10月の山行


和賀岳(1439m)..黒森古道を行く

和賀岳の紅葉 .黄葉は今が盛り   黒森山のブナもまた良し  ブナの指標林..ファザーツリーに癒されて

実施日:2017年10月5日(木)~8日(日) 
行程(車利用・避難小屋とバンガロー泊):
 5日 我孫子6:00―(常磐・東北道・秋田道橫手IC)-13:40小安峡散策15:00-17:20和賀岳への道の袖川駐車場 -17:40避難小屋泊
 6日 起床4:00~避難小屋5:30~5:40甘露水口登山口~10:10薬師岳(1218)~11:50小杉山(1229)下12:30~13:50薬師岳~17:05避難小屋17:50-19:00後三年駅-19:30雁の里泊
 7日 起床5:30―雁の里7:30―K邸8:45~黒森山登山口(標高174)9:00~12:35御嶽山=塩湯彦神社(標高751)13:35~16:25登山口―16:40 K邸-17:00雁の里泊
 8日 起床5:30―雁の里6:45―(横手IC・秋田道・湯田IC)-西和賀真昼温泉7:45―真昼岳兎平登山口(400)8:50~指標林(500)~11:20真昼岳兎平登山口11:30―12:00およね食堂で昼食12:50―(北上IC・秋田道・東 北道・常磐道)―20:50我孫子
グレード: 和賀岳C(行程が長いため)、黒森山A
○一人あたり平均費用:  27,000円
  内訳 車代      16,000円
  食費・宿・ガイド他    11,000円
装備
 共同装備:コッヘル、コンロ・燃料、ランタン、ツェルト、他
 個人装備:雨具(上下)、寝袋、個人用マット、ヘッドランプ、サブザック、他
参加者:女性6名、男性2名 計8名
 #和賀岳登山:5名
 #黒森山登山:3名
 #ブナ指標林散策:5名

[サマリー]:
 東北への山行も、数度にわたる。昨年は、奥羽山脈和賀山塊の主峰、和賀岳に行こうとしたが、秋田側からの登山口へ向かう道が崩壊していて入れないという事で、和賀岳を諦めた。今年、確認したら、工事はこの秋一杯まで掛かると言う。しかし、私がリーダーの奥羽山脈への会山行は今回で終わりと決めていたので、何とか手立てを考えた。ガイドに案内してもらうと、道をあけてくれるという。ガイドをお願いすることとし、更に金沢諏訪堂の会の方々のご厚意を受けて、4度目の黒森山に登り、最後の日は、岩手県側、まったりした山頂を目指さない西和賀も楽しもうと、今一度行ってみたかったブナの指標林を散策するコースとした。初日はあまり時間がないので、秋田・湯沢近くの、風光明媚な小安峡を歩くこととした。
日毎の山行に参加する人が変化するという、変則的な山行となった。
小安峡の大噴湯、和賀岳へ向かう道々でのブナの原生林、鳥海山、岩木山、田沢湖などの眺望と満面の紅葉・黄葉、黒森山に向かう雨の中でのブナ林など、そして西和賀真昼岳中腹のまったりしたブナの指標林、どれをとっても記憶に残る山行となった。宜しければ、今までの山行を参照してください。
 2015.6 焼石岳+御嶽・黒森古道
 2016.6 白岩岳・真昼岳他       クリックすると各山行に飛びます。
 2016.9 黒森山と西和賀の滝巡り


[10月5日晴れ]:
午前6時、我孫子駅北口に集合して、一路東北へ。初日、和賀岳登山口に近い避難小屋に行き着くまでの時間、秋田県湯沢市にある峡谷、小安峡に寄ることとした。小安峡は、栗駒国定公園の一角にあり、観光地として人気が高いそうだ。絶壁の岩間から98度にも達する蒸気が噴出する大噴湯を堪能した。稲庭うどんを食し、とことん山に、3名を残し、一路、避難小屋に向かった。

当初、袖川駐車場から50分歩くと言われていたものが、ガイドさんの計らいで、ゲートを3つ開けてもらって避難小屋まで車で入れることとなった。大いに助かった。2階建ての綺麗な小屋は我々だけなので、ゆっくりくつろぐことができた。夕食は吉野i家の牛丼、それにおつまみ。まずビールで乾杯! 純米大吟醸酒雫酒斗瓶取り限定酒を差し入れてもらい、ウィスキー、ウォッカなどで夜が更けていった。就寝22時。


 小安峡温泉 羽風の谷(時間の関係で、左の大噴湯辺りの散策のみ)  上記の写真はクリックすると拡大します

絶壁の岩間から98度にも達する蒸気が噴出する大噴湯 大噴湯を堪能する
羽風の谷の渓谷 美味な稲庭うどんと山菜に満足


[10月6日曇り]:
各自朝食を済ませ、甘露水口登山口から登山開始。登山口までの道は、2年前の被害により工事で入れていないため、登山道にも人が入っていない。それで、今回に合わせ、ガイドさんはじめ6名で薬師岳手前まで草刈りをやってもらっていたのだ。そのお陰で、気持ちよい山歩きが出来た。ブナの原生林は、マイナスイオン一杯、綺麗な心も更に綺麗になった。

ブナ台、滝倉、倉方を通り薬師岳へ。本山行は当初10月下旬であったが、リーダーの都合で上旬に変更していただいた、それが紅葉にピッタリとなった。笹の緑に、紅葉・黄葉が映える。そんな簡単な言葉では表せないほど、素晴らしい眺めであった。それに、広い広い橫手盆地の先に見える、雪をかぶった鳥海山、南には真昼岳、女神山、薬師岳では北方に田沢湖、森吉山、白神山地東端の田代岳、その先に岩木山、そして北東には和賀岳、素晴らしい眺望を望むことができた。薬師岳手前から、草が刈られておらず、高いところでは胸まである笹を藪漕ぎである。小杉山直下まで行き、帰りの時間が間に合わないということで、昼食後、下ることとなった。一人歩みののろいリーダーのせいで、和賀岳頂上まで行くことが出来なかったことは、本当に申し訳なかったが、同行者から、ゆっくりと紅葉・黄葉を楽しめたとのお言葉、安堵した次第。

下りでは、夕食のきのこ汁のために、登りに見ておいたナメコ、ブナハリタケを、たっぷり取ることができた。下山時に、自生の状態でヤシャビシャク(夜叉柄杓)=スグリを見たが、この事は極めて稀で、実を食することが出来たのは、幸運なことだったそうだ。これは、和賀岳に登るよりラッキーだったのかもしれない。
2名は帰宅の途につかれ、残りの3名は雁の里に向かい、登らなかった3名と合流した。
夕食は、揚げたてのテンプラ、そして天然のキノコ汁とブナハリタケのバター炒め。本当に贅沢なこと。お酒も手伝って、夜が更けていった。就寝は0時になっていた。


素晴らしいパノラマ 橫手盆地の先には雪をかぶった鳥海山が見える

上の写真をクリックして下さい


まず、登山口の甘露水をゲット 和賀山塊のブナの原生林は素晴らしい
薬師岳頂上 和賀岳をバックにパチリ 笹の緑と紅葉・黄葉のコントラストは素晴らしい!
小杉山直下からの紅葉・黄葉もまた良し ブナハリタケはバター焼きで ナメコはなめこ汁で食した
自生の状態でのヤシャビシャク(夜叉柄杓)=スグリを食した お世話になった、綺麗な避難小屋


[10月7日雨]:
 K宅に集合し、屶磋山径開通記念黒森山登山と銘打った登山となった。道を付けられた金沢諏訪堂の会の方3名、橫手山岳協会の方3名、そして我々3名の計9名が、一路黒森山へ。8日が黒森山の大祭、7日の夜は黒森山山頂で夜を過ごすことから、金沢諏訪堂の会の方はそちらに参加される方が多かったとのこと。歩き始め、雨はそう降っていなかったのだが、途中途中でそれなりに降られた。杉林からブナ林へ。雨で冴えた森も素晴らしいし、そのお陰で、ブナの樹幹流を見ることもできた。ブナは樹幹流が似合う。

昼食をどこで取るかとなって、黒森山でなく、御嶽山に行こう、頂上にある塩湯彦神社には雨をしのぐ場所がある、ということで、御嶽山に向かった。そこで神事が行われ、御神酒が振る舞われた。またまたK氏が作った漢詩を、吟じ奉納した。そして、用意していただいた、美味しい物が一杯詰め込まれた凄いお弁当とフルーツを食した。帰り道は、ナメコ、クリタケ、ナラタケなど、沢山の自然の恵みを頂戴し、夜の祝賀会の膳に並ぶこととなった。

屶磋山行 (K.A作)
金天紅葉太初同  きんてんこうよう、太初とおなじ
山腹鏡沼錦繍中  山腹の鏡沼は、きんしゅうの中
飛雁一声樹影乱  ひがんいっせい、樹影乱る
回首四望満山紅  こうべを回してしぼうすれば、満山紅なり

 夜は、屶磋山径開通記念黒森山登山祝賀会である。美味しい料理、美味しいお酒、秋田のかたり部や踊り、カラオケなどの素晴らしい余興で夜が更けていった。


屶磋(なたと)山径 開通された黒森山への道


いざ屶磋山径開通記念黒森山登山へ 黒森山のブナの原生林も素晴らしい
何故こんなところにという立派な五葉松「峰の老松」がある 鏡沼には、黒山椒魚が住む
クリタケが一杯 ナメコが一杯


[10月8日晴れ]:
 朝食を済ませ、カタクリの会のガイドさんと合流すべく、岩手県西和賀の真昼温泉に向かった。真昼岳登山口へ車を走らせ、そこからブナの指標林に向かった。マザーツリー、ファザーツリーを残し、二度にわたり他の木を伐採し、その後のブナの生育を見守っている、この指標林の中に身を置くことになる。高みを目指さない、自然の営みを感じる山歩き、名調子のガイドさん、これもまた一つの山行の楽しみ方なのだと思う。

 およね食堂で山なめこ蕎麦を食し、賑わうスーパー・オセンでお土産を買い、錦秋湖を見ながら、北上ICから高速に乗り、我孫子へ帰ってきた。


いざ出発 真昼岳登山口と同じところから入る イモムシは昆虫で足は6本 指に乗せると可愛い
マザーツリーにて 一本だけ太いのが良く分る ファザーツリーの幹は空に向かって
:秋の銀龍草みっけ ファザーツリーにて 迫力満点:
ツルアリドオシみっけ ガイドさんが描かれた絵 およね食堂で山なめこ蕎麦を食す


[エピローグ]:
山道は、何もしないとすぐに朽ちてくる。今回もそれを感じた。整備された山道を歩いていると、整備してくれる人のことを忘れてしまう。そこで生活している方々のことを忘れてしまう。何度も書いているが、「人半分」には、会の仲間だけでなく、そういった人々を感じ、交流する、このことが大事なのだと、今回、また思うこととなった。
 黒森山でご一緒していただいた、横手山岳協会の方から、20周年誌と25周年誌をいただいた。この記念誌には、「TRAIL(トレイル)」という名前が付けられており、その思いとしてのコメントがあった。これまた、考えさせられる言葉だった。
人は何を求めて山に登るのだろうか。
頂上だけが山ではない。空も木も草も花も水も岩も、そして山道も、登る人にとっては、何ものにもかえがたい憧れである。
歩くということは、何か心にきざまれる。足跡は確実に残る。まちがいなくその人の足跡が。もしかしたら、山への憧れは、己の心の足跡をふり返るためにあるのかもしれない。トレイルにはそんな意味がこめられている。

 私がリーダーとしての、奥羽山脈への会山行は4回目になるが、これで終わり。でも、和賀岳のニッコウキスゲも素晴らしいそうだ。雪中もいいだろうし、春先に芽吹く頃の水芭蕉もいいと言う。まだまだ、山が、人が呼んでくれている。それに応えるべく、個人山行を企画しようかと思っている。
[20171023 F.S.]


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