串を奉納し、参拝し、石川県白山の菊姫のひやおろしで菊酒のお神酒をいただき、厳かな雰囲気に包まれていた。雨もあがり、豪勢なフルーツ付の弁当を食し、焚火とあったかいコーヒーで暖をとった。 夜は、これまた菊姫の菊酒で乾杯。この場で、新しく作られた「黒森山登高」を吟じて、招待された宴会が始まった。 |
漢詩の上でクリックすると拡大画面がみられます。
朝6時の天気予報 曇、昼間は晴れだったが・・・ | 金沢諏訪堂の会の会長宅に集合 | |
いざ出発 | 峰の老松と名付けられた大きな五葉松が一本 | |
峰の老松から仙北平野を望む | ||
万古ブナの幹 | 万古ブナは、写真以上に迫力がある | |
千古杉も凄い | 千古杉の幹 | |
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神事に用意されたお神酒 金沢諏訪堂の会の方々 | ||
[9月11日] うってかわって晴れ。ほっとゆだ駅で、カタクリの会のガイドさんと会い、ガイドさんの先導で、悪路を「白糸の滝コース」へ。 |
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まずは急坂を下り、ブナの森にある三滝神社にお参り。続いて白糸の滝、姥滝、爺滝、降る滝と色々な顔の滝を堪能し、マイナスイオンに包まれ、岩清水の美味しい水をいただき、いろいろな花やキノコとも出会い、ガイドさんの名調子とともに、至福の時を過ごした以下、ガイドさんの解説。 ・白糸の滝:女神山のお姫様。雨具を着て滝の裏側に入ることができる。それを「裏見の滝」と言う。「怨み」はないよ。 ・姥滝:白糸のお姫様にお仕えする姥滝。元気の良い「ばあや」の滝の裏に入ることができる。 ・降る滝:落差70m。晴れると虹が出る。その虹を掴むと「夢が叶う」とか。あなたの夢は? その後、黒森山を訪れた正岡子規の俳句を刻んだ石碑の説明を受け、ガイドさん宅を訪れ、我孫子に帰ってきた。 |
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ほっとゆだ駅には構内に温泉がある | 三滝不動明神の鳥居 | |
斜面にへばりついて立つブナ | 白糸の滝は、女神山のお姫様 | |
降る滝は、落差70m 晴れ間に出る虹を掴むと「夢が叶う」 | 岩清水の水は、最高に美味しい | |
姥滝は、白糸のお姫様にお仕えする姥 | 虹を掴んで、さて何の夢が叶うのか? | |
黒森山を訪れた正岡子規の石碑 | ||
[エピローグ] 金沢諏訪堂の会の会長にお礼のメールを送ると、下記が返ってきた。 ・皆さんと再会し楽しかった。また、機会を作り来てください。皆さんによろしく! ・うちの会員もすごく楽しんで盛り上がりました。これも違った地域の人との交流が齎す効果だと喜んでいます。 はじめに、人半分について書いたが、相手もそのように思ってくれている、その心のやり取りが素晴らしいのだということを、改めて実感した。 疑問に思う2つの事項に質問を投げかけたら、長文の思いの丈が返ってきた。何か心を揺さぶられるのを感じた。短くして紹介する。 ・道ができたのに(地図の上の道)、何故、更に新しい道を開拓したのか? 昨年まで再開拓した古道である生活道は、先ずもって歩けるようにしたもの。今回の屶磋沢の山は一面のブナ林で、山を歩くならこのブナの森林浴をしながらブナと会話して歩くのが山と共に生きる、もう一つの道だと確信した。実際、道を作るために山に入ったら、その余りの見事さに、作業の途中でいつも山と樹木のありがたさに感動していた。我孫子の皆さんが来る前に完成させようというのが会員の一致した意見で、手作業でかつ少人数だったが、山と仲間への思いが不可能を可能にしたと述懐している。 ・これからの方向は? 思いは? 念頭にあるのは、荒廃した奥羽山脈を蘇生させること。これが目標。それから、小さい時から山林に慣れ親しみ、地球規模で自然環境を考え肌で感じることが重要だが、現在はそれを体験できる契機がほとんどない。この契機を社会に実現し提供することを、林野庁(国)と秋田県(県と市町村)に働き掛け、予算も付き、共同で実現への一歩を踏み出した。 思いは、自然と共に生きる里山社会への回帰。自然の美を満喫し、自然を相手とした生活がかつては仕事だった。稼いで貨幣価値を手に入れても都会の片隅のアパートに住む若人の熱き心は満たされない。 等身大で自然と共に生きている、という実感が人を人たらしめると考えている。都会の魅力が尽きないが、都会だけでは人にとって片手落ちであることは間違いない。なぜなら、人も他の動物と同じで自然の寵児だから。自然と共に美しく楽しい生活を、が思いかな。 今後は、バイオマスエネルギーを駆使したシステムを構築したい。つまり、エネルギーに関しては自給自足の社会を目指すこと。ここでの利益を使って、金沢―御嶽山―黒森山―女神山―真昼岳―和賀山塊への山岳鉄道を敷く。これで、いま生活空間と山岳空間が別次元になっているものを同じ時空間にし、両者間の交通を頻繁にし、新たな文化を作りたい。 当会では、昨年と今年、私のリーダーで黒森山に2回、真昼岳に1回、参加延総数19名となった。黒森山、西和賀は、まだまだ呼ばれている。さらに道路崩壊で実現できていない和賀岳、銀明水避難小屋までの焼石岳、秋田駒から乳頭温泉への縦走などなど、まだまだ東北の山、そして関わる人々の呼び声が聞こえる。そして、案内していただいた岩手県西和賀、カタクリの会のガイドさんから、youtube「冬から始まる西和賀の四季」もいい。 山が半分、人が半分に、改めて乾杯! [FS記] |
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出会ったキノコと花 |
タマゴタケ | アキノギンリョウソウ | アキノギンリョウソウ | オシロイシメジ |
オトメノカサ | オニイグチモドキ | シロオニタケ | スギヒラタケ |
チチタケ | アカヤマドリ | ホテイシメジ | オニシオガマ |
トリカブト | サワフタギ | オオカメノキ | フジバカマ |